昨今、VOCというワードが注目を浴びるようになってきました。さらにVOC活用のニーズも高まってきています。では、そもそもVOCとは何なのでしょうか? 何が重要なのでしょうか? 本記事ではVOCの重要性、またコンタクトセンターの業務おけるVOCの収集方法、収集したVOCの活用についてご説明します。
目次
VOCとは、「Voice Of Customer」の略で、「顧客(お客様)の声」のことを意味します。
まずは、ごくわかりやすい例を使って説明します。企業が事業活動を行う上ではどんな業種であれ、お客様が望むものや欲しいと思うモノを作ったり、または仕入れて販売したり、サービスを提供したりして、対価を得なくてはなりません。
では、「お客様が望んでいて欲がるモノやサービス」は、どうしたらわかるのでしょうか。「うちの会社には市場を熟知しているスーパー企画マンがいるから大丈夫!」とか、「高品質のモノを作れば自ずと売れるでしょ!」
それは大間違いです。やはり、「お客様が望んでいて欲がるモノやサービス」は、お客様にしかわからないのです。その「お客様が望んでいて欲がるモノやサービス」をダイレクトに理解できるものが、VOC(Voice of Customer = 顧客(お客様)の声)なのです。
前述した通り、VOCは一言で「顧客(お客様)の声」と言いますが、そこには企業にとってとても重要な情報が多く詰まっています。例えば、お客様の嗜好、評価、意見、要望、クレーム、質問などなど、挙げたらキリがないほどさまざまな情報があり、どれ一つとっても価値のある「宝の山」だと言えます。
では、VOCの活用によって得られるメリットにはどんなものがあるでしょうか。主に以下のような点が考えられます。
そのほか、FAQデータの蓄積、苦情やクレームの解決や削減、経営判断などにも活用できます。どれも企業にとって事業の成長、拡大には欠かせないものなのだと言えます。
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コンタクトセンターにおけるVOCの収集と活用はどのように実践すればいいのでしょう?具体的に解説していきます。
VOCは、さまざまな方法で収集することができます。コンタクトセンターなどカスタマーサポートや問い合わせ窓口にかかってくる電話、ホームページ上の問い合わせフォーム、チャット、メール、SMSなど企業自身が運営しているコンタクトチャネルでの顧客との対応はもちろん、リサーチ会社などに委託して実施するアンケートやインタビューの活動などからも収集が可能です。
また、クローラーと呼ばれるWebサイトを周期的に巡回して自動でデータ収集を行うプログラムを使用してCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれるSNS、掲示板やクチコミサイト、動画共有サイト、ブログなどからVOCデータを抽出、収集するなど、挙げたらキリがないほどの方法や手段があります。
但し、言うまでもなくやみくもに大量のVOCを収集しても全く意味がありません。やはりその企業がターゲットにする本当に必要なお客様の声(情報)を集めるべきなのです。そこで、お客様と双方向でコミュニケーションが取れるコンタクトセンターは非常に重要なVOC収集の場となるわけです。
もちろん、コンタクトしてくるお客様のすべてがターゲットというわけではありませんし、有用なVOCとは限りませんが、大部分は自社製品やサービスのユーザーであり、興味を持っているお客様であるという観点では、企業にとって大変重要なVOCなのだと考えられます。
では、コンタクトセンターではどのようにすれば効率的にVOCを収集できるのでしょうか。昨今のコンタクトセンターではマルチチャネル化が進み、電話、メール、SMS、チャットなどさまざまな顧客接点が存在しています。その中で、唯一データ化されていない電話音声の収集について、効果的な方法を説明します。
電話音声のテキスト化は、コンタクトセンターにおいては長年の課題と言えるものでした。オペレーターはお客様との通話が終了すると、必ず応対履歴を作成します。いわゆるこれがVOCです。しかしながら、一般的には音声を聞きながら全文を書き起こした場合は熟練者でも通話時間の約5倍の時間がかかると言われています。これほど、テキスト化には膨大な時間と手間がかかるわけです。
