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AIエージェントの導入ステップのひとつPOCとは? 検証内容や進まない原因・注意点や円滑に進めるためのポイントを解説(Vol-148)

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AIエージョントの導入にあたってはステップのひとつとしてPOCを実施します。目的に合致する効果を得られるか、技術的に実装が可能かなどの検証を行うためです。POCがうまく行かず導入が進まない問題に直面している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、AIエージェントのPOCについて、進まないという問題が生じた際の原因や注意点、円滑に進めてAIエージェントを導入するためのポイントなどを解説します。

AIエージェントとは

AIの進化は目覚ましく、生成AIによる高品質なコンテンツの作成については、広く一般に浸透しているといえる状況になっています。そんななかで注目を集めているのがAIエージェントです。ではAIエージェントとは何でしょうか。2025年12月時点で「AIエージェント」という言葉に確定的な定義があるわけではありません。そのため、それぞれで多少異なった捉え方があるかもしれませんし、日々その姿も情報も進化しています。そのうえで、AIエージェントの基本的な認識は概ね以下の通りです。

自社(ユーザー)のエージェント

AIエージェントは自社(ユーザー)のエージェントです。つまり代理人として働いてくれるAIソフトウェアを意味します。従来のAI技術、AIツールが個別に指示を与えたことに対してだけ答えを返してくれる存在だとすれば、AIエージェントは自分の代わりに・自社のために能動的に動いてくれる存在です。

たとえば、とある作業のやり方についてプロンプトを入力した場合、従来の生成AIでは最適なやり方を回答してくれるのに対し、AIエージェントでは最適なやり方を示すだけでなく、その実行して作業を完了するところまで対応してくれる、といったイメージです。

特定業務を24時間サポート

たとえばチャットボットのように24時間、設定した業務を自動で行うなど自社(ユーザー)を強力にサポートするのがAIエージェントです。AIエージェントに任せられる業務は多岐にわたります。
導入方法については、ベンダーから供給されている既成のAIエージェントを導入する方法に加え、自社のニーズに応じて最適なAIエージェントを独自開発することも可能です。

目標に向かって自律的に動く

自社の“代理人”であるAIエージェントは、細かいプロンプトを与えることなく、分析や判断も行いながら目標に向かって自律的に動いてくれます。自律的な動きが可能な理由は、AIエージェントが最終的な目標を理解して計画立案し、意思決定を行う機能や、随時外部ツールを活用する機能を持っているためです。

他のAIエージェントと連携することで、全社を横断する業務処理の効率化に使える点も特徴のひとつです。たとえば、社内の各部署ごとに専用のAIエージェントを配置し、あるAIエージェントに他部署にもまたがる内容を含む作業を任せると、他部署のAIエージェントと連携して必要な処理を行うなど、自律的にタスクを完了させることもできます。

AIエージェントのPOC

企業へのAIエージェント導入時には、POCの壁に阻まれてしばしば中断してしまう、といった声が聞かれます。POCとはProof of Conceptの略で、日本語では「概念実証」と呼ばれている検証のことです。AIエージェントのPOCは、AIエージェントについての概念実証であり、実装に向けて技術的可能性や効果、リスクなどを検証すること、またはそのプロセスを指します。

POCなしで本格的にAIエージェントを導入した場合、そのまま効果的に動いてくれればよいですが、そうでない場合はリスクが大きくなってしまいます。そのため、まずは部分的な導入から始めつつ、POCをしっかりと行うことが重要です。ただ、このPOCから先に進まないというケースが意外に多いともいわれています。POCが完了しなければ本格導入にはつながりません。POCが進まない問題については後述します。

POCで検証する内容

POCで検証する内容を解説します。

技術的な実装可能性

検証対象となっているAIエージェントが、現状で構築されている自社の技術環境などの条件とマッチしているか、実装したとして期待どおりの動きと機能を発揮できるかといった可能性の検証です。とくに重視したいのが既存システムとの関係で、連携がうまくできないからといって、自社のシステムをまるごと新しいシステムに入れ替えるというわけにもいかないでしょう。対応としては基本的には既存環境との連携を前提とした修正や、POCにかけるソリューションの変更が考えられます。

業務との相性

実際の業務を行っている現場で円滑に運用できる相性があるかの検証です。運用はできても円滑でなければ業務効率の低下になってしまいかねないため、実際のユーザーの意見を重視する必要があります。

