最近、Mulesoftという言葉をよく聞きますが、どのようなものなのでしょうか? そこで、MuleSoft Anypoint PlatformをCDP(Customer Data Platform)の連携基盤として活用する方法をご紹介いたします。豊富なライブラリによる最適なデータ連携、API-Led Connectivityによる柔軟な統合、そして生成AIやChatGPTと連携など、統合的な顧客データ収集管理の実現方法を解説いたします。
目次
MuleSoft のAnypoint Platformとは、「API開発」「データ連携」「APIカテゴリー」「API Gateway」「運用監視」の5つの機能をもつアプリケーション統合プラットフォームです。AnypointPlatformを中核としています。
Anypoint PlatformはAPI開発からデータ連携、APIカタログ化、APIゲートウェイ、運用・監視までAPI のライフサイクル全般をカバーする包括的なプラットフォームです。ローコード開発や自動ドキュメンテーション、セルフサービスでの利用など、APIを効率的に活用するための様々な機能を提供しています。
1.【API開発】 Anypoint Platformは、APIの設計、構築、テスト、デプロイまで一貫した開発サポートを提供します。デザインセンターでAPIを視覚的に設計し、RAMLやOpenAPI仕様を使用して効率的にAPI開発を行うことが可能です。
2.【データ連携】 Anypoint Platformは、様々なシステムやアプリケーション間でデータのシームレスな連携を実現します。DataWeaveを活用したデータ変換機能により、異なるフォーマットやシステム間でのデータ統合が効率的に行えます。
3.【APIカテゴリー】 Anypoint Platformは、Experience API、Process API、System APIの3層アーキテクチャを推奨し、役割に応じたAPI構築を可能にします。APIカテゴリーにより、再利用性や拡張性が高まり、柔軟なAPIエコシステムが構築されます。
4.【API Gateway】 Anypoint API Gatewayは、APIへのアクセス制御やセキュリティを強化し、エンドポイントの保護を担います。OAuth 2.0やAPIキー管理、流量制限などにより、APIの安全性を確保します。
5.【運用監視】 Anypoint Platformは、APIのパフォーマンスや稼働状況をリアルタイムで監視する機能を提供します。Anypoint Monitoringを活用することで、システムの安定稼働を維持し、問題の迅速な検出と対応が可能です。
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【CDPの基本概念】 CDPとは、複数のチャネルから顧客データを収集し、統合的な顧客プロフィールを構築するシステムです。CDPは、ウェブ、モバイル、カスタマーサポートなど様々なチャネルからデータを集約し、それを整理して他のシステムが利用できるようにします。
CDPにより、企業は顧客の行動を理解し、個別の体験を提供することが可能になります。刷新が完了するまでの間、レガシーシステムに対しMuleSoftを通じてクラウド環境に接続すれば、例えばCDP(Customer Data Platform)に有用なデータを提供するなど、古いシステムの価値を最大限に引き出すことができます。
【Salesforceのプロダクト構成】 CDPは、Salesforce Data CloudとMarketing Cloudが主要なプロダクトとなります。Salesforce Data Cloudは基盤となり、各種ソースからデータを取り込み、統合された顧客プロフィールを形成します。一方で、Marketing Cloudはこの統合データを活用し、メール、SMS、ソーシャルメディアといった様々なチャネルで顧客とコミュニケーションを行い、ターゲットを絞ったマーケティング戦略を可能にします。
【MuleSoftの役割】 Data Cloudでは対応しきれないレガシーシステムや複雑な連携要件に対しては、MuleSoft Anypoint Platformがその役割を担います。MuleSoftは、古いシステムや高度な統合が必要なシステムと接続し、CDPに必要なデータが円滑に流れるようにするための架け橋となります。
