CRM施策とは、顧客との関係性を強化し、LTV(顧客生涯価値)を最大化するための施策を指します。 デジタル化が進む現代において、CRMを適切に活用することは競争優位性を確立する上で不可欠な要素です。
しかし、多くの企業が「CRMツールを導入したがうまく活用できていない」「どのような施策を実施すれば効果的かわからない」といった課題に直面しています。また、CRMは営業・マーケティング・カスタマーサポートなど複数部門が関与するため、部門間の連携が取れず成果につながりにくいという課題もあります。
本記事では、企業担当者に向けてCRM施策の基本から具体的なメリット・施策・推進手順・成功事例までを詳しく解説します。
目次
CRMとは、「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、顧客との継続的な関係を強化するための考え方や手法、システムを指します。
そしてCRM施策とは、リードを獲得して顧客化につなげる、既存顧客の満足度を高める、リピート購入や契約更新を促進するなどの具体的な取り組みのことです。データ分析をもとにパーソナライズされた情報を提供し、最適なタイミングで顧客にアプローチすることが重要です。
わかりやすい例でいえば、行きつけのコーヒーショップで店員が「○○さん、こんにちは」と名前を呼び、「いつものコーヒーでよろしいですか?」と尋ねると、多くの人は特別感を覚え、また来店したいと感じるでしょう。
この一連の流れには、あなたの名前と好きなコーヒーという属性を活用したパーソナライゼーションがあります。
現代ではデジタル化が急速に進み、業界を問わず多くの企業がオンラインでのコミュニケーションを活用しています。オンラインのやり取りはデータとして蓄積しやすく、顧客理解を深めるための分析もしやすいというメリットがあります。
CRM施策と混同しやすい言葉にCRM戦略があります。また「MA(マーケティングオートメーション)」とCRMを同じようなものとしてとらえてはいないでしょうか。
以下では、CRM施策をより正しく理解できるように、それぞれの違いをわかりやすく整理します。
CRM戦略とは、企業が顧客との関係をどのように構築していくかを定める全社的な方針や方策を指します。
「長期的に顧客と信頼関係を築くため、データを活用したコミュニケーションを行う」という方針を掲げたとします。これをもとに具体的なロードマップを策定し、部門間の協力体制を整え、必要なツールや人材を確保するのがCRM戦略です。
一方、CRM施策は、この戦略を実行するための具体的な手法を指します。
「メールマガジンをセグメント別に最適化する」「購買履歴をもとにアップセルを促すオファーを作成する」「カスタマーサポートで顧客管理システムを活用し、問い合わせ履歴を一元管理する」などの取り組みがCRM施策に該当します。
MA(Marketing Automation)とは、顧客や見込み客へのアプローチを自動化し、効率化するためのシステムや仕組みを指します。
たとえば、見込み客がWebサイトで資料をダウンロードすると、自動でフォローメールを送るといった仕組みの構築が可能です。
MAツールは、リードジェネレーションやナーチャリングを目的とし、マーケティング部の業務効率化に役立ちます。一方、CRM施策は顧客との良好な関係を構築・維持することを目的としており、マーケティング部に限らず、営業やカスタマーサポートなど顧客と接する部署でも活用されます。
ナーチャリングはCRM施策の一部ですが、MAツールを活用することで、CRM施策の効果を高められます。CRM施策の根幹にはデータがあり、MAツールを導入することで、データの蓄積と意思決定を効率化できます。
ここでは、CRM施策を行う具体的なメリットを見ていきましょう。
CRM施策では、顧客データの全社共有が欠かせません。
営業担当が持っている商談履歴、マーケティング担当が持っているメール配信の反応データ、カスタマーサポート担当が持っている問い合わせ履歴などを一元管理し、自由に参照できる状態をイメージしてみてください。
社内のどの部署からも、各顧客のコミュニケーション履歴を見れるようになるのです。
こうした情報共有が進むと、見込み客や既存顧客に対して最適なタイミングで必要な情報やサポートを届けられるようになり、結果的に顧客満足度も高まります。
顧客データが全社共有されることで、より効果的なマーケティングや営業活動が可能になります。
たとえば、マーケティングチームが配信したメルマガを3回連続で開封している顧客がいれば、その情報を営業やインサイドセールスと迅速に共有し、最適なタイミングでアプローチできます。結果、商談につながる確率が高まるでしょう。
