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購買行動モデルとは? マーケティング施策への活用方法(Vol.105)

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インターネットの普及により従来のマーケティング施策では成果を出すことが難しくなっています。さまざまなツールから情報が得られるなかで、消費者の購買行動が変化しているためです。企業がマーケティング戦略を立てるには、時代や環境などの要因で変化する消費者の購買行動の変化を理解し、適切な施策を打つ必要があります。本記事では、購買行動モデルの意味とマーケティング施策への活用方法について解説します。モデルの活用例や選び方にもふれていますので、ぜひ参考になさってください。

購買行動モデルとは?

購買行動とは「商品の購入、使用、処分する」の消費者行動に含まれる行動を指します。細分化すると以下の通りです。

  • 商品の選択
  • 購入場所の選択
  • ブランドの選択
  • 購買価格
  • 購買回数

商品やサービスの存在を知り購入に至るまで、消費者はさまざまな感情を抱いて行動しています。その行動や心理を分析し、適切な購買促進策や関係構築の手法を検討するために「購買行動モデル」が提唱されているのです。

消費者の購買行動の変化と影響要因
スマートフォンでECサイトを閲覧する人

購買行動モデルは「マスメディア」や「インターネット」「SNS」の3つに大分され、それぞれに適したモデルが存在します。これらは消費者の購買行動に合わせて提唱されたものです。消費者行動は、経済的・心理的・社会的要因が影響し変化します。売上向上や集客など、ビジネスの成果へつなげるには、こうした消費者を取り巻く要因を把握し、消費者への理解を深める必要があります。

 

代表的な購買行動モデルの種類と特徴

モニターのデータを指す

ここからは代表的な購買行動モデルの種類と特徴について解説します。従来から提唱されているものから現代モデルまでご紹介します。

AIDA(アイダ)

 『AIDA(アイダ)』はアメリカのセント・エルモ・ルイス氏が提唱したフレームワークです。基本となる購買行動モデルで広告媒体や集客施策に活用されています。

プロセス

概要

Attention(認知)

商品・サービスを認知してもらう

Interest(興味・関心)

消費者の興味・関心を高めていく

Desire(欲求)

消費者の欲求を駆り立てる

Action(購買行動)

商品・サービスを購入してもらう

 

『AIDA』はテレビCMや店舗広告など従来の広告媒体だけではなく、Web広告などオンライン媒体でも活用されます。しかし、オンラインのコミュニケーションへの対応は不十分とされており、他モデルと組み合わせて使われることが一般的です。

 

AIDMA(アイドマ)

『AIDMA(アイドマ)』は、アメリカの経済学者であったサミュエル・ローランド・ホール氏が、1924年に著書内で提唱し一般化したモデルです。前述の『AIDA』に「Memory(記憶)」を追加し、消費者の心理的な変化にも着目しています。日本ではCMや紙面広告などで使われてきました。

プロセス

概要

Attention(認知)

商品・サービスを認知してもらう

Interest(興味・関心)

商品・サービスへの興味・関心を高める

Desire(欲求)

消費者に「欲しい」と思ってもらう

Memory(記憶)

商品やサービスを思い出してもらう

Action(購買行動)

商品・サービスを購入してもらう

 

各プロセスで想定される消費者の感情を理解しやすく、ペルソナの作成にも役立てることができます。

AIDCAS(アイドカス)

『AIDCAS(アイドカス)』は、顧客満足度の向上を重視した購買行動モデルです。『AIDMA』と同様に認知から欲求までのフェーズは同じですが、「Conviction(確信)」と「Satisfaction(評価・満足)」が追加されています。

プロセス

概要

Attention(認知)

広告やセミナーなどで認知を拡大する

Interest(興味・関心)

商品・サービスに興味・関心をもってもらう

Desire(欲求)

購入するメリットを伝えて欲求をかきたてる

Conviction(確信)

商品・サービスが必要だと確信してもらう

Action(行動)

購買を喚起して購入してもらう

Satisfaction(評価・満足)

商品・サービスの購入後に評価してもらう

 

認知から確信までのフェーズで変化する消費者の心理にあわせて適切な施策を打ち、購買行動を促進します。購入を慎重に検討する必要がある高額商品に適しているとされています。

 

AISAS(アイサス)

『AISAS(アイサス)』は、2004年に株式会社電通が提唱したデジタルマーケティングにおける購買行動モデルです。『AIDMA』に「Search(検索)」と「Shere(共有)」を追加し、オンライン上の購買行動を理解できるようになっています。

 

プロセス

概要

Attention(認知)

広告やメディアを通じて商品を知ってもらう

Interest(興味・関心)

