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Amazon Connect(アマゾンコネクト)とは?コールセンターにおける活用方法(vol.2)

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みなさんはAmazon Connectをご存知でしょうか。「名前は聞いたことはあるけれど、どんな機能が提供されているか実際によく知らない」「ネットで調べても内容が難しくてよくわからない」など・・お悩みの方も多いのではないでしょうか。本記事ではAmazon Connectの概要やAmazon Connectが提供する標準機能を中心に、コールセンター/コンタクトセンターにおけるAmazon Connectの活用方法について詳しく解説していきます。

また最後に、実際にAmazon Connectを導入してお使いのユーザーが現場で経験した結果として、住信SBIネット銀行株式会社様と相鉄ホールディングス株式会社様の導入活用事例をご紹介します。

アマゾンコネクト(Amazon Connect)とは

Amazon Connectとは、アマゾンウェブサービス(AWS:Amazon Web Services)が提供しているコールセンター向けのクラウドプラットフォームです。Amazon Connectはクラウド基盤で動作するため、物理的な設備投資が不要で、インターネット環境さえあれば世界中どこからでも利用できます。これにより、特にリモートワークを取り入れた柔軟な運営が可能となります。また、スケーラビリティにも優れており、コールセンターの規模が拡大した場合でも、数クリックでリソースを追加し、対応力を維持することができます。またコールセンターの運営に必要なIVR (Interactive Voice Response)やCTI(Computer Telephony Integration)といった機能を兼ね備えながらも、電話回線までも含めたシームレスなサービスをクラウド環境で提供していることが大きな特徴です。認証済みの外部サービスとの連携が容易で、リアルタイムにデータ処理や通話記録の分析が可能です。費用対効果の面でも大変高い評価を得ています。また、Amazon Connectでは高いセキュリティに豊富な機能やシステム連携、拡張性に優れており、Amazon ConnectにSalesforce等のCRM製品を組み合わせて、初期にかかるコストを抑えつつ顧客満足度の高いコールセンターシステムの構築/運用が可能となります。

Amazon Connectの特徴や機能

Amazon Connectではどのような機能が提供されているのでしょうか。それではAmazon Connectが提供している機能について説明します。

①Amazon Connectが提供する標準機能について

・PBX(Private Branch Exchange)

PBXとは企業などの組織で複数の電話機を使用する場合に、施設内で設置・運用される電話交換機のことです。Amazon Connectはこれをインターネット上で仮想化し、物理機器不要で導入可能。月額料金不要の従量課金制により、最低コストで始めることができます。

・IVR(Interactive Voice Response)

IVRとは、顧客などからの電話による問い合わせに対して、最適に振り分けを行い、音声案内によって自動的に応答を行うシステムのことです。着信するとあらかじめ録音された音声ガイダンスの再生が開始され、発信者はその音声をもとに必要な情報を数字ボタン(プッシュボタン)を押して通知します。人的対応が省けて運用が効率になります。
Amazon Connectはクラウド上でIVRの各種設定をノンコーディングで実現できます。

・ACD(Automatic Call Distributor)

ACDとはコールセンターで外線からの着信を各オペレーターの端末に自動で振り分けるシステムです。ACDのスキルベース機能を利用することで、顧客が問い合わせた内容に最も適したスキルを持つオペレーターに自動で接続されます。例えば、技術的な問題については技術サポートに、製品情報に関する質問は販売担当者に振り分けられます。これにより、顧客満足度が向上するとともに、オペレーターの対応も効率的になります。また、ACD機能は在宅勤務にも対応しており、オフィスにいないスタッフにも柔軟に仕事を割り当てることができます。あらかじめオペレーターのスキルに応じたルールを設定することで、オペレーターのスキルや空き状況に応じて着信呼を自動的にキューで振り分けられます。プロファイル別の対応や在宅勤務にも対応しており、テレワーク環境でも機能するため柔軟な勤務時間や作業環境を提供できるため、従業員満足度を上げます。Amazon Connectではクラウド上でスキルベースのルーティング設定をノンコーディングで簡単に行うことができます。