また、営業担当者は商談前にCRMを確認することで、顧客とマーケティング部門の過去のやり取りや関心・課題を把握できます。これにより、顧客ニーズに沿った提案が可能になり、成約率の向上を見込めます。
このように、部門を横断したデータ活用が進むことで、企業全体の顧客対応力が強化され、ビジネスの成長を加速させられます。
顧客一人ひとりの関心や行動履歴を把握し、適切なタイミングで最適な提案を行うことは、ロイヤリティの向上につながります。
パーソナライズされたコミュニケーションを提供し続けると、顧客は「自分のニーズを正しく理解してくれる存在」として企業を信頼しやすくなり、その結果、リピート購入や長期契約の増加につながるのです。
マッキンゼーの調査(※1)では、消費者の71%が企業にパーソナライズされたコミュニケーションを期待しており、76%はそれが実現されないと不満を感じると報告されています。つまり、適切なデータ活用による顧客対応の最適化は、単なる付加価値ではなく、競争力を左右する重要な要素といえるでしょう。
こうした継続的な信頼関係の構築が、顧客の生涯価値を高め、成長を後押しします。
※1 出典:McKinsey&Company「The value of getting personalization right—or wrong—is multiplying」
ここからは、代表的なCRM施策を解説します。さまざまな手法が存在しますが、自社の状況や目指すゴールに合わせて取捨選択し、組み合わせて使うことが重要です。
CRM施策の基本はセグメンテーションとターゲティングです。CRMで顧客データを一元管理したら、業界、企業規模、所在地、売上高、役職、購入回数などさまざまな切り口でセグメント分けしてみましょう。そうすることで、次のような施策を推進できます。
また、顧客がどのように異なる興味・関心を持っているかを分析することで、よりパーソナライズされたコミュニケーションを展開できます。
このようにCRMデータをもとに、顧客をセグメンテーションすれば、個別最適化したアプローチを取れるようになるのです。
ステップメールとは、あらかじめ設定したシナリオに沿って、顧客が特定のアクションを起こしたタイミングや一定の時間間隔で自動配信されるメールのことを指します。
「資料ダウンロード後のフォローメールを送るタイミングが毎回バラバラになってしまう」「リードが商品に興味をもっているかどうかを正しく見極められず、なかなか商談につながらない」という課題を持っているなら、ステップメールの導入は有効です。
たとえばユーザーが初回のダウンロードをした直後にお礼のメールを送り、3日後に追加のホワイトペーパーを提案、1週間後にセミナーやウェビナーなどのイベント案内を送信する、といった一連のシナリオを自動化することが可能です。
こうしたメール運用がCRM施策と連動していると、個々のユーザーの反応がCRMツールに記録され、その後の営業アプローチに活かせるようになります。
フォーム作成というと単なる問い合わせフォームや会員登録フォームを思い浮かべるかもしれませんが、実際はCRM施策と深い関わりがあります。なぜなら、フォームは顧客が自社に情報を提供してくれる大切な接点であり、そこから得られたデータがCRMツールへと取り込まれるためです。
たとえば資料ダウンロードフォームで部署名や導入検討時期などを入力してもらえば、顧客の課題や見込み度をより明確に把握できるようになります。そして、これがセグメンテーションやステップメールの精度向上にもつながります。
CRMの導入・活用は、マーケティングだけでなく営業活動の効率化にも大きく貢献します。
従来は、外出先で顧客情報を確認するためにオフィスへ連絡する必要がありました。しかし、CRMを活用すれば、スマートフォンから商談履歴や顧客とのやり取りを即座に確認できるため、対応スピードの向上や商談の質の向上につながります。
また、担当者が退職や不在の場合でも、CRMに訪問履歴や見積もり内容、問い合わせ履歴が一元管理されていれば、別の担当者が迅速に対応し、顧客との関係を維持できます。
さらに、マーケティングやインサイドセールスによるクオリフィケーションの精度が向上すれば、営業担当者は成約の可能性が高い顧客に集中でき、無駄なアプローチを減らしながら成果を効率的に上げることが可能になります。
カスタマーサポートは、顧客満足度を高め、長期的な関係を築くうえで重要な役割を担います。優れたサポート体験を提供すれば、顧客の信頼が深まり、リピート購入や長期契約につながるだけでなく、ポジティブな口コミの広がりにも期待できます。
しかし、問い合わせ対応が部門ごとに分断されていたり、過去のやり取りを担当者が個別に管理していたりすると、対応が属人化し、サポートの品質にばらつきが生じます。こうした状況では、顧客が「毎回同じ説明をしなければならない」と感じ、不満を抱く可能性があるでしょう。
