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コールセンターにおける応対マニュアル作成の要点(vol.4)

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弊社は企業向けの様々な種類のITソリューションをご提供しております。特定のITソリューション商品やツールをご紹介するための営業コールやイベント・セミナーに来場された顧客へのアフターフォローコールにおいて、コールセンターを活用したアウトバウンドコールを実施しています。弊社で実施しているアウトバウンドコールでは、目的やコール対象のソフトウェア製品・サービスごとに応対マニュアルを作成し使用しております。本記事では弊社の社内で作成してきた応対マニュアル作成の経験・ノウハウを踏まえ、作成上の要点を解説いたします。マニュアル作成の参考にご覧いただければ幸いです。

コールセンターにおける応対マニュアルとは?

一般的にコールセンターでは、顧客対応の品質を均質化するため、基礎としての教育や研修に続いて応対マニュアルの整備が必須です。コールセンター業務の品質を均一化するために、応対マニュアルは欠かせません。特に、アウトバウンドコールの業務では、営業活動を効率化するために特別に設計された応対マニュアルが重要です。言葉と声でのコミュニケーションなので、どうしてもオペレーターによる応対品質の差が出てしまいます。マニュアルが整備されていれば、オペレーター個々のスキルや経験などの属人的な要因の多くを低減・解決できる可能性が大きいです。応対品質のバラツキを抑えることもでき、顧客応対品質を向上が実現できます。

コールセンターでは、「インバウンドコール」と「アウトバウンドコール」の2種類に大別できます。それぞれの業務に適した応対マニュアルを整備することが必要です。

インバウンドコール

インバウンドコールは、顧客からの電話に対応するコールのことです。主に、「質問」、「問合せ」、「申込み」、「クレーム」といった内容になります。自社で提供している製品・商品、サービスの操作や不具合など多様な要望事項、悩みごと、クレームなどを抱えるお客様からの連絡になるため、対応するものに関する知識や経験が求められます。

アウトバウンドコール

アウトバウンドコールは、コール対象のソフトウェア製品やサービスに関する営業活動そのものと言っても過言ではありません。「企業のキーマンを発掘する」、「ソフトウェア製品やサービスを紹介し顧客の関心度を確認する」、「営業の訪問アポイントを取得する」といった多様な目的で実施されます。企業向けのアウトバウンドコールでは、時には代表電話にコールして目的のお客様にたどり着くことが求められます。

本記事では、アウトバウンドコールにおける応対マニュアルの要点について、定期的に実施している実際の弊社事例をもとに解説いたします。

アウトバウンドコール業務における応対マニュアルとは?

アウトバウンドコール業務の応対マニュアルを作成する上で、どのような項目や手順が必要でしょうか?アウトバウンドコールでは、ターゲット顧客との関係構築が最も重要な目的の一つです。そのため、応対マニュアルには、顧客のニーズに合った営業アプローチや、質の高いトークスクリプト作成のノウハウが求められます。弊社が実際に作成した応対マニュアルに記載されている項目は大きく次の3つで構成されます。なお、コールセンターのオペレーターは、弊社のマーケティング担当者という位置付けで顧客に連絡をしています。

1.今回のコールに関する目的等の情報

  • 目的(例:イベントやセミナーへの集客案内、利用するシステムのヒアリング、営業アポイントの取得 等)
  • ターゲット(例:顧客部門、部署、実際の顧客名 等)
  • アポイント手段(例:Webミーティング、顧客先訪問 等)
  • 資料送付(メールで資料を送付 等)

2.基本的な自社の情報

  • 会社情報(企業名や部署名 等の基本情報)
  • 対象となるITソリューションの概要(今回ご案内したいITソリューションの概要)
  • ご案内する(できる)イベントやセミナー、コラムなどの情報の一覧
  • お客様に伝える折り返しの連絡先情報
  • コール結果の報告先情報と報告頻度

