電通総研はSalesfoece.com(セールスフォースドットコム、以下、「SFDC」という)をお客様にご提供するだけでなく、自社内でも活用しています。顧客の購買プロセスの変化やテレワークなどのオンライン活用等、昨今の営業を取り巻く環境変化やデジタル化を踏まえ、電通総研自らが取り組んでいるソリューション営業プロセスのDX化について、活用事例として解説いたします。営業プロセスのDX化を実現する参考になれば幸いです。
目次
セールスフォースは、世界中のあらゆる業界において15万社以上の企業が利用されているSaaSです。営業・カスタマーサービス・マーケティング・eコマース・IT部門まで、全員が顧客データを中心に仕事を進めることを可能としたCRMが「Customer 360」です。 Customer 360は、次のようなクラウド型ソフトウェアサービスを提供しています。
【主なクラウド型ソフトウェアサービス】
<ご参考URL> 以下のURLで、SFDCの導入企業(日本も含む)が紹介されております。 https://www.salesforce.com/jp/campaign/worlds-number-one-CRM/
電通総研はSFDCを活用したソリューションを多くのお客様にご提供しておりますが、自社内でも活用しております。本記事では電通総研で実際に活用している事例を中心に、営業プロセスのDX化の取り組みについて解説します。
電通総研では、2003年よりソリューション営業の「商談管理」としてSFDCを導入し、イベントやセミナーに参加されたお客様のフォロー、案件化した後の商談から受注までの営業支援ソリューションとして活用しています。
導入時の営業プロセスは、リードジェネレーションから受注に至る全てのプロセスを営業が担当していたため、営業の業務負荷が高く、ビジネスの機会損失の発生といった課題を抱えている状態でした(下図のAs Isの状態)。
その後、「働き方改革」の一環として、
と営業プロセスの役割を分担し、外部パートナーやデジタルを活用した営業プロセスのDX化を2019年より取り組み始めました(下図のTo Beの状態)。
営業プロセスのAs Is、To Be
また、外部環境の大きな変化として2つありました。
ひとつめの大きな変化は顧客の購買検討プロセスが変化したことです。従来は営業から情報収集していたものが、インターネットの普及に伴い情報収集から比較検討まで、その大半を顧客が独自にGoogle等で検索・調査することができるようになりました。
その結果、顧客自らが自社の業務課題についてWebで検索し、解決策となりそうなソリューションとして選択した企業だけに問い合わせるという購買検討プロセスに変化しています。言い換えると営業による情報提供機会が減少しているということになります。
<ご参考情報> 情報収集、比較検討、意思決定といった購買プロセスのうち、前半の67%は営業担当者が接触する前に終わっている 【出展: 2012年 シリウス・ディシジョンズ】
ふたつめの大きな変化は、昨今、テレワークやWebinarなどオンラインでの業務遂行が一般的になってきたことです。従来のプッシュ型営業やイベント・セミナーの開催といったアウトバウンド型のビジネススタイルだけでは新規案件(ビジネス)の創出という観点において、ビジネスへの影響が感じられるようになってきました。
具体的には、「テレワークでお客様が会社にいないためつかまらない」、「メールやオンライン会議が中心になったため、お客様の表情などが把握しづらい」といった影響がありました。つまり、従来のような直接お客様にお会いして、情報提供や商談を行う営業の機会が激変したということです。この営業を取り巻く環境の変化は、本記事をお読みいただいている皆様もお感じなられているのではないでしょうか。
そこで、電通総研は2020年より従来のアウトバウンド型の営業施策に加え、インバウンド型の営業施策として、「インバウンドマーケティング」に取り組み始めました。
営業を見える化・導く・やるべきことがわかる組織にする 営業支援ソリューション 基本ガイドブック
インバウンドマーケティングとは、ターゲットとする見込み顧客が自発的にWebで検索した際に電通総研を見つけてもらうための活動のことです。前述した通りお客様自身が自社の業務課題について、Google等のインターネットを活用して解決策となるソリューションを自ら調査されています。そのため、ターゲットとする見込み顧客が検索入力した業務課題のキーワードに、自社の製品/サービスページを上位表示させるような取り組みを行っています。
インバウンドマーケティングの取り組みを、具体的にご紹介すると次のようになります。
という対応を地道に行っています。お客様の業務課題の解決のヒントとなるコンテンツを準備することが重要なポイントです(下表参照)。
電通総研ではメールマガジン送付、Webinar開催、ダウンロード資料に応じた次のマーケティングアクションの遂行にSFDCのMarketing Automation(マーケティングオートメーション)を活用しております(詳細は後述します)。
インバウンドマーケティングのコンテンツ
お客様がGoogleで検索し、情報を収集する入り口となるのがWebサイトです。電通総研では、コーポレートWebサイト(https://www.dentsusoken.com/)のサブドメインをソリューション毎に取得し、ソリューション専用のWebサイトを構築しています。