CRMを適切に活用すれば、カスタマーサポート担当者は過去の問い合わせ履歴や購入履歴を瞬時に確認し、顧客ごとに最適な対応が可能になります。たとえば、「過去に〇〇の商品について問い合わせた顧客が、今回は関連する△△について質問している」といった背景を把握することで、スムーズかつ的確な回答ができます。
さらに、問い合わせデータは企業にとって貴重な資産です。サポート部門だけでなく、営業やマーケティングも活用することで、顧客に寄り添った施策を展開できます。
特定の製品について問い合わせが多い場合、FAQを充実させたり、関連情報を事前に提供したりすることで、問い合わせの発生自体を減らせます。また、顧客が製品の使い方に悩んでいる場合、適切なフォローアップや追加提案を行うことで、アップセルやクロスセルの機会につなげることも可能です。
CRMの導入・活用は、フロントオフィスだけでなく、バックオフィス業務の効率化にも大きく貢献します。
受発注管理、請求処理、契約管理、サポート対応など、多くの業務が部門をまたいで行われる中、情報の分断や重複対応が発生しやすいのが現状です。しかし、CRMを活用すれば、これらの業務を一元管理し、バックオフィスの負担を軽減できます。
具体的には、営業が成約した案件情報が自動でCRMに登録されると、経理部門は請求処理を迅速に行えます。従来は営業から経理へ個別に依頼を出し、案件情報を共有する手間がかかっていましたが、CRMを導入すれば、関係者全員がリアルタイムで情報を把握でき、業務の流れがスムーズになります。
また、契約管理においても、CRMを活用すれば更新期限の管理やリマインドを自動化でき、契約漏れや更新忘れを防げます。
さらに、カスタマーサポートとの連携により、問い合わせ対応の履歴をCRMで一元管理し、バックオフィス業務と統合することも可能です。「未払いの請求がある顧客には自動で支払い案内を送る」「特定の契約条件が変更された際に、関連部門へアラートを出す」といった対応を自動化し、手作業によるミスや対応漏れを削減できます。
ここでは、CRM施策の実施手順を紹介します。大まかに四つのステップに分けることが多いですが、あくまで一例ですので、自社の状況に合わせて調整するようにしてください。
まずは、CRM施策を実施する目的を明確にしましょう。
たとえば、LTVの向上、リピート率の増加、新規リードの獲得効率の改善、営業活動の効率化、カスタマーサポートの質の向上などが挙げられます。目的を曖昧なままにすると、施策の方向性がブレたり、成果を適切に評価できなくなったりする可能性があります。
目的を設定したら、KPIを設定します。KPIを明確にしなければ、施策が成功しているのか失敗しているのかの判断が困難なためです。
「顧客満足度を高めたい」という目標を掲げるのであれば、以下のようなKPIを設定すると、成果を可視化しやすくなります。
適切なKPIを設定すれば、CRM施策の成果を定量的に評価し、必要に応じて改善を加えられます。
次に、CRMツールなどを活用して顧客データを一元管理し、分析を行います。
企業が保有する顧客データは多岐にわたります。たとえば、購買履歴、ウェブサイトの行動履歴、問い合わせ履歴、アンケート結果、メールの開封率やクリック率といったオンラインデータがあります。
また、セミナー参加者名簿や各部門が保有する名刺などのオフラインデータも重要です。オフラインデータは見落とされがちですが、そこに意外な優良見込み客が含まれていることもあるため、丁寧に収集することが大切です。
しかし、データを集めるだけでは十分ではありません。
重要なのは、部門の垣根を越えてデータを共有し、活用できる環境を整えることです。営業が持つ商談情報、マーケティングが収集したリードの関心データ、カスタマーサポートが把握している顧客の課題など、各部門が持つ情報が分断されていると、適切な対応ができなくなります。
CRMを活用してデータを連携すれば、営業はマーケティングデータを参考にした上で顧客に提案できるようになり、マーケティングはサポート履歴をもとに適切なフォローアップ施策を打ち出せます。また、カスタマーサポートは営業のやり取りを把握することで、一貫性のある対応が可能になるでしょう。
データの収集と分析を徹底することで、より精度の高いCRM施策を行えるようになります。
分析結果をもとに、どのような施策を、どのタイミングで実行するかを設計し、実際に運用を開始していきます。
たとえば、セグメンテーションとターゲティングを行う場合、購買金額やアクセス状況などのデータをもとに優先度の高いセグメントを特定し、それに適したコンテンツやオファーを準備するとよいでしょう。