【生成AIによる顧客体験の最適化】 また、生成AIであるEinsteinやChatGPTが顧客プロファイルや過去のインタラクションを分析し、顧客ごとに最適なアップセルやクロスセルのオファリングを生成します。これらのデータ証跡が付いたオファリングは、Marketing Cloudを通じて提供され、より効果的な顧客エンゲージメントや収益向上を目指します。この仕組みは、データ駆動型のアプローチによる顧客関係管理やターゲティングされた マーケティングを実現します。
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お客様環境、外部環境およびインターネット環境から最適な方法でデータを連携・収集します
1.【豊富なコネクタライブラリの利用】 Salesforce、SAP、Oracle、AWSなど多数のアプリケーションやデータソースとの連携が可能。 すぐに利用できるコネクタが揃っており、迅速なインテグレーションが実現できます。
2.【リアルタイムデータ連携】 イベント駆動型のリアルタイム連携が可能で、ビジネスに重要なデータを即座に活用できます。例えば、在庫管理やカスタマーサポートにおける即時対応が可能になります。
3.【APIゲートウェイによる一元管理】 APIゲートウェイを通じてAPIの一元管理が可能。各種ポリシーを設定し、APIの利用状況をモニタリングすることで、効率的かつ安全な運用を支援します。
4.【ポリシーによるアクセス制御とセキュリティ強化】 IPフィルタリング、レート制限、OAuth2.0などのポリシーを適用してアクセス制御を強化。外部からの攻撃や不正アクセスからシステムを保護します。
5.【シームレスなインターネット環境統合】 MuleSoftは、オンプレミス環境とクラウド、さらにはインターネット上のサービスとシームレスに接続可能。複数の環境をまたいだ柔軟な連携が実現できます。
6.【セキュアなデータ連携】 MuleSoftのプラットフォームには、データの暗号化やアクセス制御など、包括的なセキュリティ機能が組み込まれており、安心してデータをやり取りできます。
7.【拡張性のあるアーキテクチャ】 API主導の3層アーキテクチャ(Experience API、Process API、System API)を採用しており、将来的な拡張が容易です。新しいシステムやサービスが追加された際もスムーズに対応可能です。
8.【ビジネスニーズに対応するデータ変換機能】 MuleSoftのDataWeaveによる柔軟なデータ変換が可能。異なるデータ形式やフォーマットを簡単に変換し、異なるシステム間でデータの整合性を保ちながら連携します。
9.【強力な監視とトラブルシューティング機能】 プラットフォームには包括的な監視ツールが組み込まれており、リアルタイムでシステムの状態やパフォーマンスを監視できます。トラブルシューティングも迅速に行え、システムの安定稼働をサポートします。
たとえばMuleSoft Anypoint Platformには、IBMのメインフレーム環境で動作するIMS DBと連携するためのコネクタがあります。以下に詳細を示します。
MuleSoft Anypoint Platformは、様々なエンタープライズシステムとの連携をサポートする豊富なコネクタを提供しており、IBMのIMS DBに対しても対応しています。具体的には、MuleSoftはIBMのz/OSおよびIMS DBと連携するためのコネクタを提供しています。これにより、IMS DB上のデータをGET操作で取得することが可能です。
・データの取得(GET操作): IMS DBからデータを取得するためのクエリを実行します。 ・トランザクション管理: トランザクションの一貫性とデータの整合性を保つためのトランザクション 管理機能を提供します。 ・リアルタイムアクセス: メインフレーム上のデータにリアルタイムでアクセスし、必要なデータを 即時に取得します。
※利用方法 ➀Anypoint Exchangeからのコネクタのインストール Anypoint ExchangeからIBM IMSコネクタをダウンロードしてプロジェクトに追加します。 ➁接続設定: コネクタを設定して、IBMのIMS DBへの接続情報(ホスト名、ポート、ユーザー名、 パスワードなど)を指定します。 ➂フローの作成: Muleフローを作成し、IMS DBからデータを取得するためのGET操作を定義します。
このフローでは、HTTPリスナーがリクエストを受け取り、IMS DBに対してクエリを実行して データを取得し、その結果をログに出力します。
1.【客観的で信頼性のあるオファリング作成】 MuleSoftと統合されたEinsteinやChatGPTは、膨大な顧客データをもとに、データに基づく 客観的なオファリングを生成します。これにより、感覚や経験に頼らず、確固としたデータに裏付けられた 提案が可能になります。
