コールセンターは実はとても長い歴史を持つサービスです。電話を活用した顧客とのコミュニケーションは様々な業種の様々な場面で活用されてきました。しかし、昨今のデジタル化の波によって今、大きな変貌を遂げようとしています。コールセンターの過去の歴史や存在意義から、変遷期ともいえる今の状況の中で、これから求められるであろうコールセンターの機能について解説していきます。
目次
コールセンターのルーツとなる電話は1876年にグラハム・ベルによって発明され、日本では1890年に開通しました。その時に同時に開始された電話番号案内のサービスが、日本におけるコールセンターの最初のサービスだと言われています。それから長い時間を経た130年以上後の現在も「104」でそのサービスは提供されていますし、電話を使ったコールセンターのサービスは数多くの様々な業種の領域で活用されています。
コールセンターとは電話によって何らかのサービスをするという役割と、そのサービスを行う組織や場所という意味を持っています。現在のコールセンターにはどのようなものが有るのでしょうか。大きく分けると以下の2種類になります。
コールセンターの種類
それぞれについて、目的や機能別にいくつかの種類に分かれています。
インバウンドのコールセンターはお客様からの電話を受け付ける役割です。業務によって3種類に分けることが可能です。
テレフォンオペレーターはお客様からの商品・サービスの受付や契約、その他の購入前の質問や問合せを受け付ける業務になります。どこへ問い合わせてよいのか分からない質問を適切な担当部門・拠点へ振り分けたりもします。TVショッピングやネット販売において電話で注文を受け付けるような業務もこれにあたります。
カスタマーサポートは自社製品やサービスの既存顧客からの問い合わせや苦情などクレームの対応を受け付ける業務になります。応対のためのマニュアルは有りますが、製品やサービスについての難しい相談を受けることも有り、その使用方法やトラブル時の対応方法などの知識が求められます。「お客様相談窓口」等と呼ばれることも有り、インバウンドのコールセンターの内では、カスタマーサポートのコールセンターが一番多いと言われています。
テクニカルサポートはPCや専門的な機械等、技術の知識などで比較的高いスキルが求められるコールセンター業務です。「サポートデスク」「ヘルプデスク」などと呼ばれることも有り、お客様の困り事を電話で聞き出し確認、内容を理解し、解決するための提案を行ったり、より専門的な担当者へエスカレーションしたりする業務になります。電話でのテクニカルサポートでは解決できない問題の場合は、お客様の所へ訪問して修理や対応を行う出張サポートの部署へ取り次ぎます。
アウトバウンドのコールセンターはお客様へ電話を発信する役割です。業務によって2種類に分けることが可能です。
テレフォンアポイントは営業が訪問営業するためのアポイントを取得する業務です。自社の保持するリストや展示会などで取得したリストに対して電話をかけることで、自社製品やサービスに興味を持つ見込み顧客を探し出すことがその役割です。インサイドセールスはこれに加えて自社の見込み顧客に対して定期的なフォローコールを行い、リードナーチャリングを行う役割です。顧客の状況や課題を電話で聞き出す際のヒアリング能力や自社製品の情報、競合情報など、「セールス」という名前の通り、より営業に近いスキルが求められます。営業の仕事の分業化が進んでおり、インサイドセールスとフィールドセールスという2つの役割を分けるケースが増えてます。
テレマーケティングは、製品・サービスの利用状況や満足度調査、アンケート調査を行います。自社の既存顧客に対してだけではなく、広く調査を行うことも有ります。選挙の時の世論調査などもテレマーケティングにあたります。昨今では電話ではなくメールとwebを使ったインターネットでの調査も多くなっていて、その専門業者も有ります。
一覧で見るコールセンターの分類
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長い歴史を持つコールセンターですが、昨今ではコンタクトセンターと呼ばれる組織も増えてきました。コールセンターとコンタクトセンターは何が違うのでしょうか。主に電話の受信や発信で顧客とのコミュニケーションを行うのがコールセンターです。電話だけではなくメールやSNS、webサイト、スマホアプリ等の様々な顧客接点チャネルを活用して顧客とコミュニケーションをとるのがコンタクトセンターです。