購買履歴のある顧客には関連商品をおすすめするメールを送ったり、サイト訪問が多いが購入に至っていない見込み客には特典付きキャンペーンを案内したりするといった具合です。
営業活動においても、CRMのデータを活用した施策が効果を発揮します。たとえば、過去に商談を行ったものの受注に至らなかった顧客の情報を分析し、フォローアップのタイミングを最適化することが可能です。
一定期間連絡が取れていない顧客に対して、関連する業界ニュースや新サービスの情報を提供すれば、再び商談の機会を生み出せるかもしれません。
施策を実施する際は、KPIとの関連を意識し、どの指標の改善に役立つ施策なのかを明確にすることが重要です。リピート率を向上させるための施策なのか、新規顧客獲得を目的とした施策なのかを整理することで、効果測定がしやすくなります。
施策を実行したら、必ず効果測定を行い、PDCAサイクルを回して改善を重ねていきます。
メールの開封率やクリック率が想定より低い場合、件名の工夫や配信タイミングの変更が必要かもしれません。フォームの離脱率が高い場合は、入力項目を減らしたり、より魅力的なインセンティブを提供したりすることで改善できる可能性があります。
営業部門に関しても、リードの提供件数が思ったほど伸びない場合、セグメント設定が適切でない可能性があります。ターゲットの見直しや、より関心を引きやすいオファーの検討が求められるでしょう。
また、リード数のわりに成約率が低い場合は、営業プロセスに課題があるかもしれません。リードナーチャリングのステップが不足していたり、営業担当者が顧客の関心や課題を十分に把握できていなかったりすることが考えられます。
重要なのは、数値データを分析し、その結果から具体的な改善策を導き出すことです。KPIの推移を継続的にモニタリングしながら、成功した施策は積極的に拡大し、期待通りの成果が出なかった施策については迅速に修正を行うことで、CRM施策の精度を高められます。
このようにPDCAを回し続けることで、CRM施策は徐々に最適化され、全体の成果向上につながります。短期的な結果だけでなく、長期的な視点でデータを活用しながら、継続的な改善に取り組むことが重要です。
「CRM施策を始めたものの、なかなかうまく運用が進まない」「担当者は頑張っているのに成果がついてこない」といった悩みを抱えているなら、ここで紹介するポイントを意識してみてください。
CRM施策を本格的に進めるうえで、自社に合ったツールを選ぶことは重要です。単に高機能なツールを導入しても、現場の担当者が使いこなせなければ、期待する成果は得られません。
選定時には、次のポイントを重視するとよいでしょう。
すでに複数のシステムを運用している場合は、それらとの相性を慎重に検討する必要があります。データ連携がうまくいかないと、入力作業の増加や情報の分断が発生し、かえって業務効率が低下するリスクもあるためです。
また、導入後の運用も見据えて、トライアル期間を活用し、実際の業務フローの中で試すことをおすすめします。ツールの操作性や現場の反応を確認しながら、最適な選択を行いましょう。
全社一斉にCRMを導入しようとすると、教育コストやデータ移行、運用ルールの整備など、多くの課題が発生する可能性があります。その結果、計画が膨大になりすぎて現場が混乱し、誰もが使い方を把握しきれないまま導入が中途半端になることも少なくありません。
そこで、まずは特定の部門やチームでCRMの導入を試験的に進め、そこで得られた知見をもとに全社展開を図る方法を検討してみてください。
たとえば、インサイドセールス部門やマーケティング部門など、一部のチームでトライアル運用を行い、実際の業務フローの中で運用上の課題や改善点を洗い出します。
スモールスタートのメリットは、失敗のリスクを最小限に抑えながら、実践的なノウハウを蓄積できることです。最初の導入チームがCRMを使いこなせるようになれば、その経験を社内に共有し、他の部門がスムーズに活用できるようサポートすることも可能になります。
また、初期運用データを分析することで、どの機能が有用か、どのプロセスを改善すべきかを具体的に把握できるため、全社導入時の運用設計がより適切なものになります。段階的に展開して、スムーズにCRMを定着させ、効果的に活用できる環境を整えていきましょう。
どんなに優れたCRMツールを導入しても、最終的にそれを活用するのは現場の社員です。適切に入力・活用されなければデータは蓄積されず、CRMの効果も十分に発揮されません。
特に営業現場では、「既存のSFAで十分だから、CRMに入力するのは二度手間になる」「使い慣れたシステムで情報入力したい」などの不満が生じる可能性があります。
