皆さんは、お使いになっている機器が故障した際に利用される保守部品がどのように管理されているかご存じでしょうか。保守部品とは、機器の使用から、劣化や磨耗等が生じてしまい、交換を必要とする部品のことを言います。実は、企業によっては通常生産品と保守部品の管理がゴチャ混ぜになっているケースもたくさんあります。お客様に使って頂いている機器に故障が起きてしまったら、できるだけ早く修理を行い、きちんと動くようにしなければなりません。
そのためにも保守部品は常に在庫管理が徹底されていて、お客様からのご注文に対しては即納品できるように準備をしておきたいものです。本記事では以下の3点についてご紹介します。
目次
機器製造会社は、機器を製造し、販売、納品してから、その機器が利用を終えるまで、保守(メンテナンス)や点検を繰り返し行う必要があります。ですから現行はもちろんのこと、既に生産を中止している機器の保守部品を修理に備えて在庫しておく必要があります。
特にライフサイクルの長い製品においては、管理が煩雑になり、長期にわたり塩漬け在庫となってしまうケースも多いのではないでしょうか。また、以前の製品と現行製品で同じ保守部品を利用していたり、また、保守部品の共通化が進んでいなかったりすると、想像を超える部品数の管理が必要となってきます。
保守部品の管理の仕方次第で、ビジネスに良い影響が出てくるケースはとても多いですね。多量多品種の保守部品の管理は非常に煩雑になりやすいです。その対策のためにも、通常生産品と保守部品を管理上、明確に区別し、サービスの向上に向けた取り組みが必要となってきます。
例えば発注を考えたときに、理想は、通常生産品と、保守部品は別々に発注したい!そうすればどれだけ管理がしやすいでしょうか。しかし実際は発注数に制限があり、こちらの思う通りの数量を発注ができないケースはよくあります。結果として発注はひとつにまとめて行い、在庫管理は別々にしなければならない状況となります。しかし、まとめて発注を行った場合でも部品の入庫後は保守部品にタグ付けを行い、一覧で管理していく仕組みの構築が必要となってきます。
確かに保守部品の管理は、製品数も多く、いつどれだけ必要となるかも明確化されていないため、適切な在庫量を確保することはなかなか難しいかもしれません。しかし、お客様がご利用されている機器に故障が起こった際、修理に必要となる部品をすぐに準備でき、サービスマンが駆け付け修理が迅速に完了できれば、お客様に喜ばれます。お客様からは信頼を勝ち取ることもできますし、次のビジネスチャンスが生まれてくるのではないでしょうか。
フィールドサービスソリューション ARガイドブック ~ARを活用してフィールドサービス業務の効率化を実現~
修理作業において保守部品は欠かすことのできないものとなってきています。お客様の視点で言えば、保守部品は故障した機器がもとどおりに復帰するかどうかの大変重要なポイントとなってきます。 仮に販売した機器に不具合が起こってしまった場合、保守部品の管理がきちんとできていて常に修理に対する備えができていたとしたなら、迅速な修理対応が可能となりますね。迅速な対応こそが、顧客の信頼を勝ち取ることにつながるのではないでしょうか。
では、お客様は機器が故障してしまった際、いったい何を一番優先しているのか?を考えてみたことはありますか?実はお客様は故障や修理が必要になったとき、自分は最低限の対応をするだけで直してほしいと思っているのです。修理依頼に係る時間と手間が一番のポイントなのです。
機器が故障したら、ユーザーは取扱説明書を読み返してみたり、Webで同じような事象を探してみたりとかなりの時間をかけて解決しようとしています。コールセンターへ電話した際、「ただいま順番にお繋ぎしております・・・」のような永遠メッセージを聞くことになっているのではないでしょうか。
インターネットでの受付や、つながらないコールセンターよりも、すぐに繋がる「電話」を求めているかもしれませんね。重要なのは「修理してほしい」という依頼が完了したかです。