3.トークスクリプト

まず始めに、コール先のお客様がどのような部署のどのような役割・役職の方なのか、どのような課題を持っているのか、ペルソナを設定しましょう。そして、実際に顧客に連絡した際、オペレーターがお客様との会話を行うときのシナリオを元に、会話の流れの内容をまとめたトークスクリプトを作成します。品質の高いトークスクリプトはコールセンターの応対品質の均質化に非常に重要な役割を担っています。トークスクリプトの内容は、目的やご案内するソフトウェア製品・サービスによって大きく異なります。お客様の「Yes」や「No」で分岐させるようなフローチャート等を用いて、アウトバウンドコールの目的が達成できるようなシナリオを組み立てて作ることが大切です。想定するペルソナの状況を網羅してお客様にお聞きする質問やお客様にお伝えする内容を時間をかけて考えましょう。また、お客様から聞かれる可能性のある質問も想定してその回答を一覧にまとめておきましょう。

以下に弊社が作成しているトークスクリプトのポイントについて解説いたします。トークスクリプトの作成は、アウトバウンドコールの成功に直結します。特に、コールスクリプトを実施し、改善を重ねることで、顧客とのやり取りがスムーズになり、営業活動の効果が大きく向上します。

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トークスクリプト作成での注意すべき点

弊社で実施しているアウトバウンドコールのトークスクリプト例を使ってポイントを解説いたします。無理のないスムーズなやりとりで必要な情報をヒアリングできるように考えます。あくまでも一例ですので、目的に応じて効果のあるシナリオを柔軟に作成することが重要です。
自社のITソリューションを紹介するセミナーをご案内し、参加を促すと共にセミナーのご案内をメールで送付するケースを使います。

①オープニング:自己紹介と目的の共有

相手企業の方と電話がつながったら、まず自己紹介をした上で、ターゲットとなる顧客(部門・部署・個人)につないでいただく。そして今回ご連絡した目的を明確にお伝えし、電話での対応可否について確認させていただく。
⇒ OKの場合
「お客様の個人情報」、「システム導入にあたってのお立場(権限)」を確認させていただく。

②メイン:聴取事項の確認

あらかじめ用意した「聴取事項(目的に応じて数問程度の設問を準備しておきます)」を確認させていただく。聴取事項は、今回の目的であるセミナーに沿ったもので、その中でお客様の課題意識の有無やIT投資の予定などを確認させていただく。

メイン:自社サービスの訴求や営業連絡の打診
目的のセミナーで紹介する予定のITソリューションについての情報提供(ソフトウェア製品・サービスの概要、事例 等)を実施し、営業担当者とのミーティング(Web/対面)について打診させていただく。
⇒ OKの場合
「ミーティングの方法(Web/対面)」を確認の上、あらためて担当営業から連絡させる旨をお伝えする。

③クロージング:継続的な情報提供の打診

今後も最新情報をメルマガなどでご提供させていただく旨をお伝えし、お礼を申し上げる。

なお、上記のシナリオにおいて、お客様から対応NGとなる状況が発生した場合でも、「他社事例を始めとする情報」や「今後のイベントに関する資料」送付を打診すると共に、今後もメルマガなどで定期的に最新情報をご提供させていただく旨をお伝えし、お礼を申し上げております。

いずれの結果でもご案内したお客様を不快な気分にさせないことが大前提であることは言うまでもありません。コールの応対をするスタッフのビジネスマナーや言葉遣いは基本です。また、繰り返しになりますが、「継続的な情報提供を行わせていただくこと」や「可能であれば営業訪問のアポイントを取得すること」が重要です。そのため、お客様にとって有益な情報を提供できる会社であると印象とともに、弊社に関心を持っていただくようにお客様に働きかけて、「もっと詳しく情報を聞きたい」「何かあった際は相談してみよう」と思っていただくようにすることが最も重要だと考えます。
トークスクリプトは一度作成して終わるものではなく、問題がなかったか日々のコールを振り返り改善が必要なところを更新してブラッシュアップしていく運用も大切です。

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応対マニュアル作成・活用における実務上のポイント

弊社で応対マニュアルを作成・活用する中で、実際の業務に落とし込む際に意識しているポイントをいくつかご紹介いたします。特に新人オペレーターの育成や、現場の負担軽減、品質の均一化を図るためにも、以下の点を参考にしていただければ幸いです。

