DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として在宅での電話業務が行える環境にしたいというご要望からクラウド型PBXのご相談が増えております。本記事ではクラウド型PBXの1つであり、手軽に環境を用意できるAmazon Connect(アマゾンコネクト)の料金の概要について分かりやすく解説したいと思います。
目次
Amazon Connectの料金は、受電環境を用意するために必要な機材や契約を、オールインワンで利用するクラウド型PBX で構成されています。よって一般的なPBXの料金と、クラウド型PBX である Amazon Connect の単純比較ができません。
クラウド型PBXは、オンプレミス環境で保有していたアプライアンス型PBXをクラウド上で利用できるサービスです。アプライアンス型PBXは別途電話回線の契約や各種回線の敷設が必要であり、単体では電話環境としては機能しない製品もあります。一方、Amazon Connectはサービス単体で受電環境を提供できます。比較する場合は電話の基本仕様・通話料・PBXの保守費用を合算して、見た方がよいでしょう。
ランニング費用の考え方イメージ(構築費用は別途)
コスト比較のご相談を受ける機会が増えましたが、PBXの費用だけで比較されていることが散見されます。適切な比較方法は、現在保有されている電話環境維持にかかっているPBXや周辺機材の保守費用や電話契約の利用料、通話料なども含めて算出することです。電話環境維持にかかっているコストを洗い出してみることをおススメします。
Amazon Connect の料金: https://aws.amazon.com/jp/connect/pricing/
Amazon Connect の料金をちょっと覗いてみると…「???」となる方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも実は結構シンプルな料金体系なのです。細かいキャンペーンや割引サービス、海外通話を一旦無視すると「電話番号の種別ごとに、それぞれ何分受信/発信したか」が料金の発生するポイントになります。つまりどれくらいの時間通話しているのかさえ分かれば利用料が試算できます。 以下は1日相当の利用料計算式です。
① <直通ダイヤルの電話番号数(03/050)> × $0.10 ② <フリーダイヤルの電話番号数(0120/0800)> × $0.48 ③ <(03/050)の総受信通話時間 ○○分> × $0.021 ④ <(0120/0800)の総受信通話時間 ○○分> × $0.166 ⑤ <総発信通話時間 ○○分> × $0.102
1日あたりの利用料 = ① + ② + ③ + ④ + ⑤
円換算してみます。(AWS東京リージョン、為替レートは¥140/$、AWSサポート費用10%)
① 直通ダイヤル取得番号数1つあたり : ¥15/日、¥468/月 ② フリーダイヤル取得番号数1つあたり : ¥74/日、¥2,248/月 ③ 直通ダイヤル受信時間60分あたり : ¥194/時間 ④ フリーダイヤル受信時間60分あたり : ¥1,536/時間 ⑤ 発信時間60分あたり : ¥946/時間
例えば10人のオペレーターが、1つの直通番号で、着信の対応3時間、発信の対応1時間、その他業務(情報入力や付帯作業)4時間で、20日/月勤務されている場合、 1日の利用料は ¥10,064 1か月の利用料は ¥306,128 となります。ちなみにこのケースでは、約¥336/月増分で録音しておくことができます。
席数やオペレーター数で課金されるライセンスなどはありません。よって何名で応対されていても、このような計算式で概算費用を算出することができます。
クラウド化・効率化を考える第一歩目にピッタリ コンタクトセンターソリューション基本ガイドブック
Amazon Connectの導入はどこまで作りこむかで期間とコストが決まります。最もシンプルな電話フローの場合、電話番号取得(*1)から最短で数時間で環境を準備できます。 *1 現在日本では電話番号の発番のためにAWS社へ申請・審議を経て1週間程度必要です。
Amazon Connectの機能カバレッジ
Amazon Connectで構築したい電話環境の規模・機能スコープに応じて変わってきます。しかし、これまでの電話環境と比較すると圧倒的に短期で構築が可能となります。
電話システム機能を最小限で構築する場合の一例
費用:社内人件費(内製化も十分可能!)
一方、作りこむ際の観点にはいくつかのポイントがあります。
・お客様用のWeb画面等、タッチポイント/チャネルの改善・追加 ・登録しておくユーザー数 ・振り分け設定の複雑さ ・電話フロー(≠IVR)の複雑さ ・CTIアダプタ/CRMツールとの連携有無 ・社内システムとの連携有無
このような Amazon Connect の構築ポイントが挙げられます。規模は要件に応じて大きく変わりますので、あくまでご参考レベルの情報になります。顧客側のWeb画面開発とSalesforceをCRMとして採用した場合は、以下のような期間で構築した事例があります。
コンタクトセンターをAmazon Connectで新規に立ち上げるパターン(弊社参考事例より)
費用:社内外の要件定義~開発~リリースの人件費 CRMライセンス費用
繰り返しになりますが、あくまでも一例です。本格的に導入を検討される際には是非ご相談ください。
コンタクトセンターのクラウド化の課題解決に Amazon Connect機能と新テクノロジーがわかるガイドブック
本記事はAmazon Connectの料金と簡単な導入ステップをご紹介いたしました。
Amazon Connectの料金のイメージ
Amazon Connectの一番のメリットは、音声基盤をクラウド化し「初期導入コストを抑えられる」ことに尽きると言えます。「 Amazon Connect は経費で利用できて、満足できなければやめることができる」という考え方は非常に大きなポイントです。つまり、スモールスタートができるクラウドPBXなのです。小さく始めてみて、理想のコンタクトセンターに少しずつ近づけていくことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 ※本ブログの情報は2022年10月31日時点での情報です。
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