確かにお客様は故障に関して敏感で、すぐに対応してほしいという気持ちは強いと思います。そんな時に簡単に修理依頼ができて、しかも古い機種でも対応OK、依頼したらすぐに来て、一発で直してくれるとなれば、お客様はそのメーカーの機器をまた使いたいと思うのではないでしょうか。故障、修理というとネガティブはイメージとなりますが、実は顧客満足を獲得するためのチャンスなのです。
フィールドサービス業務の効率化ガイドブック ~顧客統合基盤を活用したフィールドサービス業務の効率化実現~
企業では、フィールドサービスを行う際の保守部品をどれくらい生産すればよいか、また仕入れを行えばよいかなど、市場の需要予測を行うことが重要になってきています。
なぜなら、需要がそれほど高くない保守部品にもかかわらず、過剰に生産すれば(または仕入れを行えば)保守部品の在庫が増加してしまうからです。逆にフィールドサービスにおける需要(利用頻度)が高いにもかかわらず、保守部品在庫をあまりしないと、保守部品が欠品し、本来行うべき修理作業に影響が出てきてしまうからです。
企業は未来に起こりうる機器の故障と保守部品の需要をできるだけ正確に予測し、必要なときに必要なだけの在庫量を確保することが求められています。企業によっては、過去の保守部品の受注実績に基づく統計データの収集や統計的な手法を用いて保守部品の需要予測を行っているケースもあります。また、修理の際にお客様へ提示する「作業報告書」の記載内容から、AIを利用し分析した結果、機器の故障の傾向を把握している例も出てきています。
このような企業では、特定保守部品の受注データを統計的に分析し、製品毎、価格帯毎に保守部品の需要予測に取り組んでいます。修理に利用される保守部品を正確に予測し、より迅速なサービス提供を行っていくために、製品によるばらつきや、季節もの、原価、重要部品、利用頻度、特需、など様々な要因を十分に考慮しています。
これらを解決する専用のアルゴリズムを有したソリューションも世の中にはすでに存在しています。また需要予測システムの導入により、お客様の受注に対する迅速な納品を実現しています。
お客様からの修理に応じた保守部品の注文に対して、保守部品を納品する割合を即納率や引当率と言います。即納率は、必要な時に必要な量の保守部品を適宜納品できているかの指標となります。この即納率を考える上で重要となってくるのは、保守部品の金額(単価)とその回転率の関係となります。
在庫金額に大きな影響を及ぼすケースとは、保守部品の価格が高額、受注頻度が低いことです。しかし機器にとっては重要部品という場合で、逆に、保守部品の単価が低く、受注頻度も高いケースでは、在庫回転率は非常に良くなります。在庫金額、即納率ともに良いサイクルを見出しやすいでしょう。
つまり即納率向上と在庫削減のトレードオフを実現できれば、サービス事業のプロフィット化も期待ができるのです。そのためには保守部品の金額と回転率を製品の趣により分類し、保守部品それぞれにおける需要予測を行うことが大事です。
企業のサービス戦略を検討する上で、現状のパフォーマンス分析、効果の仮説立案、業務課題に対する打ち手の方向性検討は重要となってきます。フィールドサービスをビジネスチャンスととらえる仕組みづくりを考えていくためにも、事前の効果検証が必要になってくることは間違いありません。
フィールドサービスソリューション IoTガイドブック ~IoTを活用してフィールドサービス業務の効率化を実現~
これまで、フィールドサービスにおける保守部品の管理の重要性をご説明してきました。また修理対応品質でお客様の信頼を勝ち取るための市場需要予測の考え方、過去実績を利用した予測技術についてご説明してまいりました。
皆様の企業における顧客接点の改革推進にお役に立ちましたでしょうか。企業における顧客サービス領における価値提供は、今後ますます加速するものと思われます。これまでのサービスにさらなる価値を提供するために、正確な市場把握と迅速なサービス対応でデジタルトランスフォーメーション化を見据えたしくみづくりを目指してみてはいかがでしょうか。
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