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CRMマーケティングのすべて|基礎知識・メリット・代表施策・導入方法を紹介(Vol.109)

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CRMマーケティングとは、CRM(顧客関係管理)を活用し、データにもとづいて最適なマーケティング施策を実施する手法を指します。

従来のマーケティングでは、顧客行動や購買履歴を細かく追跡し、一人ひとりに合わせたアプローチを行うことが困難でした。CRMを活用することで、顧客データを一元管理し、適切なタイミングで最適なメッセージを届けられます。

しかし、多くの企業が「CRMを導入したのに活用しきれていない」「マーケティング施策とCRMがうまく連携していない」 という課題を抱えています。また、 営業・マーケティング・カスタマーサポートとの連携不足により、効果的なCRMマーケティングが実現できていない企業も少なくありません。

本記事では、CRMマーケティングの基本概念から、その重要性、メリット、代表的なおすすめ施策、導入時のポイントまでを詳しく解説します。さらに「CRMをマーケティングに活用したいが、どこから手をつければいいかわからない」という方に向けて、 CRMの選定ポイントをわかりやすく紹介します。

CRMマーケティングとは

メモを取る創業者

普段、顧客とやりとりをするときに、どのような情報を活用していますか。

SaaSアプリが普及したこともあり、購入履歴や問い合わせ内容を営業担当が個別管理し、マーケティング部署ではMA(マーケティングオートメーション)ツールでメール開封率やWebサイトの閲覧履歴を分析しているといったように、部署ごとに異なる方法で管理しているケースも少なくないでしょう。

しかし、このように顧客情報が分散していると、豊富なデータがあっても部門間で連携できず、活用が限定されてしまいます。顧客ごとに最適な情報を届けたいと考えても、営業、マーケティング、サポートの連携が取れず、一斉送信のメールを送り続ける、購買意欲の高い見込み客を適切に営業に引き渡せないといった非効率な施策に陥ることもあります。

こうした課題を解決し、顧客との関係を最適化するのがCRM(顧客関係管理)です。

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、企業と顧客のあらゆる接点を一元管理し、関係を深めるための手法やシステムを指します。CRMを活用したマーケティング施策は「CRMマーケティング」と呼ばれ、たとえば次のような施策が可能になります。

  • 商品購入後、一定期間が経過した顧客に関連商品やアップグレードプランを案内する
  • 見込み客の購買意欲が高まった段階で営業に引き渡す
  • カスタマーサポートに寄せられた問い合わせ内容をもとにマーケティング施策を改善・立案する

このように、CRMマーケティングでは各部門のデータを活用し、顧客に適したタイミングで適切なアクションを実行できます。

CRMマーケティングが重要な理由

パソコンを見る2人の女性

近年、顧客は企業との関係に高い期待を寄せるようになっています。マッキンゼーの調査(※1)によると、消費者の71%がパーソナライズされたコミュニケーションを求めており、76%はそれが実現されないと不満を感じています。

顧客の期待に応えるには、顧客ひとり一人のニーズに応じたCRMマーケティングが有効です。

特にSaaSビジネスでは、LTV(顧客生涯価値)を高める必要性が増しています。SaaS企業は一般的に顧客獲得コスト(CAC)が高いため、一度獲得した顧客との長期的な関係構築が収益性に直結します。CRMを活用すれば、継続利用を促すリテンション施策や、アップセル・クロスセルの機会を創出し、LTVと利益の最大化を見込めるでしょう。

また、会社の収益向上に貢献するだけでなく、顧客満足度向上にも役立ちます。

※1 出典:McKinsey&Company「The value of getting personalization right—or wrong—is multiplying」
https://www.mckinsey.com/capabilities/growth-marketing-and-sales/our-insights/the-value-of-getting-personalization-right-or-wrong-is-multiplying

CRMの基本機能

ソファに座って働く男性

CRMと名のつくシステムは数多くありますが、どの製品にも共通する基本機能が存在します。ここでは、その代表的な機能を見ていきましょう。

顧客管理

顧客企業や個人の基本情報、担当者の役職、取引状況、購入履歴などの一元管理は、CRMの要となります。

たとえば、営業担当が新規開拓した顧客情報を入力すると、マーケティング担当やカスタマーサポートも即座に参照できます。部署ごとに分散していた顧客データが共有され、コミュニケーション履歴も簡単に把握可能になります。

