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IVR(自動音声応答装置)とは?コールセンターでの役割や効果を解説(Vol.18)

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企業の効率的なコールセンター、コンタクトセンターの運営に欠かせないものはたくさんありますが、そのなかでもIVR(自動音声応答装置)は古くから利用されているものの1つです。IVRの利用を前提としたセンターの人員配置や業務構造設計は、もはやあたりまえのものとなっています。一方で、あたりまえだからこそ「詳しくは知らない・わからない」方も多いのではないでしょうか?ここでは、IVRについて紹介しIVRが導入されている背景やコールセンターにおける役割などについて解説していきます。

IVRとは?言葉の意味と導入される背景

IVR(アイブイアール)とは「Interactive Voice Response」の略で、直訳すると「相互の音声応答」となります。「Interactive 相互の」、「Voice 音声」、「Response 応答」という訳になるわけです。

一般的にIVRとは「自動音声応答装置」や「自動音声応答システム」と訳されることが多いようです。ちなみに “装置”と呼ばれるのは、IVRが登場した頃は1つの装置(サーバー)が1つの機能を担う形が多かったためと思われます。しかし、クラウドサービスが主流の現在においては装置という概念は薄れ、あくまでも機能の1つという意味で捉えられています。

自動音声応答という名前のとおり、かかってきた電話に対して自動で応答することができるものです。それ以外にも顧客側のプッシュボタンの操作によって、案内する内容を変化できることが最も大きな特徴です。

IVRが自動で応答 → 顧客がプッシュボタンを操作 → IVRが操作に応じた案内 → ・・・
といった形で、まさに“相互”にやりとりが行われます。

このような機能を利用して、オペレーターが電話に応答してまず初めに用件を伺い、また別のオペレーターに転送する、という人手を介していた部分をIVRの自動音声がサポートするようになっていきました。大規模なコールセンターほど業務も複雑で多岐にわたるため、効率的なコールセンターにIVRは欠かせないものとなっていきました。

IVRのコールセンターにおける役割 電話の自動応答

ここではIVRのコールセンターにおける役割について電話を中心に解説します。

かかってきた電話に対して自動で応答することができるものと書きましたが、IVRの機能をさらに細かく分類すると以下のようなものになります。()内はアナウンスのイメージです。

IVR機能の分類

  •  かかってきた電話への自動応答
    (お電話ありがとうございます。〇〇コールセンターです。)
  • 録音音声または音声合成によるアナウンス
    (□□をご希望の方は1を、△△をご希望の方は2を、入力してください。)
  • プッシュボタン操作による番号入力受付と入力内容の判断
  • 判断結果をもとにしたアナウンス内容の切り替え、または適切なオペレーターへの転送(スキルベースルーティング)
    (□□ですね、内容を照会しますのでそのまましばらくお待ちください。)
    (△△ですね、オペレーターにお繋ぎいたしますので電話を切らずにお待ちください。)

これらの要素を繋ぎ合わせた「音声フロー」を構築することで、人手で行っていた業務の自動化をIVRで実現しています。

以下の図はIVRが登場する前のコールセンターと、IVR導入後のコールセンターのイメージ図です。図1のように、IVRが登場する前はかかってくる電話の多くは対応しきれずに顧客満足度の低下を招いています。また受付オペレーターは常にフル稼働状態ですが、割り振りされない専門オペレーターは稼働していない状態になるなど、負荷のバランスが取れていない状態になっています。

IVRが導入されると図2のように電話の受付はIVRが自動で行うため、受付オペレーターが不要となり人員の削減につながります。また、システムによる対応のため契約している電話回線の上限いっぱいまで顧客応対ができます。専門オペレーターの稼働も適切となり顧客満足度の向上と負荷均一化の両立が可能となります。

