マーケティングの成功は、顧客をどれだけ深く理解しているかにかかっています。たとえば、「20代」や「都市部の若者」といった広い範囲でターゲットを設定した場合、その層の全体に対して同じアプローチを行うことになり、その結果、ニーズや関心に的確に応えることができません。なぜなら、このようなターゲット設定では、広すぎてそれぞれの個別のニーズや行動パターンに対応しきれないからです。
顧客像をただ漠然と広く捉えるだけでは、マーケティング施策および効果をうまく活用することは難しいです。データを的確に活用して具体的な「ペルソナ」を作成することにより、マーケティング施策が一段と効果的になります。本記事では、ペルソナとは何か、どのようにデータを活用して作成するのか、そしてどのように活用できるかを解説します。特に金融業界の事例を交えながら、実践的に活用方法を解説していきます。
目次
ペルソナは、特定のターゲット顧客層を具体化した「架空の人物像」です。ペルソナを作成して推進することにより、以下のようなメリットがあります
よくターゲットとペルソナを混同させてしまう方がいるので、その違いを説明します。ターゲットは広範囲な顧客層を指し示すのに対し、ペルソナは具体的な1人の架空顧客に焦点を当てています。以下の図を参考にしてください。
図1:ターゲット
図2:ペルソナ
ペルソナを作成する際、なぜデータドリブンなペルソナ作成を行う必要があるのでしょうか。それは感覚や経験だけで作成したペルソナは、実際の顧客像とかけ離れるリスクがあります。データを活用することで、顧客の行動やニーズを正確に反映した信頼性の高いペルソナを作成できるのです。 実際には以下の3つのステップでペルソナを作成していきます。
質の高いペルソナを作成するためには、まず信頼できるデータを収集する必要があります。以下のデータソースを活用しましょう。
収集したデータを分析し、顧客をセグメント化します。たとえば、購買頻度(高頻度購入者と潜在顧客)や製品カテゴリごとの興味(投資商品 vs 定期預金)といった基準でグループを作ると効果的です。
データに基づいて、以下のような詳細な情報を盛り込みます。
図3:ペルソナ作成プロセス
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実際にペルソナを作成し、活用した事例を紹介します。ある地方銀行では、名義変更の手続きを行った顧客を対象に、ライフイベントに基づくマーケティング施策を実施しました。この施策の背景には、「名義変更を行う顧客は人生の転換期にいる可能性が高い」という仮説がありました。たとえば、結婚や出産などが理由で名義変更をする顧客は、マイカー購入、子どもの教育資金、住宅購入などの新たなニーズを抱えていることが想定されます。 そこで、この銀行では、名義変更を行った顧客に特化したペルソナを作成しました。このペルソナは、「30代前半、共働きの家庭、子どもが1~2人いる」といった属性を想定し、彼らが興味を持ちそうなマイカーローン、教育ローン、住宅ローンの案内を行いました。特にメールの内容は、ペルソナが抱える課題に寄り添った形で設計され、たとえば「子どもの成長を支える教育ローン」や「家族の新しい生活に合った住宅ローン」といった、具体的なライフステージに合わせたメッセージが込められました。 その結果、通常のメール配信ではクリック率が約1%程度であったのに対し、この施策では5%と約5倍の成果を上げました。この成功は、データドリブンなペルソナ作成が施策のターゲティング精度を向上させた好例と言えます。施策を行う際に、顧客のライフステージや行動に基づくペルソナを活用することで、より効果的なコミュニケーションが可能になることが示されました。
デジタルマーケティングを成功させるためのペルソナ作成とは?と題しまして、ペルソナの定義、データを活用した作成方法、そして実際の活用事例について説明してまいりました。ペルソナは顧客の具体的なニーズや行動を理解し、効果的な施策を設計するための重要な基盤です。特に、データドリブンな方法で作成されたペルソナは、顧客体験の向上やパーソナライズの強化に大きく貢献します。 今回紹介した実例のように、ペルソナを活用することでマーケティング施策の成果を飛躍的に向上させることが可能です。貴社のマーケティング活動をさらに効果的なものにするために、この機会にデータに基づくペルソナを作成してみませんか?
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