それでは、どのようにマーケティング施策へと活かせるのでしょうか。

1つの例としては、営業担当者が入力した失注理由をベースにしたナーチャリング施策が挙げられます。価格が原因で失注したのなら、割引キャンペーンの案内メールを送るという施策へとつなげられるでしょう。

カスタマーサポートに多くの問い合わせをする顧客は、うまく製品を使いこなせず不満を持っている可能性が高いと考えられるため、個別相談会の案内や解説動画を送信するといったアプローチを行えます。

このように各部門の顧客情報を一元管理すれば、より精度の高いマーケティング施策の推進が可能です。

問い合わせ管理

問い合わせ管理機能は、メールやフォーム、電話、チャットなど、複数のチャネルから寄せられる顧客の質問やクレームを一元管理し、社内で共有する仕組みです。

たとえば、顧客がフォームから問い合わせた場合、その情報がCRMに自動保存され、担当者がすぐに対応できるようになります。

さらに、問い合わせの解決状況や必要なフォローをステータス管理することで、継続的な顧客満足度向上につなげられます。営業や開発が関わる内容なら、サポート担当だけでなく他部署と連携することで、より迅速で的確な対応が可能です。

自動化

最近のCRMには、自動メール送信やワークフローの自動化機能が搭載されていることが多くあります。たとえば、「カートに商品を入れたまま離脱した顧客に、購入を促すメールを自動送信する」といった施策が可能です。

このようなトリガー設定により、担当者が手動で個別対応する手間を省きながら、抜け漏れなくコミュニケーションを展開できます。また、「資料請求から3日後にフォローメールを送る」「最終購入から60日経過した顧客にクーポンを案内する」といった細かい条件設定も可能です。

自動化を活用することで、業務負担を軽減しながら、パーソナライズされた顧客体験を提供できます。

顧客分析

CRMの強みの一つに、蓄積した顧客データの分析機能があります。

単なる一覧表示で終わらせず、さまざまな切り口で解析することで、施策のインサイトを得ることが可能です。たとえば、最も購買頻度が高い顧客の属性、顧客満足度の高低要因、リピート購入者が好むチャネルなどをデータから導き出せます。

最近のCRMには、ダッシュボードやレポート機能が備わっており、リアルタイムで視覚的に傾向を把握できるため、データ分析に慣れていない方でも安心です。

CRMとSFA・MAの違い

デスクでメモを取る男性

営業チームやマーケティングチームが日々活用しているツールには、さまざまな種類があります。営業部門ではSFA(Sales Force Automation)、マーケティング部門ではMAを導入している企業も多いでしょう。

しかし、「CRMとSFA、MAは何が違うのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。それぞれの役割や目的を整理し、どのように使い分けるべきかを理解しておきましょう。

SFAとは

SFAは営業活動を効率化・可視化するためのシステムです。

顧客情報や商談の進捗、見積もりや契約状況、過去の訪問履歴などを管理し、営業担当者がより生産性の高い活動を行えるようにサポートします。

たとえば、どの商談がいつクロージングできそうなのか、見込み度合いが高い顧客はどこか、次のアクションは誰が担当しているのかといった情報を一目で確認し、属人的だった営業ノウハウをチーム全体で共有しやすくなるわけです。

SFAは売上向上を主眼に置いた機能が充実していることが多く、営業プロセスの標準化やチーム全体のパフォーマンス分析に力を発揮します。

MAとは

MAは見込み顧客の創出・育成やマーケティング業務全般を自動化・効率化することを目的にしているシステムです。

具体的には、Webサイトにアクセスした人の行動履歴を記録したり、LPやメール配信の効果測定を行ったりしながら、購買意欲の高いリードを抽出してスコアリングし、自動で適切なタイミングでメールを配信するといったアプローチが可能になります。

たとえば、資料請求を行ったユーザーに対して、3日後、7日後、14日後とステップを踏んでメールを送り、興味が高そうなアクションを取った段階で営業に通知するといった仕組みが挙げられます。