図1:IVR登場前のコールセンター

図2:IVR導入後のコールセンター

このように、IVRは受付オペレーターの代わりを担う存在であり、人材不足のコールセンターにおいて欠かせないものになりました。

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IVRを導入することで得られる効果とデメリット

IVRを導入することで得られる効果は人材不足の解消以外にもあります。次の2つの効果について見ていきましょう。

IVR導入の効果

  • 応答率の向上
  • 24時間365日の対応

応答率の向上

IVRが登場する前のコールセンターでは、いくら回線数を増やしたとしても受付オペレーターの人数までしか電話を受け付けることができませんでした。また、受付オペレーターが電話取次をしている間は次の電話に応答することもできず、顧客はその間ずっと待たされることになり、応答率の低下を招いていました。

IVRを導入したコールセンターでは電話の受付はIVRが行います。IVRはプログラムで動作するシステムなので、回線数を増やせば増やすほど応答可能な数が増えます。これまで待たされていた顧客の分も対応が可能となり、結果として応答率が向上します。

24時間365日の対応

IVRはプログラムで動作するシステムと記載しましたが、このメリットは他にも多くあります。その中でも時間の制約がなくなる点は最大のメリットではないでしょうか。受付オペレーターによる有人対応では、どうしても労働時間の問題から受付可能時間が制限されることになります。IVRの場合は労働時間を気にする必要はありません。IVRだけで完結可能な用件であればまさに24時間365日の対応が可能となります。

ここまで読むとIVRを導入することにはメリットしかないように聞こえるかもしれませんが、やはりデメリットもあります。ここでは次の2つのデメリットについて見ていきます。

IVR導入のデメリット

  • 音声フローの全体像がわかりにくく顧客側の負担になる
  • メニュー構造の設計が難しい

音声フローの全体像がわかりにくく顧客側の負担になる

電話というチャネルの特性上音声でしか案内ができないため、顧客側からすると音声案内を最初から最後まで聞くしか全体を把握する手段がありません。顧客が抱えている問題がそのまま音声フローの選択肢になっていれば良いですが、大抵の場合ピッタリな選択肢はありません。

そうすると顧客は一旦、音声案内を全部聞いたうえで自分の問題に最も近い選択肢を選ぶ必要があります。ところが、電話の音質はそこまで良いわけではないので比較的遅いペースのアナウンスになり、かつ言い回しも丁寧になる傾向があるため、聞き逃してしまうケースがあります。また最後まで聞き終わるころには、最初のアナウンスが何だったのか忘れてしまうというケースも頻繁に発生します。

しかし、一部分だけを聞きなおすためには、初めから全部聞きなおすしか方法がありません。結果として拘束時間が長くなり、顧客側の大きな負担となります。何らかの問題を抱えて電話をかけてきているのにさらに不満を抱かせることとなり、顧客満足度低下の原因にもなりかねません。

メニュー構造の設計が難しい

このような不満を抱かせる顧客体験にならないようにメニュー構造を十分検討し、使いやすい構造にする必要があります。顧客が抱えている問題はまさに千差万別、様々な問い合わせがあります。万人に合うメニュー構造を作ることは難しく、汎用的なメニュー構造にならざるを得ません。

メニュー構造を作るときに難しいのが、どの程度の汎用性にするかという点です。汎用性が低くなると顧客満足度の低下を招く可能性があります。一方で汎用性を高くしすぎると、顧客は当てはまるものを見つけることができず、「その他」のメニューを選択しがちになります。すると、IVRの自動振り分けが実質意味のないものとなり、逆にオペレーターの作業負荷が高くなってしまうのです。

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まとめ

「IVRとは?コールセンターでの役割や効果を解説」と題しまして、ご説明してまいりました。コールセンター業界は多くの企業で人材不足が大きな課題となっています。IVRはコールセンターの効率的な運営に欠かせないツールとなっています。新しい機能や技術を取り込んだ上、それらのメリットとデメリットを正しく理解し、改めてIVRの上手な活用を検討してみましょう。

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