1. 実務に即した構成とわかりやすさを意識する

応対マニュアルを効率的に活用するためには、コールセンター業務の現場に即した内容と、実践的な情報を盛り込むことが不可欠です。これにより、コールセンターの品質向上とオペレーターの成長を支援します。また応対マニュアルは、業務全体の流れを把握しやすいフロー形式やステップごとの構成にすることで、現場での使いやすさが向上します。特に新人の方でも理解しやすいように、見本や台本形式のトークスクリプト、よくある質問とその回答例なども合わせて記載しておくと、初めての対応でも安心して使うことができます。また、敬語や言い回しの注意点、ビジネスマナーに関する記述も盛り込むことで、現場対応の質を保ちつつ、トラブルの原因になりやすい表現ミスなども削減できます。

2. ペルソナや目的に合わせた内容設計

マニュアルは汎用的なだけでなく、コール対象となるお客様の業種や部門、役職などに合わせた具体的なペルソナ設計をもとに構成することが重要です。実際のコールでのやり取りを想定し、質問内容や分岐パターンをあらかじめ用意することで、オペレーターが臨機応変に対応できるようになります。営業訪問のアポイント取得や資料送付のご案内など、目的に応じた訴求ポイントも明確にしておくと、コールの効率が上がり、興味を持ってもらいやすくなります。

3. 継続的な見直しとチームでの共有

マニュアルは一度作成して終わりではなく、実際の運用の中で出てきた意見や問題点をもとに、見直し・更新を行うことが重要です。現場での声を吸い上げながら改善を繰り返すことで、より使い勝手のよいマニュアルになります。また、複数のスタッフが同じ内容で対応できるようにするためにも、情報の体系化や社内共有の仕組み、サイトマップ的なページ構成も有効です。社員間でのナレッジ共有を進めることで、業務全体の効率化と品質向上につながります。

応対マニュアルの作成・運用でさらに意識すべきポイント

応対マニュアルの作成においては、「説明が具体的に伝わるか」を意識することが極めて重要です。単に情報をまとめるだけでなく、目的や対象に合わせた違いのあるマニュアル作りが求められます。ルールや業務の流れを視覚的に伝えるレイアウトを意識することで、誰が見ても理解しやすい形になります。

特に新人スタッフにとっては、「何をどう行えばよいか」「何をチェックすべきか」など、業務内容を分かりやすく説明する構成でなければ、対応のばらつきが生じ、品質の低下を招く恐れもあります。そのためにも、適切なFAQやロールプレイングを含め、完成したマニュアルをチームで共有しながら運用・管理する体制を整えましょう。マニュアル作成の責任者は、常に現場の声を反映し、必要に応じて内容を更新する柔軟性を持つことが大切です。また、使用者の「わからない」を減らす工夫も求められます。たとえば、「このパソコン操作時に注意すべきポイント」などを参照できる形で明記すると、実務での負担を少なくすることができます。

マニュアルの使い方のコツとしては、段階ごとに作業の流れを明確に分けること、そして「いつ何をすべきか」というタイミングの明記が挙げられます。加えて、「読みやすさ=理解のしやすさ」と考え、文章や言い回しに違和感がないかのチェックも欠かせません。マニュアルは身につけて終わりではなく、育てていくものです。目的やターゲットに応じて、柔軟に作り方を変えながら常に更新していくことが、良い応対品質の維持と業務効率の向上につながります。

このように、応対マニュアルの精度を高めることは、企業としての信頼性や顧客対応力の向上にも直結します。アウトバウンドコールでの成果を最大化するためにも、「伝わる説明」「適切なトークスクリプト」「業務に即した構成」の3つを意識した設計・運用を進めていくことが求められます。

まとめ

本記事では、一般的なコールセンターでの応対マニュアルの必要性から、アウトバウンドコールにおけるコールセンターの対応マニュアル作成の要点について、弊社での事例をベースに解説しました。特に応対マニュアルにおいて、コールの目的に沿ったトークスクリプト作成の重要性がご理解いただけたのではないでしょうか。アウトバウンドコール業務で成功を収めるためには、正しいトークスクリプトと応対マニュアルの作成が欠かせません。今後の業務効率化や品質向上を目指し、ぜひ自社の応対マニュアルを見直してみてください。

顧客企業やコールセンターのどちらにおきましてもテレワークや在宅勤務など、コールセンター業務を取り巻く環境は大きく変化しています。特にアウトバウンドコールの場合は、業務の特性上、ターゲットと設定した顧客になかなかつながらない、なかなか営業訪問許諾が得られない等の悩みも多いかと思います。弊社では、コールセンター業務におきまして様々な経験・ノウハウを保有しておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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