MAは主にマーケティング部門が担当する業務を支援するツールとして位置づけられ、見込み顧客が購買意欲を高める段階まで育成する役割を担います。

CRMとSFA・MAの違い

では、こうしたSFAやMAとCRMの違いは何かというと、CRMは顧客との関係性をあらゆる部門で一元管理しながら深めていくことをゴールとしている点にあります。

一方で、SFAは営業活動の効率化と見える化、MAはマーケティング活動の自動化とリードナーチャリングに主眼を置いており、それぞれの部門単体での個別最適化が主眼となっています。

たとえば、SFAが営業の商談管理に特化している一方で、CRMでは営業だけでなくサポート部門が受け取った問い合わせ履歴や、オンラインストアの購買履歴といった情報も含めて集中管理し、部門をまたいで有効活用できる仕組みを整備するイメージです。

MAがマーケティング施策の自動化に力を入れているのに対して、CRMはマーケティングのみならず顧客サポートや顧客ロイヤルティの向上施策まで視野に入れています。

たとえSFAやMAで個別最適なデータ活用がされていても、カスタマーサポートが持っているクレーム情報やロイヤルユーザーの継続購買データが他部門と共有されていなければ、顧客にとっては「一貫性のない対応」と感じられてしまう恐れがあります。

このような部門間の情報断絶を防ぎ、全社単位で顧客情報を活用できる環境を整えることこそが、CRMの本質的な目的といえるでしょう。複数システムが散在している場合、CRMを中心に据え、SFAやMAと連携させながら全体を統合する構成が理想的です。

項目

CRM

SFA(営業支援)

MA(マーケティング支援)

主な目的

顧客関係の一元管理・長期的な関係構築

営業活動の効率化・可視化

リードの獲得・育成、自動化

担当部門

全社(営業・マーケ・サポートなど)

営業部門

マーケティング部門

対象フェーズ

全体(購入前・購入後・サポート含む)

営業活動(商談・案件管理)

リード獲得〜引き渡しまで

活用する情報

顧客情報(属性・行動)、購買履歴、対応履歴など

顧客情報、商談履歴、契約ステータスなど

Web行動履歴、スコアリング、メール開封履歴など

連携の方向性

SFA・MAなどと連携して全体最適を実現

CRMと連携して営業以外の情報も参照可能

CRMと連携してナーチャリング後の管理を強化

CRMマーケティングのメリット

ブレインストーミングをするチーム

ここでは、CRMマーケティングに取り組む具体的な3つのメリットを見ていきましょう。

顧客に対する解像度を高められる

自社の顧客がどのような属性であり、どんな悩みや課題を抱えているかを、どれほど正確に把握しているでしょうか。

営業部門が「この顧客はITに詳しかったはず」と認識していても、実際はマーケティング部門の集めたデータでは「導入サポートが必要そうだ」という見方をしているかもしれません。情報が分散してしまうと、的確な提案を行うことは難しくなります。

CRMマーケティングを通じて、さまざまなチャネルのデータを集約すれば、顧客が問い合わせの中で口にしていたキーワードや過去に閲覧していたWebコンテンツ、さらに購買行動のタイミングや頻度までも可視化し、顧客視点での理解を深められるのです。

新規顧客の創出

CRM既存顧客データを分析して得られるインサイトは、新規顧客を獲得するうえでも有効に機能します。

たとえば、自社商品やサービスを積極的に活用している顧客の共通点を洗い出し、その特徴を持つ新規顧客を対象に、広告やコンテンツ配信を集中させれば、費用対効果の高いリードジェネレーションを行えるでしょう。

このように各部門が持つ顧客データは、新規顧客の創出に活用できます。

顧客ロイヤルティの向上

あるサービスを利用していて「本当に自分のニーズをわかってくれている」と実感できる対応をされたとき、次回以降もその企業との取引を続けたいと思うのではないでしょうか。

CRMに蓄積される各種データを活用して、顧客が購入した後のフォローアップやアップセル・クロスセルのタイミングを見計らい、一人ひとりに合ったメッセージを届けることで、顧客満足度の向上を期待できます。

とくにサブスクリプションモデルのビジネスにおいては、解約率をいかに下げるかが収益を安定させるカギになります。離脱しそうな顧客を早期に発見できれば、機能追加や別プランへの移行などの提案を行い、継続利用をうながすことができるでしょう。