2.【事例ベースのオファリング作成】 過去の成功事例や類似ケースをもとに、顧客に最も響くオファリングを提案します。業界別やニーズ別に 最適化された提案ができるため、顧客に対するリーチ力が向上します。
3.【データトレース可能なエビデンス】 すべてのオファリングは収集データに基づいて生成されており、オファリング内容の根拠をトレース可能です。これにより、顧客への提案が透明性を持ち、信頼性が高まります。
4.【パーソナライズされたクロスセル・アップセル提案】 顧客の購買履歴、行動データ、興味関心に基づいてパーソナライズされたオファリングを提供します。 これにより、顧客体験を向上させつつ、収益の最大化が期待できます。
5.【リアルタイムでのオファリング最適化】 AIモデルは新しいデータを常に学習し、オファリングをリアルタイムで最適化できます。市場動向や顧客の行動変化に応じた提案が可能で、常に最新かつ最適な内容を提示します。
6.【複雑な顧客セグメントにも対応可】 複数のデータソースから情報を統合し、複雑な顧客セグメントに対応したオファリングが生成可能です。 異なるニーズを持つ顧客層に対しても効果的にアプローチできます。
7.【高度なAIの活用による価値創出】 MuleSoftの連携基盤と生成AIが連携することで、AIが提案を自動生成するだけでなく、ビジネスの意思決定を支えるデータエビデンスを提供します。AIの力を活用することで、顧客満足度を高め、ビジネス価値を最大化します。 8.【SalesforceとMarketing Cloudによる一貫した運用管理】 生成されたオファリングはSalesforce Marketing Cloudと統合され、顧客へのリーチから 管理まで一貫した運用が可能です。プロモーションやオファリングの効果を追跡し、PDCAサイクルを回しやすくなります。
「MuleSoft Anypoint PlatformをCDPの連携基盤として活用しよう」と題して、ご紹介してまいりました。Anypoint Platform基盤のCDPが各層に提供する価値やメリットを総括いたします。
営業部門にとって、CDP基盤としてのAnypoint Platformを活用することで、「ここにこれをこれくらい提案したら、これくらい売れるだろう」という仮説を立てやすくなります。仮説を検討する際に、エビデンスとなるデータを瞬時に収集できるため、精度の高い提案が可能です。ビジネスのスピードが求められる現代において、迅速な意思決定と行動が可能となり、競争力を高める一助となります。
IT部門にとっても、CDP基盤としてのAnypoint Platformは大きな利点をもたらします。たとえば、メインフレームなどのホストシステムにある検索対象のデータにリアルタイムでアクセスできるAPIを部品として活用できるため、日々の運用や拡張、保守開発が効率化されます。
さらに、将来的なレガシーマイグレーションやシステム更新時にも、既存のAPIを再利用できるため、コスト削減やリソースの最適化につながります。API主導のアーキテクチャによって、拡張性と保守性が向上し、IT資産としての価値が長期的に維持されます。
経営層にとっては、CDP基盤としてのAnypoint PlatformがDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のための基盤を整備することで、新たなビジネス戦略の実行がはるかに容易になります。IT部門が経営戦略を支援できるようになることで、経営層は迅速かつ柔軟に市場の変化に対応し、組織全体に変革の号令をかけやすくなります。これにより、ビジネスのイノベーションが加速し、競争優位を維持するための原動力となります。
また、MuleSoftのAnypoint PlatformをCDP基盤として利用することで、異なる部門やシステム間のデータが統合され、顧客理解が深まります。これにより、データに基づいた意思決定が可能になり、顧客満足度の向上、売上の増加、さらには新規事業の開拓にもつながります。
生成AIのEinsteinやChatGPTによって提供されるデータエビデンス付きのオファリングは、精度の高いマーケティング戦略を実現し、ターゲティング効果を最大化します。
CDP on Anypoint Platformがもたらすこれらのメリットにより、組織全体が一体となり、デジタル時代のビジネス環境に適応し続ける強固な基盤が構築されるでしょう。
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