みなさんは「コンタクトセンターにかかわる資格」と聞いて何を思い浮かべますか?すぐにいくつか思い浮かべることができる人もいれば、中々思い浮かばない、もしくは「コンタクトセンター」と「資格」というワード自体が結びつかない人も多いのではないでしょうか。実際昔の自分もそうでした。
今回はそんな人向けに、コンタクトセンターにかかわる資格の中から、私が特に重要そうだと感じたいくつかの資格について、コンタクトセンターの運営者側、開発者側の2つの視点から紹介させていただきます。普段コンタクトセンター業務に携わっている人で、こんなケースのみなさんに最適な記事です。
是非最後までご覧いただければと思います。
目次
まず大前提の話にはなりますが、コンタクトセンターの業務に携わるうえで資格の取得は必須なのでしょうか。結論から申し上げますと、資格がなくてもコンタクトセンターの業務自体はこなすことができます。これはコンタクトセンターの運営側だけでなく、開発者側でも同様です。「この資格を持っていないとコンタクトセンターの構築をしてはならない!」などといった法律や取り決めはないのです。
もちろん、それぞれの会社の就業規則によっては、ポジションや役職によって、特定の資格の取得を課している会社もあるとは思いますが、コンタクトセンター業務を携わるうえで必ずしも資格取得が必須になるということではないということだけ最初に覚えておいていただければと思います。
では、コンタクトセンター業務においてオペレーションを行うために資格を取得することは無意味なのかと言われれば決してそんなことはありません。試験の対策を行って受験し合格すれば、次のようなメリットが考えられます。
この中でも特に3つ目のメリットが個人的には大きいと感じています。運営者側であれば、資格を持っていることで社内評価が上がることもあると思いますし、開発者側であれば、資格を持っているのといないのでは顧客からの信頼感が全然違います。(実際に私も日々の実務で感じています)
上記を踏まえると、コンタクトセンター業務に資格取得は必須でないにしても、メリットとしては十分にあると思います。余裕のある方は是非、これから挙げる資格の取得を検討してみてください。
コンタクトセンターを運営する際に役立つ資格にはどのようなものがあるか見てみましょう。
コンタクトセンター検定(コン検)とは、日本コンタクトセンター教育検定協会がまとめたコンタクトセンターマネジメント知識スキル体系であるContact Center Management Body Of Knowledge(CMBOK)に則って行われる検定で、2010年に開始されてから徐々に受検者数を伸ばしています。
試験コースは全5種類に分かれており、それぞれで試験の範囲や受検対象者が異なるため、自分のレベルに合ったコースを受検することができます。例えば一番基礎的なコースである「エントリー資格」は主にコミュニケーションスキルやビジネスマナーといった基本的な知識が問われるコースであり、キャリアをスタートしたばかりの方や未経験の方を対象にしています。
他にも、より専門性を高い顧客対応スキルが問われる「オペレーター資格」や、管理者としてのマネジメントスキルが問われる「スーパーバイザ資格」などがあります。このように対象者がオペレーターからマネジメント層まで幅広く設定されているので、自分に合ったコースを受検していくことで、コンタクトセンター業務にかかわるスキルや知識を段階的に身に着けられます。
〈参考URL〉 一般社団法人 日本コンタクトセンター教育検定協会 コンタクトセンター検定 https://www.conken.org/
コンタクトセンター業務を行ううえで最も大切にすべきなのは顧客満足度、すなわちCS(Customer Satisfaction)だと言っても過言ではないでしょう。これはコンタクトセンター業務に何も限った話ではありません。あらゆる業種、業界においてCSは重要な経営戦略の一つであり、近年では特に力を入れて取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。
そんな状況の中で注目したいのがこのCSスペシャリスト検定です。この検定は、CSスペシャリスト検定協会が実施する検定で、CS理論とCS実践技術の習熟度を測定できる日本で唯一の民間資格検定です。検定はレベル別に4つに分かれていて、すべてのレベルで実技試験が出題されるのが特徴です。実技試験では、電話機を使用して実際の顧客との会話を想定したやりとりを模擬的に行います。
スクリプトは事前に用意するため、その場で回答を考えながら行うわけではありませんが、かなり実践的な力が問われることになります。このように知識だけでなく実践的な技術が問われる検定となっているため、取得することで企業の求めるCS人材に大幅に近づくことができるでしょう。
〈参考URL〉 一般社団法人 CSスペシャリスト検定協会 https://www.cs-kentei.jp/
クラウド化・効率化を考える第一歩目にピッタリ コンタクトセンターソリューション基本ガイドブック
次は、コンタクトセンターを開発する際に役立つ資格にはどのようなものがあるか見ていきましょう。
コンタクトセンターシステムの根幹となるのはCTI(Computer Telephony Integration)システムです。CTIとは簡単に言えば電話機とコンピューターを連携させたシステムで、これがあることで受電した電話番号をもとに顧客情報を画面に表示させたり、通話を自動で録音したりできます。