こうした取り組みは長期的に見ても企業と顧客の両者にとって大きなメリットとなり、結果として顧客単価の向上やLTVの増大へと結びついていきます。

CRMマーケティングの代表的な施策

ポストイットに書き込む女性

ここでは、具体的なイメージができるように、CRMマーケティングの代表的な施策を解説します。

ペルソナとカスタマージャーニーの作成

先にお伝えした通り、CRMマーケティングに取り組めば、顧客解像度を高められます。顧客解像度を高めたら、あらためてペルソナとカスタマージャーニーの作成に取り組み顧客の人物像や購買プロセスを明確にしましょう。

たとえば、「30代の経営者でITリテラシーが高く、SNSで積極的に情報収集し、導入時にはコストを重視する」といった具体像を設定すれば、どのようなコンテンツが効果的か検討しやすくなります。

そのうえで、顧客の行動タイミングを可視化するカスタマージャーニーを作成し、最適なタッチポイントを設計することで、顧客にとって最適なタイミングでコンテンツを届けられるようになるのです。

このプロセスは、特に優良顧客の獲得やナーチャリングにおいて重要な要素となります。

高度なセグメンテーション

顧客の行動や属性、購買履歴を分析し、さまざまな切り口でセグメント分けをしましょう。

たとえば、頻繁に購入するリピーター層と、まだ購入に至っていない見込み顧客層では、適切なメッセージやキャンペーンが異なります。さらに、リピーター層の中でも購入金額の大小によって、アプローチを変える必要があるでしょう。

細かくセグメントを行うことで、広告配信の精度向上、メールマーケティングのパーソナライズ化などを行えます。

他部門との連携

CRMマーケティングの最大の特徴は、顧客情報を一元管理し、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの各部門がリアルタイムで共有できる点です。

たとえば、マーケティング部のメールマガジンを3回連続で開封した見込み客がいれば、即座にインサイドセールスや営業へ通知を出し、商談化率を高める。営業プロセスが停滞している見込み客に対して、成功事例記事やウェビナー動画を配信し、購買意欲を高めるといった施策へとつながるでしょう。

このように、CRMを活用することでマーケティング、営業、カスタマーサポートがシームレスに連携し、単なるリード獲得にとどまらず、顧客のLTV最大化に向けた戦略的な取り組みが可能になるのです。

顧客ごとに最適なメールを配信

CRMを活用すれば、顧客の属性や行動データをもとにセグメンテーションをし、パーソナライズ化したメール配信を行えます。

具体例としては、次のようなセグメント分けです。

  • 業界
  • 企業規模/売上高
  • 役職
  • 購買頻度・回数
  • 問い合わせ内容

たとえば、○○業界の部長以上を対象に特別ウェビナーへ招待すれば、効率よく意思決定層にアプローチできます。またBtoCにおいては、カートに入れたままの商品がある顧客に対し、リマインドメールや特別クーポン提供メールを送信すれば、購入率を向上させられるでしょう。

アップセル/クロスセルの提案

1:5の法則(新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持にかかるコストの5倍)、SaaS企業における年間定期収益(ARR)の約36%は既存顧客からのもの、急成長を遂げている企業の収益のおおむね70~80%ほどは既存 顧客によるもの。

これらのデータが示すように、特にサブスクリプション型ビジネスでは、アップセル/クロスセルで既存顧客の売上を高める重要性が増しています。

CRMマーケティングに取り組めば、顧客データにもとづいたアップセル/クロスセルの提案を行えます。簡単な例だと、購買履歴をもとにした関連商品の提案、月額契約者を対象に年額契約による割引オファーの提示、製品利用頻度が高いユーザーに上位プランを勧めるなどです。

このように顧客の利用状況データを適切に活用できれば、より説得力のある提案が可能 になります。

トリガーマーケティング

トリガーマーケティングとは、顧客の行動や状態をトリガーとして、システムが自動で対応する手法です。

たとえば、特定の商品ページを一定回数閲覧した顧客に対し、営業チームへ自動通知を送る仕組みを導入すれば、最適なタイミングでフォローできます。こうした施策を積み重ねることで、顧客への適切なフォロー体制を構築できるでしょう。

