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コールセンター外注化の意外なメリットとデメリットを考えてみた(Vol.14)

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最近コールセンターの外注化という言葉を耳にする機会が多く、自社の中にもお客様サポートデスク、いわゆるコールセンター機能がいくつかの部署で存在しており、社内導入の可能性も含めて調べてみました。本記事では、私の気づいたコールセンターの運営を外注化・アウトソーシング・BPO・業務委託するときの課題や注意点、これからのコールセンターの在り方を解説いたします。そして「ハッと気づいたこと」も書いてみようと思います。何らかのご参考になれば幸いです。

コールセンターのアウトソーシングとBPOの違いとは?

一口に外注化といっても、業務委託、アウトソーシング、BPO(Business Process Outsourcing)といった言葉が点在しており、それぞれの意味を調べてみました。

まずアウトソーシング、BPOは業務委託の内の一つの形態として位置づけられているので、アウトソーシングとBPOの違いに絞って記載します。

一般的にアウトソーシングは、業務の一部を外部リソースに委託し業務の代行することを指すケースが多いようです。一方BPOはアウトソーシングの一つですが、業務全体を一括して外部委託する際に使われ、その際単に従来の業務を委託するのではなく、新たに業務の改善を目的とします。BPOベンダーと協議の上、業務の共通化や効率化を進め、全体の工数の削減と業務プロセスの再設計を行います。

ただ、確認したところアウトソーシングとBPOの違いに特に明確な基準があるわけではなく、ほぼ同じ意味で使われていることも多く、大きく異なりませんでした。とりわけコールセンター業務においてはその傾向が強いことが分かりました。

コールセンター外注化のメリットと課題

一般的な業務のアウトソーシングまたはBPOを利用する主なメリットとして以下の点が挙げられています。

  1. ノンコア業務を外部委託することでコア業務に集中できる
  2. 専門性のあるプロに委託することで、業務効率が上がる
  3. 初期の立ち上げのスピードが速い
  4. 季節変動などへの人員(席の数)調整がしやすい
  5. オペレーターの人材の採用問題(とりわけクレーム処理などは離職率が高い傾向)
  6. 自社のオフィスや拠点などをコールセンター用に確保する必要がない(規模が大きい場合は特に)

以上の観点から、弊社のサポートデスク(インバウンド)に当てはめて考えてみました。3~6は弊社でもメリットはありそうです。しかし1と2はデメリットを整理した方がよさそうです。

まず1に関してですが、ある日、食品会社のお客様とお客様相談窓口(コールセンター)の外注化の話題になりました。お客様曰く「当社のお客様相談窓口は、商品への異物混入や食中毒など品質の問題が発生した際、迅速に対応しなければならないため、外部委託することは考えられない」というコメントでした。その会社にとって、コールセンター業務は発生しうるリスクに対応するためのコア業務であるので外部委託の選択肢はない、ということなのです。

弊社の提供しているサービス・製品にもミッションクリティカルなものはあります。トラブルがお客様の業務に多大なご迷惑をお掛けする可能性もあるため、受付の時間は夜間を含めて24時間、専門のスタッフが対応する体制のものもあり、ノンコア業務とは言えないのではないでしょうか。

2に関しても、弊社が開発・提供している以上の高品質なサービスを他社が提供できるのだろうかという疑問があります。外部委託では社内にノウハウが蓄積されにくいという点も考えると、社員の教育や研修、経験による育成という点は課題ではないでしょうか。その代わりにどのようなフォローをするか、対策を考える必要があります。

また昨今のコミュニケーション手段が多様化している時代に、従来のままの電話・メールだけに対応できれば良いのだろうかという疑問も湧いてきました。どのような形にすればコールセンターの生産性は高くすることができ、応対の品質向上につながるのでしょうか。

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コールセンター外注化にかかる費用と比較ポイントとは?