・CTI連携

CTIとは電話やFAXをコンピュータシステムの一部として統合するシステムです。Amazon Connectでは専用のソフトフォンを使用し、SalesforceなどのCRMと連携することでログイン後に画面上に顧客情報や過去の応対履歴を表示し参照しながら通話ができます。そしてシステムに現在の応対情報を入力することができます。

・録音機能

Amazon Connectでは通話の内容を録音・保存することができます。Amazon Connect上で自動採番されたコンタクトIDをもとに録音データを検索・再生することが可能です。また、CTI連携を行えば、応対情報と録音データを紐づけ、保存・再生が実現できます。録音データやレポートをもとにオペレーターの対応を評価し、改善点を見つけ出すことができます。

・通話傍受・三者通話機能

Amazon Connectではエージェントと顧客の通話中にSV(スーパーバイザー)が通話を傍受してサポートする機能があります。また、エージェントが顧客との通話を保留にし、他エージェントへ通話を行う、といった三者通話の機能も提供されています。

②Amazon Connectコンタクトフローデザイナー

Amazon Connectではコンタクトフローデザイナーを使用することで、ノンコーディングでの開発が可能となります。フローの修正が非常に容易なため、スピーディーな開発/運用が可能となります。フローの修正は直感的に通話の流れを設計可能です。チャネルごとのオプション設定や、動画マニュアルによる操作説明も用意されています。自社の業務フローに合わせて柔軟に設定ができ、規模や環境の変化にも即対応できます。これによりさまざまな課題の解決に役立つのです。詳しくは図1をご覧いただき、イメージしてみてください。

図1:Amazon Connectコンタクトフローデザイナー

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コールセンターにおけるAmazon Connectの活用方法

次にAmazon Connectを活用したコールセンターの活用事例についてご紹介します。Amazon ConnectとSalesforce Service CloudなどのCRM製品、その他AWS製品などを組み合わせることにより、コールセンター/コンタクトセンターの機能を充実させた迅速なシステム構築が可能となります。

Amazon Connectでは前章でご紹介したIVRやACDなどの機能を提供していますが、Amazon S3などのストレージサービスを組み合わせることにより、通話録音データ(音声データ)の管理が可能になります。

また、Amazon TranscribeやAmazon Comprehendなどを組み合わせることで、音声のテキスト化やテキストデータを基にした感情分析が可能となります。更にSalesforce Service CloudなどのCRM製品を組み合わせて利用することにより、Amazon Connect受電時の電話番号から顧客情報を照会しつつ、問い合わせレコードを自動作成する、などの処理が可能になります。今後はAIの活用も進んでいくと考えられます。

図2:Amazon Connect×Salesforceシステム構成概要図

Amazon Connect×Salesforceシステム構成概要図

 

受電時のSalesforce上のふるまいについてはAmazon Connect CTI AdapterをSalesforce Service Cloud内にダウンロードすることによりノンコーディングでの簡単に開発が可能になります。
※Amazon Connect CTI Adapter をインストールすると、Salesforce内に「AC CTI アダプタ」オブジェクトが作成されます。当オブジェクトのレコード詳細ページにCTI フローが一覧表示され、CTI フローの詳細ページにてフローを編集し確認することが可能です。

図3:AC CTI アダプタオブジェクト詳細画面

AC CTI アダプタオブジェクト詳細画面

 

CTI Adapterを導入することによりAmazon Connect×Salesforce Service Cloudの連携が可能となります。Salesforce Service Cloudの画面上でAmazon Connect CCPによるインバウンド/アウトバウンド通話および受電時のポップアップ表示が可能となります。

図4:Salesforce Service Cloudコンソール画面

Salesforce Service Cloudコンソール画面

 

弊社ではAmazon Connect×Salesforceでのフルクラウド型コンタクトセンターシステムの導入事例がいくつかございます。導入事例では、Amazon ConnectとSalesforceの連携により、従来のハードウェアに依存したシステムの維持費が削減され、さらにオペレーターがより迅速に顧客対応できるようになったことで、顧客満足度も大きく向上しました。また、リアルタイムでのデータ共有や分析が可能となり、業務の迅速化も実現されました。以下、公開されているプレスリリースの記事を掲載しますので、是非参考になさってください。

