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20240422コンタクトセンターのFAQ作成と活用のポイント(Vol.70)

WEBサイトや社内ポータルサイトでFAQを見かける人は多いと思います。特にコンタクトセンター関連の業務に従事する方々にとっては、重要なキーワードだと思います。質問がある際には電話やメールで人に聞くことが一般的ですが、これらを人がすべて対応していたら長時間拘束され、業務負荷が高くなり本来業務に専念できません。

そこで、FAQを活用できたら人を介さず利用者本人に自己解決を促せるので、問い合わせ業務の負荷低減にもつながります。しかしながら実際にFAQを活用しようとなっても、「FAQを作ってもなかなか電話が減らない・・・」「対応時間が減ってない・・・」というようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、このような課題を解決するためのコンタクトセンターにおけるFAQの考え方や、FAQの作成や活用のポイントについて解説していきます。

FAQとは?コンタクトセンターにおけるFAQの考え方

FAQとは「よくある質問(=Frequently Asked Questions)」であり、質問される頻度の高いものがまとまめられた質問と回答のセットのことです。

日々多くの問い合わせが発生するコンタクトセンターにおいても、このFAQの活用によって呼量削減やコールセンターの応対品質向上、本来業務の生産性向上等のビジネス効果が期待できます。また、近年注目されている生成AI「ChatGPT」との連携で、FAQの作成を効率化させるなどのビジネス検証もなされており、よりFAQの活用シーンは広がっていくでしょう。

ここで、FAQが一番見られるタイミングはいつでしょうか?基本的にコンタクトセンターの呼量の増減に合わせてFAQが見られる頻度も増減します。従って、システムが更改される直前や直後、障害が発生した時のタイミングで最もFAQが見られており、システム更改されてから時間が経つと問題が解消するためFAQは徐々に見られなくなっていくと言われています。

そのため、一般的にはシステム更改に備えて事前にFAQを作成しておくのが望ましいです。FAQを作成しておき、それをオペレーターの教育にも活用すればオペレーターの早期育成にもつながります。

また、FAQにより自己解決率が高まり、「問い合わせピークの抑制=問い合わせ負荷軽減」にもつながります。しかしながら、FAQをただ作っただけではなかなか使われず、失敗に終わってしまうケースも多々ありますので、FAQの作成に取り掛かる前の作戦立てもしっかり行いましょう。

FAQ作成の前に気を付けるポイントとは?

FAQを作成する前に、利用者のターゲット整理と問い合わせの交通整備(導線設計)を最優先で取り組みましょう。利用者はどのような人物か?ターゲットを整理しておくと利用シーンが想像しやすいためターゲット整理が有効です。

問い合わせの交通整備とは、利用者がどのようなルートで問い合わせをしているか、どうあるべきか整理することが重要です。問い合わせの交通整備をしないままFAQを作成してしまうと、そもそもFAQが活用されずに終わってしまう場合が多いので、交通整備もしっかり行いましょう。

電話の窓口を閉鎖して最初の問い合わせ窓口をAIチャットボットに集約し、どうしても解決しない場合に電話の窓口を案内するようにすれば、呼量削減につながるでしょう。
しかしながら、緊急性が求められる業務の場合には電話窓口を絞りづらいこともありますので、状況に応じて検討しましょう。

次に、FAQがあるにもかかわらず使われていない場合、その原因は何か?課題整理も必要です。FAQを検索してもなかなか意図した候補が表示されない場合や、操作性が悪くて利用が定着していない等、様々な原因があります。この場合は検索の精度向上やUI/操作性改善のためにツールの見直しも検討しましょう。

コンタクトセンターにおいてFAQが活用されない状況は、オペレーターの教育不足、業務知識に長けた現場のスペシャリストに任せきりで俗人化が起きている等、よくない傾向でもあります。FAQが最大限活用されるようなコンタクトセンターを目指していきましょう。

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FAQの作成方法

では、FAQを作成するには具体的にどのように進めればよいでしょうか。まずはどのような質問が想定されるか利用者の言葉で想定質問をリストアップしましょう。現状の利用者の問い合わせ手段を確認して、問い合わせ先や関連部門から想定されるFAQを収集します。

部内で共有のスプレッドシートを作成して、そこに問い合わせ担当メンバー全員でメモをしていって作成してみると良いでしょう。FAQを作成する際、対象のシステムや業務ごとにカテゴリを分類し、ある程度質問を絞った状態で検索してもらうようにするとヒット率(意図した質問候補が見つかる割合)が高まる特性があります。

また、FAQのカテゴリを第一階層、第二階層、第三階層と、どんどん深くすると情報は整理されます。しかし、第三階層より深いとあまり見られないという特性もありますので、なるべく第三階層以内に収まるように設計すると良いでしょう。

FAQの評価と運用

コンタクトセンターにおけるFAQの活用を評価するときのポイントは主に以下の3つです。

  1. 「ゼロ件ヒット率」・・・回答を見て「役に立った」を選択して終了したかどうか。
    一般的な基準はありませんが、割合が低い場合は改善を検討しましょう。
  2. 「回答閲覧後の離脱率」・・・FAQを検索して検索結果のいずれかの候補の回答を見たかどうか。一般的な基準はありませんが、割合が低い場合は改善を検討しましょう。
  3. 「FAQを閲覧した後の電話やメールの問い合わせ件数」・・・FAQを設置しても、その後の電話やメールが殺到している場合は改善を検討しましょう。

ここで、改善すべき点をそのまま放置すると、FAQの陳腐化(以前は役に立つ情報だったが、記憶に定着して情報が不要になること)や、利用者の傾向が変化してFAQがヒットしにくくなるなど、利便性が低下して利用者離れを招く可能性があります。

そのため、定期的にFAQの追加や更新をかけて継続的に改善できる運用を設計しましょう。利用しているFAQ検索ツールのメンテナンス性にもよりますが、FAQの更新頻度は1か月に1回程度が目安です。1か月に1回より多いと運用が大変になってしまい、反対に少ないとFAQの利用率が下がってしまう可能性があるので、適切な更新頻度の見極めが大事です。定期的な改善を行っていくための体制(チーム作り)も検討しましょう。

まとめ

今回はコンタクトセンターにおけるFAQの考え方や作成と活用のポイントについて、システム更改を備える担当者目線で紹介させていただきました。これらの考え方を身に付ければ、システム更改に伴う問い合わせ業務の負荷低減を図れます。

本記事でもご紹介したように、FAQをうまく活用すれば、FAQの利用で蓄積したVOC(利用者の声)からサービスの継続的改善にもつなげられます。

FAQの活用はそれだけではなく、CRMやAIチャットボット、ボイスボット、基幹システムとも連携させてWEB顧客接点強化、マーケティング活動への応用や基幹手続きの簡略化など、活用領域を広げていくことも可能です。

もし「コンタクトセンターの構築やFAQをうまく活用したいけど、経験がなく、できるか不安...」というお悩みをお持ちなら、コンタクトセンターの構築経験が豊富なITベンダーに構築を依頼してしまうのがいいでしょう。

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