さらに、セミナーの参加履歴をもとにフォローアップメールを送信することで、見込み客の関心度を高める施策としても活用できます。

自社に最適なCRMを選ぶポイント

手を合わせるチーム

CRMマーケティング成功のカギは、自社に適切なCRM選定をできるかどうかにあります。しかし、市場には多くのCRMが存在するため、選定に悩む方は多いです。そこでここからは、CRM選定時のポイントを紹介します。

目標を明確にする

まずは、自社の課題とCRM導入の目的をはっきりさせる必要があります。

各CRMツールは独自の強みを持っており、目的を明確にすることで、CRMツールの候補を大きく絞れます。

たとえば、営業部門の売上最大化が急務なら、営業がスムーズに商談管理やリード管理を行える仕組みが必要になりますし、マーケティング部門のリードナーチャリングに注力したいなら、広告配信やメール配信と連携しやすい機能を持つCRMを中心に比較検討するとよいでしょう。

また、CRMの選定時には製品の概要やデモを確認し、自社の運用フローに適合するかを慎重に検討することが重要です。

社内のシステム状況を確認

CRMの最大の強みは、社内の顧客情報を一元管理できることですが、その強みを活かすためには自社で現在どのようなシステムやツールを導入しているかを確認する作業が欠かせません。

営業チームがSFAを使っているかもしれませんし、マーケティングチームはMAツールを使っているかもしれません。あるいはオンラインストアがECプラットフォームで顧客の購入履歴を管理している場合もあるでしょう。

こうした既存システムとの相性は無視できない問題で、せっかくCRMを導入しても、それぞれのデータが連携されずに分断された状態では、顧客の全体像をつかむのが難しくなってしまうのです。

貴社も「部門ごとに独立したツールを使っている」「それらを結びつける仕組みがない」という状況に陥っていないでしょうか。もし心当たりがあるなら、一度全社的なシステム構成を見直し、本当に必要な情報をどこで扱っているのかをマッピングしてみると、理想のCRM像が見えてくるはずです。

必要な機能を確認する

必要な機能を明らかにする段階では、ツールの機能一覧をひたすらチェックするだけでなく、自社の運用フローをシミュレーションしてみることが重要です。

どういうことかといえば、見込み顧客が初めて資料請求をしてから営業担当がアプローチするまでの手順や、購入後にサポート部門がフォローアップする流れを具体的に想定すると、どんな場面でどの機能が必要になるかを洗い出しやすくなります。

営業支援機能を重視したいなら商談管理や顧客情報の検索性、マーケティングに強いCRMを望むならメール配信やセグメント管理の充実度、EC連携を重視するなら在庫管理や顧客の購入履歴管理といった要素に注目する形が自然でしょう。

現場の社員に操作性を確認してもらう

現場の社員に操作性を確認してもらうことも、導入時の失敗を防ぐ大きなポイントです。

顧客データは、蓄積されて初めて活用できます。つまり、各部門の社員がCRMを日常的に使い、データを入力し、管理するという定着が起こらなければ、どれほど高機能でも意味がありません。

使いにくいインターフェースや、複雑な操作が求められるシステムだと、現場は敬遠しがちになってしまいます。IT部門主導で選んだ高機能なシステムが、実際には現場の営業担当から「入力が面倒」「画面がごちゃごちゃしていて見づらい」と不満を持たれ、結局あまり使われなかったというケースは少なくありません。

導入を検討する際には、現場メンバーによるテスト使用やヒアリングを行いましょう。

CRMマーケティングで失敗しないポイント

遠くを眺めるスーツ姿の男性

CRMマーケティングで失敗しないためには、データ活用、部門間の連携強化、自動化機能の活用、継続的な改善が必要です。ここでは、それぞれの失敗しないポイントを見ていきましょう。

データを活用する

顧客データを形だけ集めても、それを分析して施策に落とし込まなければ意味がありません。

データをただ集積するだけで終わってしまう企業は少なくありませんが、本来の目的は「顧客の行動やニーズを可視化し、的確にアプローチする」ことにあります。顧客の属性や行動データを集めたら、分析し、データの裏に潜む顧客のニーズや課題を特定しましょう。それを施策に落とし込めば、顧客にとって有益な情報を届けられるようになります。