■参考:フルクラウド型コンタクトセンターシステム導入事例(相鉄ホールディング様)
https://www.dentsusoken.com/news/release/2022/0124.html

コンタクトセンターのクラウド化の課題解決に
Amazon Connect機能と新テクノロジーがわかるガイドブック

Amazon Connectの活用事例

住信SBIネット銀行株式会社 様 導入事例

Amazon Connect(クラウド型コールセンター)とSalesforce Service Cloud(顧客サービスプラットフォーム)を活用し、フルクラウドのコールセンターシステムを構築。これにより従来のシステムで必要であったハードウエア維持のコストが解消されるとともに、ネット銀行事業の要ともいえるコールセンター運営の機動力が大幅に高まりました。

詳しくはこちらからご覧ください

相鉄ホールディングス株式会社 様 導入事例

アマゾン ウェブ サービスが提供するクラウド音声基盤「Amazon Connect」と、株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するクラウド型サービスプラットフォーム「Salesforce Service Cloudを活用し、相鉄グループの問い合わせ窓口である「相鉄お客様センター」の音声基盤から応対履歴の管理、相模鉄道・相鉄バスを中心としたグループ各社との将来的な情報連携の基盤をすべてクラウド上で実現したものです。

詳しくはこちらからご覧ください

改めてAmazon Connectの概要説明

Amazon Connectについて説明した内容を改めて以下にてまとめます。

 業務・規模に合わせた最適な設計

Amazon Connectは、業務内容や組織の規模に合わせて柔軟なカスタマイズ可能です。自社メンバーのニーズに合わせて、システムの拡張や追加機能を簡単に選択できます。業務の効率化によって従業員の負担が軽減され、その結果として従業員満足度の向上が期待できます。さらに、リアルタイムでの状況監視や管理が可能ですので、管理者視点でも効率的な業務が遂行できます。

費用対効果とコストの最適化

Amazon Web Servicesが提供するインターネット経由での接続により、物理的な電話回線の設置が不要です。これにより、設置費用、設備費などの費用を大幅に削減できるとともに、従量課金制なので使用した分だけ費用が発生します。月額制のプランで、従業員数やビジネス拡大に合わせた最適な料金プランを選択できます。

運用・管理のしやすさ

管理者は、システムを自分で簡単に操作でき、通話やチャット履歴、レポートなど従業員の業務状況をすぐに確認できます。さらに、外部システムとも連携可能で、外部のツールと連携してさまざまなデータを統合して活用できます。

柔軟な働き方への対応

テレワークや在宅勤務が進む現代において、Amazon Connectは、場所にとらわれずにアクセスできるので、場所や環境を問わず利用可能です。これにより、企業は柔軟に人員配置を行い、リモートワーク環境での業務改善が進められます。これによって従業員満足度も上がります。

安全なデータ管理とシームレスな統合

Amazon Connectは、音声データや通話録音を無料で保存し、シームレスに管理できます。また、認証やネットワークセキュリティが強化されており、インターネット経由でのデータアクセスも安全です。規模に合わせた設定を行い、最適な運用が可能です。

まとめ

「アマゾンコネクトとは?コールセンターにおける活用方法」と題しまして、ご説明してまいりました。Amazon Connectは、スピーディーな導入や拡張が可能で、クラウドとオムニチャネルに対応したコールセンター/コンタクトセンターシステムを短期間で構築できます。さらに、標準機能に加え、SalesforceなどのCRMと統合することで、業務効率化が実現可能です。本記事では、Amazon Connectに関する基本的な情報を一通りまとめており、導入時の検討材料として活用していただける内容です。

電通総研では、Amazon ConnectなどのAWS製品やSalesforceといったCRM、最新技術を活用し、コールセンター/コンタクトセンターの業務効率化や顧客満足度向上を支援しています。クラウド型コールセンター/コンタクトセンターシステムの構築をご検討される際は、ぜひ弊社にご相談ください。

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