ブログ

コンタクトセンターのノンボイス化のメリット/デメリット、ノンボイス化のポイントを解説(Vol.87)

  • 公開日:
  • 最終更新日:

昨今、コンタクトセンターでは、電話だけでなくさまざまなコンタクトチャネル(問い合わせ手段)を用意しているところが増えてきています。ではなぜ、電話以外のコンタクトチャネル(問い合わせ手段)を用意する企業が増えてきているのでしょうか。本記事では、電話以外のコンタクトチャネルについて、それらのメリット/デメリットと、導入に当たってのポイントについてご説明します。

電話以外のコンタクトチャネル=「ノンボイス」

電話以外の(=音声を使わない)コンタクトチャネル(問い合わせ手段)は、総称して「ノンボイス」と呼ばれています。このノンボイスのチャネルとしては、メール、SMS(ショートメール)、チャット、Webサイトの問い合わせフォーム、SNSなどが挙げられます。いわゆるテキストベースのコミュニケーション手段と言えます。

先進的なコンタクトセンターでは、従来の電話だけのコンタクトチャネルから、ノンボイス化を積極的に進め、徐々に電話よりノンボイスの比率が高くなってきているセンターも増えつつあります。

ノンボイス化の背景とメリット/デメリット

背景

昨今のコンタクトセンターでは、人手不足による採用難や早期離職によるオペレーターの不足が深刻な問題になっています。また、早期離職が増えることで、新たに採用したオペレーターの教育や立ち上げにかかる時間や労力などコストも増えてきています。
そこで、オペレーター不足の対策として、ノンボイス化によってオペレーターの電話による応対件数を削減させることを狙うようになりました。また、昨今のAIの進歩により、頻度が高い問い合わせや定型的な問い合わせについては、自動回答することも可能になってきました。AIでの回答が増えると、コンタクトセンターに架かる呼量が減るため、オペレーターが顧客と応対する時間、その後の事後作業量が削減されます。結果、採用難によるオペレーター不足の対策として有効と考えられます。

また、オペレーター不足により電話がなかなか繋がらない状況が発生したり、教育の不行き届きによって応対品質の低下を招いたりし、結果として顧客満足度が低下してしまうといったことを避けたいという狙いもあります。ノンボイス化を進めれば、そのような事態も回避できる可能性があるからです。

一方、スマートフォンやタブレットの普及により、コミュニケーション手段が変化してきました。電話よりもテキストベースのコミュニケーション手段が一般化し、コンタクトセンターにおいてもテキストベースでの問い合わせを好む顧客が増加してきています。そのような顧客の要望に応えることも背景の一つとして考えられます。

もはや、電話だけのコンタクトセンターでは立ち行かなくなる時代も近いのかもしれません。

メリット

前述の通り、ノンボイス化のメリットとして一番大きいのは、企業側では電話による応対件数の減少によるコスト削減、業務効率化やオペレーター不足の解消が挙げられます。また、例えば深夜や早朝の電話応対をノンボイスに切り替えれば、働き方改革実現にも寄与できるかもしれません。

さらに、ノンボイス化によって、24時間365日サポートが可能となり、本当に必要な電話だけをオペレーターに繋げることで顧客満足度や応対品質の向上も実現できます。

一方、顧客側のメリットとしては、自分の都合でいつでもどこでも問い合わせが可能になることです。窓口が電話だけの場合であれば、かける場所や時間も限られてしまいますが、ノンボイスであれば思い立ったらすぐに問い合わせができるわけです。チャットボットのような無人で運用されているチャネルであれば、24時間365日サポートを受けることも可能となります。

 

デメリット

ノンボイス化はいいことだけではありません。当然デメリットも存在しています。従来の電話応対に比べ、複雑な内容や顧客固有の問い合わせには的確な回答が難しく、解決できないといった傾向があります。これでは、顧客満足度の低下を招く可能性があります。やはり、一部の業務では有人の電話窓口もしくはノンボイスのチャネルでも有人で対応できるチャネルの利用を検討する必要があります。また、当然のことながらクレーム対応は最もノンボイス化に適さない業務の一つと言えます。

顧客側の立場で言えば、複雑な内容の問い合わせではどうしても文章が長文化したり意図を明確に伝えることが難しかったりすることがあります。また、微妙なニュアンスが伝えにくいといったことも挙げられます。そのようなケースではやはり電話でのコミュニケーションに軍配が上がると言わざるを得ません。

ノンボイス化を進めるに当たってのポイント

  1. ノンボイス化するチャネルの選定
    まず、ノンボイス化するチャネルの選定が重要になってきます。やみくもにチャネルを増やすのは得策ではありません。やはり導入する企業の業種、業態、利用シーンや問い合わせ内容、顧客の属性などによって最適なチャネルを選定する必要があります。手軽でスピーディーなコミュニケーションを目指すのであればチャットが適していますし、比較的長文の問い合わせが多いのであればメールが適しています。また、例えば富裕層や高齢者をターゲットとする企業であれば、電話をメインにノンボイスはメールだけにするとか、顧客が消費者ではなく企業であればSNSは不要 などの判断ができるかと思います。
  2. CRMシステムなど外部システムとのシームレスな連携
    前述の通りノンボイスのチャネルは複数あります。その複数あるチャネルからの問い合わせを一元管理することが最も重要です。当然のことながら、どのチャネルから問い合わせされても、どのスタッフやオペレーターが受け付けてもきちんと応対できるように、すべての情報がリアルタイムに、またシームレスに連携されていることが必須なのです。ここを怠ると、顧客は毎回同じ説明をする羽目になったり、たらい回しになったりと、せっかく顧客満足度向上のためにノンボイス化を行ったのに逆効果になってしまいます。
  3. FAQの充実
    ノンボイス化を推進する上ではWebサイトで公開しているFAQやヘルプなどの充実も重要です。ノンボイスでの問い合わせを好む顧客は、比較的不明点などを自分で調べて解決しようとする傾向があります。そのため、FAQやヘルプの情報を充実させることによって顧客は自己解決することが増え、結果として有人チャネルへの問い合わせ件数の減少につながることが期待できます。

クラウド化・効率化を考える第一歩目にピッタリ
コンタクトセンターソリューション基本ガイドブック

まとめ

「コンタクトセンターのノンボイス化のメリット/デメリット、ノンボイス化のポイントを解説」と題して、ご紹介してまいりました。今や、コンタクトセンターのノンボイス化は急務であるといっても過言ではありません。ノンボイス化によって、顧客の心をがっちりつかみ、顧客満足度を向上させるとともに、社内で山積しているオペレーター不足やコスト削減などの問題を解決することも可能となると考えます。

電通総研では、コンタクトセンターにおけるノンボイス化について豊富な実績やノウハウを有しておりますので、是非ご相談ください。

当サイトでは、顧客接点DXソリューションに関するダウンロード資料を多数ご用意しております。ぜひダウンロードいただき、資料をご活用ください。

関連記事

最新記事

全社的なDX推進や顧客接点の最適化、エンゲージメントの強化など
お困りごとやお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

これからの新しいコンタクトセンター の作り方ガイド ~音声テキスト化(VOC)ノンボイス対応、 在宅コンタクトセンター~
資料ダウンロードはこちら