もし、データを活用できていないと感じるなら、まずは簡易的なレポートの作成から始めてみることも方法のひとつです。データを目に見える形にするだけでも、改善のきっかけが生まれる可能性が高まります。

各部門の連携を強化する

データドリブンのマーケティングを行いたいのであれば、各部署が取り扱っている顧客情報を共有し合う仕組みを整えなければいけません。

マーケティング部門が収集した見込み客情報が営業部門に届かない、もしくは届いていてもすぐに活用されない状態が続けば、せっかくの商談機会を逃しかねません。こうした連携不足を解消するためには、どの段階で何の情報をどのように引き渡すのか、ワークフローの整備が不可欠です。

たとえばマーケティングからインサイドセールスへの引き継ぎタイミングを具体的な数値条件で設定し、必要であれば自動化機能を使って担当者に通知が届く仕組みを構築すると、部門を横断する情報の流れが格段にスムーズになるはずです。

自動化機能を活用する

自動化機能を使いこなすことは、部門連携の強化だけでなく、担当者の作業負荷を減らすうえでも有効です。

たとえば、顧客が何らかの行動を取ったタイミングでメールを自動送信する仕組みがあれば、担当者が手動で一件ずつ配信するよりも圧倒的に効率が良いだけでなく、フォローの抜け漏れが起こりにくくなります。

CRMマーケティングでよく見られる自動化は、特定の条件を満たしたリードが生じた際に営業へ自動でアラートが飛ぶよう設定しておき、迅速なフォローアップにつなげて成約率を大幅に伸ばすというものです。

こうしたアプローチは、顧客体験の向上にも貢献します。顧客が「問い合わせをしたのに放置される」という残念な経験をすることが減り、結果として顧客満足度やロイヤルティの向上を見込めるでしょう。

継続的に改善する仕組みを作る

CRMは導入した段階がゴールではなく、そこからが本番だという点を忘れてはいけません。

定期的に運用状況をチェックし、活用されていない機能がないか、データ入力の不備や重複が発生していないか、さらには部門間で役立つ新しい活用法が見つからないかを検証する仕組みを持ち続けるようにしましょう。

導入時に設定したKPIが達成できていないと感じたら、なぜ達成できないのかを調べて改善策を講じることが大事です。CRMをはじめとしたツール活用に慣れていない場合、初めは最小限の機能を使い始めて、慣れてきた段階で自動化や分析機能を徐々に広げていく流れで成果を高めるとよいでしょう。

CRMマーケティングの成功事例

固く握手をするスーツ姿のビジネスパーソン

セブン銀行は、ATM事業に続く第2の収益源として銀行口座サービスの拡大を進めていました。しかし、新規口座開設者へのマーケティング施策において、既存のメールシステムは柔軟性に欠け、一括配信以外の方法を取るには大きな負荷がかかる状況でした。

そこで、2020年7月に導入されたのがSalesforce Marketing Cloudです。蓄積された顧客データを活用し、利用者の関心に応じたOne to Oneマーケティングを実現できるこのクラウドソリューションは、メッセージングや広告配信、データ管理など多彩な機能を備えています。

特にJourney Builderは、直感的な操作でメールやプッシュ通知のフローを作成できるため、ターゲットごとに最適なメッセージの自動送信が可能になりました。

今後はさらなるマーケティングの高度化を目指し、個々の顧客に最適な情報をタイムリーに届けることで、口座サービス事業の成長を加速させていく考えです。

▼本事例の詳細は以下リンクでご確認いただけます。
https://www.dentsusoken.com/case_report/case/2023sevenbank.html

CRMマーケティングで顧客との関係性を深めよう

CRMマーケティングの魅力は、顧客と長期的に深い関係を構築できる点にあります。単なる一度きりの販売や契約で終わるのではなく、継続的な接点を持ち、追加提案やサポートを通じて満足度を高めることで、売上とブランド力の両方を強化できます。

しかし、運用の仕組みや部門間の連携、社員のITリテラシー向上など、検討すべき課題は多岐にわたります。時間こそかかりますが、一つひとつのステップを踏みながら「小さな成功と改善」を積み重ねることで、顧客を深く理解し、データを活用した価値あるコミュニケーションを育めるようになります。

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