こうした不満を解消するためには、SFAと連携可能なCRMツールを採用する、入力作業の工数を極力減らす仕組みを整えるといった工夫が必要です。たとえば、名刺情報を自動で取り込める機能や、商談情報を簡単に登録できるテンプレートを活用すれば、負担を軽減できます。
また、現場の社員にCRMの有用性を理解してもらうことも重要です。
CRMの活用により、過去の商談履歴や顧客の関心を瞬時に把握し、より適切な提案ができるようになるといった具体的なメリットを伝えることで、活用への意識が高まります。
CRMの導入を成功させるには、単にツールを導入するだけでなく、現場の業務負担を減らしながら、CRMを活用するメリットを体感してもらうことが欠かせません。社員が自然と使いこなせるような環境を整え、CRMを業務の一部として定着させていきましょう。
CRM施策の最大の強みは、顧客データを分析し、そこから得られた示唆を次の施策に活かせる点にあります。しかし、日々の業務に追われてデータ分析が後回しになり、蓄積された顧客情報をほとんど活用していない企業が多いのも事実です。
施策の効果測定や次なるアクションの改善を行う時間を十分に確保できていないのであれば、まずは分析の優先度を上げましょう。場合によってはデータ分析担当の人材を育成したり、外部支援を受けたりすることも選択肢に入ります。
CRM施策は一度導入して終わりではなく、持続的に改善を繰り返すことで成果を高めていくものです。
たとえばメール開封率の改善を目指すのであれば、一度の配信結果だけではなく、複数回の配信データを比較して何が効果を左右しているのかを分析し、次回の配信に活かしていく必要があります。
スモールスタートで導入を進めているならば、なおさらPDCAサイクルの運用が欠かせません。小さな成功や失敗の経験を積み重ねて、徐々に全社的な最適化を目指していきましょう。
スルガ銀行は、顧客サービスの向上とITコストの削減を目的に、リテールバンキングの中核となる3つのシステム(預金口座開設、コールセンター、CRM)をSalesforceで刷新しました。
まず、インターネット支店の預金口座開設システムを再構築し、不正口座開設防止のためeKYC機能を強化。次に、コールセンターシステムをSalesforceとAmazon Connectで統合し、通話内容の記録や顧客情報のリアルタイム表示を可能にしました。これにより、個々のオペレーターの対応や解決までの速度が向上し、 顧客満足度の改善にもつながっています。
システム開発においては、全社で2,000名がCRMシステムを利用するため、標準機能を中心に活用することで、開発期間とコストを削減しています。さらに、アジャイル開発の導入により、柔軟なシステム構築を実現しました。Salesforceへの移行により、開発スピードと拡張性が向上し、営業やサポート部門の業務効率も大幅に改善されています。
結果として、開発コストを大幅に削減し、システムの安定稼働と内製化の促進を実現。データ活用の基盤が整ったことで、顧客ニーズに即したサービス提供が可能となり、さらなる業務効率化やサービス向上が期待されています。
現代のBtoB取引において、顧客側の意思決定はいわゆる「価値主導型」の傾向にあります。 各企業は取引先の選定において、自分たちのビジネスにより最適化された提案を求めるようになっているのです。
こういった状況においてBtoBビジネスの営業戦略を構築する際には、顧客の特徴をしっかり理解したうえで、顧客毎のニーズに合わせた営業戦略の強化を実施することが重要です。
そんな時には、以下のような機能を持つBtoBビジネス向けのCRMソリューションが役立ちます。
本記事では、CRM施策の概要や導入のポイントについて解説しました。 CRMを導入する理由はさまざまですが、最も重要なのは、顧客データを活用し、適切なタイミングで最適な施策を実施することです。
また、CRMの導入を検討する際には、ツールの機能や導入コストだけでなく、自社の業務フローやシステムとの相性を考慮する必要があります。最新のCRMツールはAIを活用した分析機能や自動化機能が搭載される傾向にあり、より高度な顧客対応が可能になっています。 しかし、CRMの選定には「理想の姿」と「現状の課題」のギャップを明確にし、既存システムの状況や各部門のニーズを把握するなど、複雑な要件定義が必要です。そのため、全社単位のプロジェクトとして慎重に進めることが求められます。
CRMの導入・活用を成功させるには、CX(顧客体験)やDXに精通した専門パートナーの支援を受けるのも有効です。
当サイトでは、 顧客接点DXソリューションに関するダウンロード資料を多数ご用意しております。ぜひダウンロードいただき、資料をご活用ください。
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