コールセンターでは電話音声での対応が中心となるためBPX、CTIに加えてCRMなどのシステムがその基盤となります。これは初期コストが大きくなりがちです。従来はオンプレミス型のシステムを導入・構築する必要が有りましたが、昨今はクラウドとしてサービス提供されるものが主流になってきています。クラウドにあるシステムに設定をして利用ができるようになるため、従来のようにハードウェアを購入して設置する必要がなく、初期にかかるコストや調達の時間を少なくできます。
コンタクトセンターではこれらに加えて、メールやSNS、webサイト、スマホアプリ等の電話以外での顧客とのコンタクト接点が多岐にわたります。これらのたくさんの顧客接点に関わる情報を統合し活用できるようにする必要が有ります。
顧客との接点が社内の様々な組織にまたがっているケースも多くあります。複数のシステムに分散している情報をシームレスに連携できないと有効な顧客とのコミュニケーションができません。コンタクトセンターではコミュニケーション設計と組織づくり、またそれに合わせた、より高度なシステム構築が必要になります。 昨今では、コールセンター/コンタクトセンターの構築にクラウドサービスが活用されるようになり、それら最新のクラウドサービスを組み合わせることで高機能なセンターを比較的容易に作ることができるようになっています。
コールセンター/コンタクトセンター システム構成図
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コールセンターは今後、発展的にコンタクトセンターになっていくのではないかと考えています。世の中のデジタル化は進むことは有っても戻ることは有りません。顧客はモノやサービスの購入を検討する場合、それらのモノやサービスの紹介をしているwebサイトを閲覧するのは普通でしょう。
さらに比較サイトやSNSでの評判なども調べ上げた上で、どれが自分の要求レベルに合致しているのかを選定します。そのプロセスでは企業のコールセンターに電話をするかもしれませんが、顧客と企業との接点が電話だけということは少ないのではないでしょうか。
Webサイトでカタログをダウンロードし、メールやSNS、チャットで分からないことを質問したり、購入にあたっての相談をしたりするかもしれません。スマホアプリを使ってコンフィグレーターでオリジナル仕様を作り見積もりをしているケースも有るでしょう。初期の情報収集時期でのコンタクトをしている顧客と、今まさに購入を決めようとしている顧客とのコンタクトをきちんと認識できない顧客コミュニケーションでは販売の機会損失になってしまう危険性が有ります。
その時々の顧客の状況に合わせた対応が十分にできるかどうかによって、成約に至るかが決まると言っても過言ではありません。顧客の購買行動の変化に合わせた顧客コミュニケーション設計をすることが重要なポイントです。コールセンターのコンタクトセンター化がその解決策の一つになるのではないかと考えています。
「そもそも、コールセンターとは?その役割と種類、向かうべき方向」と題しまして、ご説明してまいりました。企業は顧客の様々なコンタクト情報を統合し、顧客の要望に応えていかなくてはなりません。その理由は、顧客との良好な関係を継続していくことがビジネスを継続していくことになるからです。
そのためには営業や販売店舗等の直接的な顧客接点だけではなく、電話やメール、SNS、webサイト、スマホアプリ等の多くの顧客接点の情報に加えて顧客の購買履歴やプロファイル情報から最適な提案を行っていかなければなりません。
コールセンターの構築や刷新を検討する機会では、その存在意義やこれから先の自社ビジネスのあり方までを考える必要が有ります。その上でどのような顧客接点UI/UXをデザインするのかをしっかり検討することが重要です。コールセンターのコンタクトセンター化を成功させるため、DX対応を見据えたシステムづくりを目指してみてはいかがでしょうか?
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