商品・サービスに興味をもってもらう

Search(検索)

商品の情報をインターネットで検索する

Action(行動)

商品やサービスを購入してもらう

Share(共有)

購入後のレビューをインターネットで共有する

 

『AISAS』では消費者がどのようにShareしてくれるのかを考えて、適切な施策を検討する必要があります。

 

DECAX(デカックス)

 

『DECAX(デカックス)』は、2015年に株式会社電通が提唱した購買行動モデルで、能動的に情報を集める消費者行動に特化しているのが特徴です。コンテンツマーケティングと相性が良く、SNSやオウンドメディアでも活用できます。

プロセス

概要

Discovery(発見)

情報を探す消費者に見つけてもらう

Engage(関係構築)

消費者の関心が強い情報を提供して良好な関係を構築する

Check(確認・注意)

提供するコンテンツの品質を確認して情報を精査する

Action(行動)

消費者に購買を促して購入してもらう

Experience(共有)

購入後の感想をSNSなどで共有してもらう

 

消費者がSNSやコンテンツで偶然発見できるように、体験と共有を重視した戦略を立てることが大切です。

 

ZMOT・FMOT・SMOT・TMOT

『ZMOT:Zero Moment of Truth(ゼロの瞬間)』は、2011年にGoogleが提唱した購買行動モデルです。『MOT:Moment of Truth(真実の瞬間)』を進化させたもので、消費者の購入前と購入時、購入後の意思決定に着目しています。

プロセス

概要

Stimulus(刺激)

消費者が商品と出会った瞬間

First Moment of Truth(FMOT)

消費者が商品を購入するかを判断する瞬間

Second Moment of Truth(SMOT)

消費者が商品を使ったときの瞬間

Third Moment of Truth(TMOT)

くり返し購入してリピーターとなる

 

『ZMOT』で打つべき施策は、コンテンツSEOで消費者が購入前に知りたい情報を提供することです。権威性のある情報を盛り込むことで購買促進につながる信頼を獲得できます。

 

SIPS(シップス)

 

『SIPS(シップス)』は、電通デジタルコミュニケーションセンターによって2011年、ソーシャルメディアに対応するモデルとして提唱されました。進化したソーシャルメディアの視点を重視し、消費者の行動を詳細に深掘りしています。

プロセス

概要

Sympathize(共感)

発信された情報に共感する

Identify(確認)

この情報が有益であるかを確認する

Participate(参加)

「いいね」など反則活動に参加してもらう

Share&Spread(共有・拡散)

別の消費者に共有・拡散されていく

 

消費者が自ら主体的に参加し、共有・拡散することで商品やサービスの魅力を広げてもらう仕組みが特徴です。共感を生むために『AIDMA』や『AISAS』で認知を広げることが大切です。

 

ULSSAS(ウルサス)

『ULSSAS(ウルサス)』は、株式会社ホットリンクが提唱した購買行動モデルです。消費者からの投稿やシェアされることを前提に、SNSマーケティングで活用されています。

プロセス

概要

UGC(認知)

広告や投稿で商品を知ってもらう

Like(共感・拡散)

「いいね」や「リツイート」をしてもらう

Search 1(SNS)

SNS上で情報収集のために検索をしてもらう

Search 2(Web検索)

検索エンジンで指名検索をしてもらう

Action(購買)

来店を促し商品を購入してもらう

Spread(拡散)

SNSに投稿された口コミが拡散される

 

消費者が直感的に拡散したくなる仕組みを作るため、信頼関係の構築よりもインパクトを重視することが活用のポイントとなります。

VISAS(ヴィサス)

『VISAS(ヴィサス)』は、2010年にITビジネスアナリストの大元隆志氏が提唱した購買行動モデルです。消費者がSNSで投稿した口コミを起点に認知を広げることを重視しています。

 

プロセス

概要

Viral(口コミ・拡散)

SNSの口コミで商品・サービスの情報が広がる

Influence(影響)

情報で購買意欲に影響を与える

Sympathy(共感)

情報に共感をして興味を持つ

Action(行動)

商品を購入、サービスを利用する

Share(共有)

購入・体験後にSNSで口コミを共有する

 

『VISAS』では消費者が自発的に共有・拡散したくなる仕組みを作ることが重要です。そのためには、消費者の購買行動に強く影響を与えるインフルエンサーがマーケティング施策に活用されます。

購買行動モデル活用における課題
パソコンで作業をする女性

購買行動モデルをマーケティング施策に活用するときに、よく聞かれる課題とその解決策について解説します。

 