このサブドメインのソリューションサイト構築もGoogle対策の一環です。今、ご覧になられている顧客接点DXソリューションサイト(https://crm.dentsusoken.com/)もサブドメインを使ったサイトになっています。このソリューションWebサイトは、電通総研の自社製品であるFACERE(https://www.facere.biz/)を使っており、FACEREに内蔵しているCMSツールであるWordPressを使ってWebサイトを構築、社内で運用しております。
また、Webinarや資料ダウンロード申込み等において、SFDCのMarketing Cloud製品のひとつであるAccount Engagement(旧Pardot)のLanding Page(ランディングページ)を使っております。
SFDC内のお客様情報から、ターゲットソリューション毎にメール送付先リストを作成し、Account Engagement(旧Pardot)に登録しております。このメール送付先リストに対する週次でのメールマガジンやイベント・セミナー案内の送付、資料ダウンロードページへのアクセスと資料ダウンロード(コンバージョン)実績等のKPI管理を行っています。
また、Account Engagement(旧Pardot)は、条件分岐によるシナリオを設定することができるため、特定の資料をダウンロードされたお客様に対して、特設ランディングページをメールでご案内するといったシナリオメールの運用とその実績管理なども行っています。
マーケティングのプラットフォーム
「インバウンドマーケティング」という取り組みの裏側には、SFDCなどを活用した様々な仕組みが実装されております。それでは、弊社で利用しているSFDCソリューションごとの利用方法を詳しく解説いたします。
電通総研では営業や営業マネージャーの業務をサポートする営業支援ソリューションとして、2003年よりSales Cloud(セールスクラウド)を営業の「商談管理」として利用を開始しました。ソリューションを担当する営業は、多くの企業を担当していますので、個々の見込み顧客の商談管理が営業個人に依存している状態でした。
そのため、直近に訪問した顧客の検討状況は週報で共有はされるものの、一定期間訪問していない顧客がどの程度存在しているのかが不明でした。よって管理面や担当営業の引継ぎ時に、過去の商談情報が適切に引き継がれない等の課題がありました。これらの課題を解決するソリューションとしてSFDCを活用しております。
また、ソリューション毎に開催するイベントやセミナーに参加されたお客様に対する顧客フォロー状況管理などにもSFDCを活用しております。営業が名刺管理サービスである「Sansan」に登録した名刺情報をSFDCの「取引先担当者」情報として更新する仕組みや、帝国データバンクのような企業情報データベースの情報を「取引先」情報として更新する仕組みを導入する等、顧客情報データベースとして活用しています。
営業プロセスのDX化を推進する上で重要なポイントとして、インバウンドマーケティングで獲得したリードを見込み顧客に育成(ナーチャリング)する仕組み作りがあります。
ナーチャリングのやり方としては、お客様の状態がカスタマージャーニーマップのどの状態なのかを想定し、次のステップに進んでもらうためのコンテンツを顧客ごとにご案内します。ナーチャリングの反応をみたうえで更なるご案内を行うというアクションが必要だと考えます。
そのために重要なシステムがMA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)です。ソリューションWebサイトに来訪されるお客様のサイト内での回遊状況やコンバージョン状況を数値化しるスコアリングします。また、特定の資料をダウンロードしたお客様に別のご案内をするといった、条件分岐を設定したマーケティングシナリオを実装します。このようにMAを活用して、PDCAサイクルをまわし仮説検証を実施しています。
顧客の購買プロセスと提供するコンテンツ
これらは全てデジタルで実施しているのですが、この仕組みにインサイドセールスというアナログな対応を加えたナーチャリングを電通総研では実施しています。また、「問合せ」という形で具体的な案件の相談がいただけた場合は、フィールドセールスに直接つなぐ運用にしております。
「セールスフォースの活用事例をDX視点でご紹介 クラウドを活用しよう」と題して、ご紹介してまいりました。これまで解説してきた内容をまとめたものが、以下の図になります。
電通総研では、ソリューション営業プロセスを役割分担し、それぞれの役割を支える仕組みとしてSFDCを活用して営業プロセスのDX化に取り組んでいることがご理解いただけたのではないでしょうか。現在も電通総研ではインバウンドマーケティングに対応するソリューションサイトを順次拡充しておりますし、この仕組みを活用してABM(Account Based Marketing)にも展開していきたいと考えています。
セールスプロセスとアクション
SFDCはCRMソリューションとして様々なサービスが提供されています。電通総研での事例で解説した通り、SFDCの各ソリューションを個別に利用するだけでは活用にはなりません。業務に合わせて(他社のシステムやサービスも含めて)、必要なソリューションを組み合わせ活用することが必要だと考えます。電通総研は自社での経験も踏まえ、お客様の顧客接点におけるDX化をご支援させていただきます。
当サイトでは、顧客接点におけるDX化に資するソリューションや、最新のIT活用を学びたい方へ、ダウンロード資料を多数ご用意しております。ぜひダウンロードいただき、資料をご活用ください。
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