コールセンターを外部に委託する際、最初に気になるのは「費用」や「料金体系」ではないでしょうか。特に、社内における人件費や教育コストと外注先の月額料金や従量課金制などを比較することは、重要な意思決定材料の一つです。

実際に複数の業者で料金体系を比較すると、たとえば「1件あたりいくら」という従量課金制を採用しているところや、「月○時間まで定額、超過分は追加課金」といった固定+変動型プランもあります。導入時には見積もり項目の中に、システム連携、トークスクリプトの作成費、対応チャネルの追加費用が含まれているかどうかを詳細に確認することがポイントです。

また、電話回線やCTIなどの専用設備の設置が不要なクラウド型コールシステムを選ぶことで、初期費用を抑えることも可能です。BCP(事業継続計画)対策の観点からも、複数拠点や在宅対応が可能な仕組みは近年評価が高まっています。

導入の検討段階では、「どの業務内容を委託するか」「1日あたり・月あたりの受電件数」「受電時間帯」など、自社の状況をしっかり洗い出した上で比較検討することが、無駄のない外注化への第一歩となります。

コールセンターの新しい選択肢はコンタクトセンター

従来から存在する既存のコールセンターは、電話対応、場合によってはメールでの問い合わせが基本でした。言われてみれば、弊社のサポートデスクも長らくメール・電話のみの対応でした。

しかしながら、最近の顧客とのコミュニケーションは、電話・メール以外にもECサイトやLINE・ツイッターといったSNS、チャット、企業独自のスマホアプリ等多岐にわたっています。業務の対象も、どちらかと言えば購入後のアフターサポート領域が中心だったのに対し、購入前の検討段階・購入時においてもマーケティングとして様々なチャネルを通じた、顧客との多様なコュニケーションの実現が必須となっているのが現状です。

コールセンターの機能としても質の変化が大きく、音声の自動テキスト化、ノンボイス対応、アンケート集計、テレマーケティング、市場調査など、幅広い要件が求められるようになっています。さまざまな顧客接点をお客様のニーズに合わせて活用していくことが顧客満足度の向上につながります。

以上のような背景から、こういったマルチチャネル対応、多機能を有し顧客のニーズに対応しているものは、コールセンターではなくコンタクトセンターと呼ばれるようになり、増えてきています。

コンタクトセンターとなると、複数のチャネルの運用を一括で任せて依頼できるベンダーは限られています。選び方はコストやセキュリティはもちろん、顧客固有の要件にどこまで対応できるのか実績やスキルの調査をして慎重に見極めて選ぶことおすすめします。

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コールセンターの外注化を失敗しないための選定ポイント3つ

コールセンターを外注する際、「価格の安さ」だけで業者を選んでしまうと、応対品質の低下や情報漏えいなどのリスクが発生する可能性があります。ここでは、失敗しない業者選びのポイントを3つにまとめました。

  1. 実績・業界知識のある業者を選ぶ
    自治体、金融、製造、通販など、業種ごとに必要な対応レベルや知識が異なります。自社と同じ業界での対応実績があるかどうかは、問い合わせ内容の適切な理解や、顧客対応の質に大きく関わってきます。
  2.  情報セキュリティ・個人情報保護の体制を確認
    顧客情報を扱う以上、情報セキュリティ体制は必須です。ISMS認証の有無や、オペレーターの教育・スクリプト管理、入退室管理の厳格さなど、セキュリティ面の確認を徹底しましょう。
  3.  柔軟なカスタマイズ対応が可能か
    すべてがテンプレート通りでは、応対品質に差が出やすくなります。スクリプトの調整や、チャネルの追加、受電件数の増減への対応など、自社の運用に合わせた柔軟な設計が可能かを確認しましょう。

まとめ

「コールセンター外注化の意外なメリットとデメリットを考えてみた」題して、ご説明してまいりました。ハッと気づいたことは、ひとつではないので、最後にもう一度、整理してみます。

コールセンターの外注化に関して、業務委託、アウトソーシング、BPO等様々な言い方があります。業務範囲によって多少のニュアンスはありますが、それぞれの意味に大きな違いがないことがわかりました。

また外注化する場合の手順としては、その業務の内容が事業にとってコア業務かどうか、社内にノウハウを蓄積する必要があるかなどの点で、外注化に適しているかの判断をすることが重要となります。自社のビジネスの強みの源泉がどこにあるのかも方針を選定する重要な要素になります。

さらに求められる機能も従来のコールセンターではなく、コンタクトセンターと呼ばれるマルチチャネル対応が求められてきます。この先、自社にとって最適な形を改めて考える必要があるのではないでしょうか。

そのためコールセンターの外注化を検討する場合、コンタクトセンター機能も十分に考慮して行うことをおすすめします。すべての業務を外部に委託するのではなく、一部は社内で構築するというハイブリッド型の選択肢もあるのではないか、と感じました。弊社ではコンタクトセンターに関して豊富な実績があり、その構築に加えてBPOを併用するハイブリッドなセンター構築のご提案も柔軟に対応が可能です。何かお困りの際はぜひご相談ください。

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