適切な購買行動モデルを選べない

購買行動モデルは概念のため、具体的な施策に落とし込みにくく、適した購買モデルが選べないケースがあります。このようなときに役立つのが「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーマップは購買の過程を可視化したものです。消費者の行動から、マーケティング施策と紐づけやすくなります。

ひとつの購買行動モデルでカバーできない

購買行動モデルは業界や商材、ターゲット層をふまえて選ぶことが大切です。しかし、「BtoB」と「BtoC」のように、ターゲットの購買行動が異なるときは、ひとつのモデルですべての施策を適用させるのは難しいことがあります。このようなときは、それぞれの購買行動の特徴をふまえて、複数のモデルを組み合わせることで効果的なマーケティング施策を打つことが可能です。

施策の効果測定がうまくいっていない

購買行動モデルはあくまでフレームワークのため、実際の消費者の行動パターンとずれてしまうことがあります。もし、プロセスと違いがある場合、施策後の効果測定はうまくいきません。成功や失敗の原因がわからず、評価が難しくなります。効果測定がうまくいかないときは、収集データをもとに各フェーズのKPIを見直しましょう。施策がうまくいかない原因を明らかにし、データ分析をすることで施策を改善しやすくなります。

 

電通総研では、点在するデータを収集し、シームレスにつなぐことで効果的なマーケティングの施策立案〜運用までサポートしています。SalesforceやAWSなどクラウドサービスを活用し、課題解決に向けたご提案が可能です。お気軽にお問い合わせください。

 

購買行動モデルの選び方

ノートパソコンで作業をする人

マーケティング施策を成果につなげるには、どのような購買行動モデルを選べばよいのでしょうか。ここでは、購買行動モデルの選び方について解説します。

 

ビジネスに適切なモデルを選ぶ

購買行動モデルを選ぶときは、自社で扱う商品やサービス、達成したい目的に適したモデルを選ぶことが大切です。そのためには、事前に商品やサービスの強みや特性を洗い出し、目的を明確にしておく必要があります。

たとえば食品や飲料など衝動的に購入されることが多い商品は、短期間で認知と興味をもたせなければなりません。そのため、適切なモデルを選ぶには、商品やサービスを深く理解しておく必要があります。

ターゲット層の購買行動を理解する

消費者は購買行動のプロセスどおりに動いてくれるとは限りませんが、ずれないように事前にターゲット層への理解を深めておく必要があります。Webサイトのアクセス解析や購買内容を分析して、購買行動モデルとの差を明確にし、そのデータに基づいたマーケティング施策を打つことが大切です。

 

マーケティング施策別の購買行動モデルの活用例

パソコンとショッピングカート

ここでは、実際に想定されるマーケティング施策における購買行動モデルの活用事例をいくつか紹介します。

企業のブランド価値と認知度を向上させる

商品や企業をもっと多くの人に知ってもらいたいときの『AIDMA』の活用例は以下の通りです。

プロセス

概要

Attention(認知)

広告やSNS投稿でブランドや商品を知ってもらう

Interest(興味・関心)

Desire(欲求)

商品の特徴や利用するメリットをアピールして強い印象を残す

Memory(記憶)

Action(購買行動)

店舗・ECサイトで購買を喚起するキャンペーンを実施する

 

よりデジタルに特化した場合は『AISAS』を活用します。

プロセス

概要

Attention(認知)

Web広告・SEO施策で多くの消費者の目に情報を露出する

Interest(興味・関心)

ターゲット層に有益な情報を発信する

Search(探索)

ターゲット層が知りたい情報を充実させる

Action(行動)

スムーズに購入できるように仕組みを構築して購買意欲を喚起する

Share(共有)

インフルエンサーの活用や口コミ投稿特典などのキャンペーンを実施する

 

『AIDMA』で店舗向けの施策を打ち、『AISAS』でデジタルマーケティングの施策を打つことで認知度を向上させることが可能です。

 

消費者の関心に合った情報を発信する

消費者との信頼関係を築くには、興味に関連した情報発信が欠かせません。この場合『AISAS』を活用したコンテンツマーケティングが効果的です。

プロセス

概要

Attention(認知)

ターゲットが関心を持っている情報をパーソナライズして広告を打つ

Interest(興味・関心)

Search(探索)

ブログや動画などで有益な情報を配信する

Action(行動)

消費者がシェアしやすいコンテンツを考える

Share(共有)

『AISAS』を活用し、消費者の興味関心を惹きつけることで、信頼関係を構築し、購買を促すことができます。

 

消費者行動データをもとに購入を促進する

消費者の行動データを活用するときは『DECAX』を活用したマーケティング施策が効果的です。行動データをもとに最適なタイミングで施策を打つことで、適切なアプローチが可能です。

プロセス

概要

Discovery(発見)

