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Salesforce Data Cloud Oneで実現する“横断的営業データ統合”(Vol.118)

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多くの企業では、事業部ごとにSalesforce(セールスフォース)の組織(Org)が分かれており、各部門内では効率的に運用できていても、会社全体としてどのような商談が進行しているのかを横断的に把握するのは困難です。このデータの分断は、経営判断の遅れや顧客体験の分断につながり、統合的なアプローチが求められています。

そこで注目されているのが「Salesforce Data Cloud One」です。 複数のSalesforce組織をまたいだデータ統合と可視化を、迅速かつ低コストで実現できるソリューションとして、今まさに導入の機運が高まっています。

 

Data Cloud Oneとは?

Salesforce Data Cloud Oneは、Sales CloudをはじめとしたSalesforce組織(Org)とData Cloudをシームレスに接続できる新しい機能です。これにより、個別に存在していた取引先/取引先責任者データを統合し、リアルタイムに一元管理・活用できる基盤を素早く構築することが可能になります。

通常のData CloudとSales Cloud連携との違い

従来のData Cloudでも、Salesforce組織(Org)からのデータ連携はデータストリームを使ってGUI上で簡単に設定できましたが、Data CloudからSalesforce Orgへの出力にはQuery APIの活用が必要で、ApexやLWC(Lightning Web Components)の実装が不可欠でした。これが大きな開発工数と技術的なハードルとなっていた点が課題でした。

Data Cloud Oneでは、Data Cloud上のオブジェクトを自組織のオブジェクトのように扱えるため、Salesforceのフロー機能から直接参照・操作が可能です。これにより、開発を伴わずに業務プロセスへのデータ活用が実現します。

 

■ どんな企業におすすめか?

例1:複数のSales Cloudをすでに使っているがデータ活用が進まない

Sales Cloudを導入しているものの、事業部ごとにデータが分断され、横断的な顧客情報の活用が進んでいない企業に適しています。Data Cloud Oneを活用することで、他事業部が保有する商談情報をきっかけに、部門を超えた担当者同士の連携が可能となり、組織全体としての営業力向上が期待できます。

例2:部門横断のプロファイル統合をすぐに試したい

マーケティング、営業、カスタマーサクセスなど、複数部門で顧客接点が存在しているものの、統合された顧客像を把握できていない企業におすすめです。Data Cloudを活用すれば、部門を超えた顧客データの統合とID解決を短期間で試すことができ、さらにData Cloud One機能によりSalesforce組織(Org)にデータを戻すことで、実用的な「統合プロファイル」のイメージを素早く得ることが可能です。

 

■利用するメリット・注意点

メリット:Sales Cloudとシームレス/スピーディな立ち上げ

Data Cloud Oneは、Sales Cloudとのネイティブな連携により、短期間かつシンプルな構成でデータ統合を実現できるのが大きな特長です。

特に、他事業部が持つ商談情報を可視化することで、部門間での情報共有がスムーズになり、組織全体としての営業力の底上げが可能になります。

さらに、より質の高い顧客データを基に営業活動を行うことで、対応の的確さやタイミングが向上し、営業活動の品質改善にもつながります。

こうした取り組みが、属人的な活動からチームによる協働営業への転換を後押しします。

注意点:大量データ処理や構成によっては注意点あり

Data Cloud OneをSalesforceのフロー機能と組み合わせて利用する場合、一定の制約も存在します。

たとえば、大量のレコードを処理しようとした場合、トランザクションの実行時間やリソース消費に関する制限により、エラーや処理中断が発生する可能性があります

柔軟な業務設計にはData Graph APIとApex/LWC(Lightning Web Components)の活用を前提とした設計が求められる場面もあります。

そのため、業務規模や要件に応じた適切なアーキテクチャ選定と事前の負荷検証が、安定運用において重要となります。

 

■おわりに:まずは小さく試す、その第一歩に

Data Cloud Oneの最大の魅力は、「早く」「小さく」始められることです。従来のCDP導入には、設計から構築、活用まで多くのリソースや時間が必要とされ、導入の意思決定が難しくなるケースも少なくありません。その点、Data Cloud OneはSales Cloudとの高い親和性とシンプルな構成により、既存のSalesforce環境を活かしたスムーズな立ち上げが可能です。

まずはスモールスタートで、顧客データの統合やプロファイル活用を体験することで、「自社にとってCDPが本当に必要なのか」「どのように活用できるのか」といった具体的なイメージを描けるようになります。初期段階で無理にすべてを整えようとせず、小さく始めて段階的に広げていくアプローチは、現実的かつ成果の出やすい導入戦略といえるでしょう。

当社では、Salesforce Data Cloudの基本操作体験からData Cloud One導入、実践活用までをトータルにサポートするトライアルパッケージをご用意しています。「気になる」「話を聞いてみたい」と思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。Data Cloud活用の第一歩をご一緒にサポートいたします。

 

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