CTIシステムの中でも主要なものとして挙げられるのがAWSのAmazon Connectです。AWS Certified Cloud PractitionerはそのAWSの公式認定資格です。難易度としては入門レベルに相当し、AWSに関する基礎知識が求められる資格になっています。技術的な理解というよりは、AWSクラウド全体への基本的な理解が主に必要になってくる資格ですので、技術職だけでなく営業職の方にも適した資格といえます。AWSの認定資格にはその他にもレベル別、分野別に10数種類の資格が存在しますが、AWS未経験の状態でAmazon Connectの導入を検討する場合、AWS学習のスタート地点としてまずはこちらの資格を取得することをお勧めします。
〈参考URL〉 AWS「AWS Certified Cloud Practitioner」 https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-cloud-practitioner/?ch=sec&sec=rmg&d=1
コンタクトセンターシステムを構築する際、是非併せて検討していただきたいのがCRM(Customer Relationship Management)システムとの連携です。CRMとは簡単に言えば顧客との良好な関係性を築いていこうとする考え方のことで、直訳すると「顧客関係管理」となります。
顧客関係管理を実現するシステムのことをCRMシステムと言います。CRMシステムの特徴は情報の一元管理にあります。CRMシステムはコンタクトセンターと親和性が高く、導入することで一元管理された対応履歴情報を参照しながら顧客応対ができるなどのメリットを享受できます。よって、コンタクトセンター構築におけるCRMシステム導入は近年の主流になっています。
そんなCRMシステムでトップレベルの市場シェアを誇るのがSalesforce社であり、Salesforce認定Service Cloud コンサルタントはSalesforce社の公式認定資格です。Salesforce製品の中でも主にカスタマーサービス向けに開発されたのがService Cloudという製品です。
Salesforce認定Service Cloud コンサルタントはそのコンサルタント資格に当たります。この資格を持っていないとService Cloudの導入ができない、というわけではないですが、Service Cloudに関しての基本的な考え方や専門用語などが問われる内容になっていますので、Service Cloud導入をする際は是非持っておくといいでしょう。因みにこの資格は、下位資格に当たるSalesforce認定アドミニストレータを持っていないと受検できないので、取得の際は注意してください。
〈参考URL〉 株式会社セールスフォース・ジャパン 「SALESFORCE 認定 SERVICE CLOUD コンサルタント」 https://quip.com/jItCAbPUHNBL
この資格は運営する際に役立つ資格としても既に紹介していますが、開発する際にも役立ちます。もちろん、コンタクトセンターを構築するうえでの業務理解として、という意味合いもあります。コンタクトセンター検定にあるコースの中に「コンタクトセンターアーキテクチャ資格」というものがあり、コンタクトセンター開発の際に非常に役立つ内容となっているため、こちらでも挙げさせていただきました。
こちらの資格は名前の如く主にコンタクトセンターアーキテクチャについて問われる問題が多く、より開発者向けの資格といえます。この資格を取得することでコンタクトセンター構築の際の業務設計に必要なスキルや知識を身に着けることができます。ITベンダーの開発担当者や営業担当者だけでなく、コンタクトセンターの構築担当者なども取得を検討してみてもいいと思います。
コンタクトセンターのクラウド化の課題解決に Amazon Connect機能と新テクノロジーがわかるガイドブック
今回はコンタクトセンターにかかわる資格について、運営者側、開発者側の2つの視点から紹介させていただきました。これらの資格を取得することでコンタクトセンターの運営や開発に関する知識やスキルがグッと上がります。また冒頭でも述べたように、何より自分の力量を証明することにもつながりますので、どれか一つでも自分に合った資格を見つけて、取得を検討してみてください。
ただ、コンタクトセンターの構築は資格取得による知識だけでは難しく、知識に加えてどうしても経験値という部分も必要になってきます。もし「コンタクトセンターの構築をしたいけれど、構築の経験がなく、できるか不安...」というお悩みをお持ちなら、コンタクトセンターの構築経験が豊富なITベンダーに構築を依頼してしまうのがいいでしょう。
電通総研では、コールセンター/コンタクトセンターシステムの構築に関して多数の実績があります。Amazon Connect等のAWS製品やSalesforceなどのCRM、その他最新技術を活用しながら、コールセンター/コンタクトセンターのさらなる業務効率化、顧客満足度向上を支援します。クラウド型コールセンター/コンタクトセンターシステムの構築をご検討される際には、ぜひ弊社にご相談ください。
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