継続利用のサービスより消費者の行動データを収集する

Engage(関係構築)

Check(確認・注意)

消費者の興味のある商品に関する情報を配信する

Action(行動)

商品を見つけやすいようにキャンペーンを展開する

Experience(共有)

レコメンド機能やリターゲティング広告は、消費者に購入の機会を多く与えつつ、購買意欲の向上が期待できます。

 

新規の見込み顧客の獲得数を増やす

新規の見込み顧客を増やすには、幅広い層へ情報を届けることができるコンテンツマーケティングが必須です。相性の良い『AISAS』の活用が適しているでしょう。

プロセス

概要

Attention(認知)

SNSや動画広告でターゲット層にアピール

Interest(興味・関心)

Search(探索)

ホワイトペーパーやブログで検索結果の上位表示を狙う

Action(行動)

ユーザーがシェアしてくれそうなコンテンツを配信する

Share(共有)

『AISAS』の活用により、認知から購買、情報の拡散までスムーズに流れを作ることができます。新たな見込み顧客の獲得も期待できます。

 

最新の購買行動モデルの種類

ノートパソコンを操作する人

 

購買行動が時代とともに変化するように、新しい購買行動モデルが提唱されています。ここでは『SEAMS(シームズ)』と『RsEsPs(レップス)』の2つの購買行動モデルについて解説します。

 

SEAMS(シームズ)

『SEAMS(シームズ)』は、2023年に株式会社電通が構築した購買行動モデルです。デジタル世代の衝動買い行動に対応しており、ネット検索での情報回遊を起点に購買、情報の共有までを5つのステップで消費者の購買行動を表しています。

プロセス

概要

Surf(回遊)

消費者がSNSを回遊する

Encounter(遭遇)

気になる投稿と出会う

Accapt(受容)

商品の良さを受け入れる

Motivation(高揚)

商品のファンになり行動を起こす

Share(共有)

みんなに知ってもらいたいと考え共有する

 

ネット検索でデータが蓄積されていくことでレコメンドの精度が向上します。そのため、消費者の潜在ニーズに適したアプローチが可能です。

 

RsEsPs(レップス)

『RsEsPs(レップス)』は2019年、一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会によって提唱された購買行動モデルです。大文字表記は以下のプロセスを表しています。

プロセス

概要

Recognition(認識)

商品を知り興味・関心が生まれる

Experience(体験)

実際に商品に触れて体験することで購買意欲がわく

Purchase(購買)

どの商品を購入するのか意思決定する

 

小文字の「s」は消費者の行動を表したもので、すべてのフェーズで実施されるものとして考えます。

  • Search(検索)
  • Spread(共有)
  • Share(拡散)

 

各フェーズで興味関心に合った商品を提案し、自然に購入の意思決定を促します。単発の提案では購買につながらない可能性もあるため、提案の頻度を高めるなど工夫が必要です。

購買行動の多様化を見据えたマーケティング戦略の立て方

ミーティングをする人たち

 

消費者の購買行動の変化に応じるには、柔軟なマーケティング戦略を立てなければいけません。ここでは購買行動の多様化を見据えたマーケティング戦略の立て方について解説します。

データ統合による最適なアプローチを設計する

消費者の購買行動が多様化したことで、長期的なマーケティング施策を立てても、途中でずれてしまう可能性があります。市場の変化に柔軟に対応するには、インターネット上やアプリなどで収集した消費者の行動データを統合することで、最適なアプローチを設計することが可能です。

消費者と複数の接点を持てるようにする

消費者行動の変化とともに購買行動モデルも変化しています。発見した瞬間に商品を決める消費者もいれば、購入を決定するまで長く比較検討する消費者も少なくありません。消費者の潜在ニーズをくみ取り、段階的に各チャネルで商品に合った施策を講じることで良好な関係を築くことができます。

継続的な顧客支援により長期的な関係を築く

購入後に適切なタイミングでアフターフォローを入れることで、消費者との接点を保ちつつ、良好な関係を構築します。どのチャネルから問い合わせが来ても対応できるように、マルチチャネルをつなげるソリューションの導入を検討しましょう。

 

購買行動モデルの活用は顧客理解が不可欠

購買行動モデルは消費者行動をベースに作られたものですが、時代とともに消費者の購買行動は変化しています。そのため、マーケティング施策に活かすには、購買行動モデルの理解だけではなく、消費者のニーズを深く知ることが必要です。

収集したデータを効果的に活用し、消費者のサービス体験の向上を目指すことでビジネスの成長へとつなげることができます。顧客データの管理や統合などを効率よく行うためにも、目的にあわせたソリューションの導入を検討しましょう。

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