効果

AIエージェントを導入する目的を達成できるか、明確化した効果が得られているかの検証です。たとえば、コストの10%削減や処理時間の20%短縮といった狙っていた効果を、実際の数値データで検証し、成果が出ているかを計ります。

AIエージェントのPOCでは、コストの評価(ROI=費用対効果)も重要です。コストの削減につながればそのまま経済的利益となりますが、処理時間の短縮は直接的な金額にはなりません。上記の場合は、短縮となる時間を当該作業にかかる人件費に置き換えることでコストの評価が可能になります。限定的な運用時点でのPOCの結果を踏まえ、本格導入ではROIがどの程度の数字になりそうかも、導入判断の材料となるでしょう。

POCで課題を発見しリスクに備える

AIエージェントを本格導入した場合の課題やリスクをPOCで明らかにすることで、課題への取り組みやリスク回避の方策を考えることができます。課題解決やリスク回避が困難と思われる場合には、本格導入を断念するか、異なるAIエージェントで再チェレンジするかといった選択が必要です。

AIエージェントがPOCで進まない問題の原因

AIエージェントの導入がPOCによって進まない問題の原因について解説します。

AIエージェントが絞れないからPOCができない

AIエージェントとPOCの関係でいえば、あくまでも導入候補として検証可能なAIエージェントが存在してこそ、POCの実施が可能となります。したがって、AIエージェントが検証可能な状況にない場合や、どのAIエージェントをPOCにかけるかが絞れない場合には、そもそもPOCをスタートできませんのでいつまで経っても導入が進みません。絞れない原因としては、目的が不明確であるケースなどが考えられます。

POCの結果としてAIエージェントの導入が進まない

POCを実施した結果として、AIエージェントの本格的な導入に馴染まないと判断された場合は導入が進みません。AIエージェントの本格導入が可能となるのは、一般にPOCの結果が良好で、技術的な問題や運用上の課題が見られないか、解決の見通しが立っている場合です。

導入に馴染まない理由として、実装可能性や効果の程度が低い、基盤が不足している、リスクが大きいなど以外に、以下のようなケースが含まれる点に注意しましょう。

  • AIエージェントに対する漠然とした期待
    期待が漠然としていると、POCの結果に明確な線引きができないだけでなく、そもそも正しいPOCが行えません。たとえば、社内業務を効率化したいという期待は漠然としたものです。業務のどの部分をどのように効率化したいのかを明確にする必要があります。
  • AIエージェントに対する過度な要求
    要求が過度である場合、期待に応えられる可能性は低くなってしまいます。その根底には、AIに対する無理解や、AI技術を高く評価するあまり、AIエージェントなら何でもできそうだという思い込みが考えられます。

そもそもPOC自体の難度が高くAIエージェントの導入が進まない

導入目的を達成するための要件をどのようにエージェント化するか、その運用・管理をどのように本番化するかの難易度が高く、POCに進んでもOKが出ないケースがあります。また、単純にPOCの円滑な進行に対応できる高いスキルをもった人材や環境がないなどの要因によって難易度が上がってしまい、先に進まないケースも少なくないようです。

AIエージェント導入とPOCに際しての注意点

AIエージェント導入とPOCに際しておさえておきたい注意点を解説します。

現場の理解が重要

AIエージェントを導入する際には、POCの適切な実施も含めて現場の理解が欠かせません。その大きな理由に、AIに対するさまざまな受け止め方があります。AIエージェントに限らずAIについてはポジティブな反応だけがあるわけではありません。

たとえば、AIが人間の役割を代替することによって、なくなる職種が話題に上ることがあります。当該職種に就いている人のなかに、自分の仕事がなくなってしまうかもしれないとの不安が生じることが考えられます。また、AIは日進月歩の進化を続けており、現在は人間でなければならないと考えられている職種が、AIの進化によって無人化される可能性も考えられるでしょう。

そのうえで、AIエージェントの導入という話が入ってくれば、最悪はリストラがあるのではないかといったように、現場の不安を煽ることになりかねないといえます。

また、未知なるAIが想定外の暴走を起こしてしまい、監視や対策に忙殺されるなど負担が増えるのではないかといった懸念を抱かれるケースにも注意が必要です。現場にこのような空気が蔓延してしまうと、POCどころの話ではなくなってしまいかねません。AIエージェントが人間の仕事そのものを奪うわけではなく、その一部について代理するだけであることや、導入の目的とメリットなどを正しく理解してもらうための説明が重要です。