そこで昨今では音声認識システムを使用して、通話音声をテキスト化する方法が取られるようになってきました。音声認識システムを使用すればお客様との通話が終了した時点でテキストデータが自動でできあがっています。音声認識システムは近年のAI技術の利用により、より高精度の認識が可能になったことで一気に普及してきました。
コンタクトセンターにおける音声認識の活用についての詳しい説明はこちら 「コンタクトセンターの音声認識の有効活用 事例と導入効果を一挙にご紹介」
音声認識システムを使用してお客様との通話をテキスト化すれば、電話以外の他のチャネルで収集したVOCデータとも統合することができるようになります。もちろんこれで終了ではありません。これからが最も重要な収集したVOCを分析し活用するフェーズです。
収集したVOCは、目的に則ってさまざまな観点や属性、顧客セグメントなどに分類し、分析を行うことが重要です。そこがブレてしまうとせっかく収集した重要な情報が詰まったお客様の声が全く活用できないことになるからです。また、分析結果を社内で共有し、各部署からの意見や知見、アイディアなどを集めて、商品開発や課題の改善など施策につなげていくことが最も重要なのです。
当然、大量のデータを人の手で分類し、分析するのは不可能ですので、VOC分析に活用できるツールをいくつか紹介します。
BI(Business Intelligence)ツールとは、蓄積された多種多様なデータから必要な情報を集約、集計、分析、可視化するためのツールです。これはVOC分析に特化したものではなく、企業の意思決定や課題解決などを支援するツールとして、昨今ではさまざまな企業に導入が進んできています。もちろんVOC分析にも使用できますが、大規模システムになることも多いため、マーケティングや商品開発、改善といった目的で使用するには、後述するテキストマイニングツールの活用が向いているかもしれません。
テキストマイニングとは、テキスト(Text)+マイニング(Mining=採掘)を組み合わせた言葉で、膨大なテキストデータの中から有益なデータを抽出するという意味を持っています。こちらもVOC分析に特化したツールではありませんが、VOC分析には非常に相性がよいツールと言えます。
一般的には、自然言語処理(NLP)と呼ばれる解析技術を使用し、その企業にとっての有益なデータの抽出が可能です。(自然言語とは人が日常使っている言葉のことを言います。自然言語処理は、この自然言語をコンピュータで処理し内容を抽出する一連の技術のことです。ここでは詳しい説明は省きます。)テキストマイニングツールは、文章を単語や文節に分割し、単語の相関関係や出現頻度などさまざまな角度から分析しデータを抽出します。上記のBIツールの一機能として含まれている場合もあります。
上記の汎用的な分析ツール以外にも、VOC分析に特化したツールも存在しています。中にはBIツールのようにダッシュボード機能、レポーティング機能、スコアリング機能などを備えた高度な製品もあります。
昨今、話題になっているChatGPTなどの生成AIを活用して、VOCの抽出や分析が可能です。例えば、ChatGPTはテキストデータの要約も得意としているので、知りたい情報をインプットすれば必要な情報を要約して端的に提示してくれます。また、重要なトピックをリストアップするなど抽出や分析にも活用することができます。うまく活用すれば様々な課題の解決につながる可能性があります。 しかしながら、現状ではまだ多くの課題が存在しています。例えば、不正確な情報や誤った情報を提示することもあるので、その点は注意をし正確かどうかのチェックした上で利用する必要があります。
「VOCの重要性とコンタクトセンターにおけるVOCの収集と活用」と題して、ご紹介してまいりました。ここまで解説してきた通り、VOCの収集と活用は企業にとって最重要課題の一つと言っても過言ではありません。その理由は、VOCの適切な分析、活用によって、数多くのメリットがあるからです。
これらを通して、競合他社との差別化・優位性の確保、売上・利益の拡大、新規事業の創出、企業価値の向上などたくさんのメリットを実現することが期待できます。
電通総研では、コンタクトセンターにおけるVOCの収集や活用について豊富な実績やノウハウを有しておりますので、是非ご相談ください。
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