誰がAIエージェントに責任を負うか

AIエージェントは作業性が自律しているとはいってもあくまで技術の一種であり、ソフトウェアであるため、結果が好ましくない場合でもAIエージェントに責任を問うことはできません。では、何かあったときに誰も責任をとらないのかといえば、企業である以上は誰かが責任をとらなければならないという考え方を持つ人も多いでしょう。そのときに責任の所在が曖昧では、混乱を招く可能性があります。

その結果として起こり得るのが、誰も責任を取りたくないからAIエージェントを活用しないという本末転倒の事態です。または、使うことは使うものの、自律させない運用になってしまう可能性があります。POCの段階であれば、消極的になってしまい進行速度の大幅なダウンとなることも考えられます。

せっかくのAIエージェントを効果的に運用するためには、むやみには責任を問わない、という体制をつくる必要があります。どうしても責任をとる必要があるなら、前もって責任の所在を明確にする必要があるでしょう。もちろん、責任を問われるだけで運用に権限がないのでは誰もその任に当たりたくないといえます。責任に見合う権限をセットにすることが重要です。

POCとAIエージェントを円滑に進めるポイント

POCを円滑に進め、AIエージェントを効果的に導入するためのポイントを解説します。

できるできないを明確に分ける

AIエージェントに対する期待感ばかり大きくても実現しなければ失敗です。失敗から学んで次に成功すればよいですが、できることとできないことの切り分けは最初に行うべきことだともいえます。できることとできないことの切り分けにおいて大切となる考え方は、主に以下の3種類です。

  • 現行のAI技術ではできないこと
    日々進化するAI技術だけに半年後、1年後、2年後にはできるかもしれないものの、現時点ではできないことです。POCを実施するまでもなくできないでしょう。
  • AIエージェントにはできるが運用としてできないこと
    AIエージェントに何を期待し、何を任せるかは企業によります。この仕事をAIエージェントに任せるわけにはいかないといった業務はできない業務です。
  • できるかできないかわからないが、ダメ元でやってみる価値があること
    文字通り価値があるのであれば、やってみるとよいでしょう。

丁寧な説明と役割分担プラストップダウン

注意点では現場の理解について述べましたが、現場だけでなく関係各所への丁寧な説明は円滑な業務進行に不可欠です。縦割りの業務が目立つ日本の会社では、セクショナリズムとまではいえないまでも、部署間の温度差や他部署のことに関わらない、他部署には口出しされたくない、といった空気感がないとはいえません。

とくにAIエージェントはその目的や機能、運用面から複数部署にまたがって関係することが珍しくないため、協力・連携した一体感のある取り組みが求められます。

また、POCでも本格導入でも適材適所の役割分担が必要です。役割にミスマッチがあると、士気にかかわるおそれがあり、仮にやる気はあってもうまく動けない可能性があります。部署の連携がとれていない、適材適所になっていないといった場合には、トップダウンの命令で動かすことも重要です。個人や個別の部署の業務改善ではなく全社的な取り組みであることを強調します。

外部のサービスを活用する

自社の体制ではPOCを含めAIエージェントの導入が進まないという場合、外部サービスのサポートを受ける選択肢もあります。自社にノウハウや人材がいない場合でも、専門家のサポートにより、効果的なPOCや本格導入が可能です。
たとえば、伴走型のサポートを行う電通総研ではAgentforceの導入支援・活用支援ソリューションを提供しております。導入検討をどう進めるべきかわからない、社内のどの業務にどう活用できるのかイメージが沸かない、というようなお客様に向けて、対象業務の選定から導入、試行と改善や効果測定まで徹底支援しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

AIエージェントを導入するならPOCを効率よく進めよう

AIエージェントは自律的に動くことができ、企業の代理人かのように手間をかけることなく業務処理をしてくれるソリューションです。自律的に動くからこそ、本番前のテストは重要といえます。AIエージェントの本格導入にあたっては、その前に限定的な規模感の導入で行なうPOC(概念実証)で技術的な実装可能性や効果などを評価し、課題やリスクと合わせた導入判断が必要です。

POCはさまざまな要因から本格導入に至らないケースも指摘されており、効率よく進めることが求められます。自社に知見やリソースが不足している場合は外部の支援サービスの利用も検討しましょう。

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※本記事の内容に関しましては2026年04月09日の情報を基に作成しています。
詳しい内容につきましては各製品・サービス・ソリューションサイトにお問合せください。

 

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