SFA(Sales Force Automation)は、営業支援 ツールの一種であり、営業プロセスの自動化と効率化を実現するために使用されています。SFAの歴史は、営業活動の効率化と顧客関係管理の重要性の認識とともに進化してきました。以前はパッケージソフトとして提供されていたもオンプレミスのも有りましたが、現在ではクラウドベースのSFAソリューションが主流となっており、その特長として柔軟性とスケーラビリティを備えたシステムが多く提供されています。価格もユーザーの数と月額の課金となっているので初期コストをおさえることも可能です。IT技術とモバイル環境の進歩により、営業担当者はSFAを活用することで、新規の顧客を開拓したり、より効果的に顧客との関係を築いたりなど、案件を増やしビジネスの成果を最大化することができるようになっています。営業支援ツールであある、SFAの導入のメリットとデメリット、十分に活用するための導入時の注意点を以下に解説します。
目次
SFAには様々な効果が期待できますが、SFA導入のメリットには主にどのようなことがあるのでしょうか?
SFAは、営業担当者の業務を自動化し、繁雑なタスクを効率的に処理するのに役立ちます。セールスの日報を作成したり顧客情報の入力をするなどのルーチン業務を自動化したり、移動中にスマホなどのモバイル端末を使い、簡単に入力したりすることで、営業担当者は付帯的な作業の時間と負担を削減できます。そして顧客を訪問してのコミュニケーションなど、より重要な営業活動に集中できます。自分が担当している商談を一覧で表示して、どこが今アプローチすべき案件なのか、優先順位や次にやるべきタスク、活動の計画に抜け漏れがないかを確認できます。これにより、営業の行動の質が変わり生産性が向上し、業務効率化と売上向上につなげることができます。
SFAは、顧客情報や販売データ、商談の状況などの重要な情報を蓄積して一元化、見える化、営業チーム全体で情報共有できるようにします。これにより、各営業担当者は顧客との関係や進捗状況を把握しやすくなり、他のメンバーと協力して活動することができます。チームやメンバーの活動状況が可視化できることで、マネージャーは全体を見た上で、それぞれに必要なサポートやアドバイスを的確にすることができます。報告のためのムダな会議を減らす効果も期待できます。 情報=ノウハウの一元化と共有により、チームの連携が強化されるとともに、各営業パーソンのスキルアップにつながり、顧客サービスの向上や売上の増加が期待できます。一元化された情報は誰にでも分かりやすく、退職や異動、採用に伴う顧客担当営業のスムーズな引継ぎにも有効に活用できる点も見逃せません。
SFAは、顧客情報を追跡・管理するための機能を提供します。営業担当者は、顧客の連絡先情報、購買履歴、特性などを画面から検索して簡単にアクセスできるため、顧客に対してよりパーソナライズされたアプローチが可能になります。顧客の嗜好やニーズに合わせた提案やアドバイスを行うことで、顧客満足度を向上させ、長期的に良好な顧客関係の構築や改善に貢献できます。
SFAは、データの分析と予測機能を提供します。現在のリアルタイムな受注の進捗と案件の商談状況から見込みを作ったり、そこから予実の分析をしたりできます。販売データや顧客動向の分析に基づいて、将来の売上予測や需要予測を行うこともできます。これにより、戦略的な意思決定が可能になり、営業戦略の最適化や販売計画の立案、予算の策定に役立ちます。 また、過去の商談情報を分析することで自社の勝てる商談の特徴を見える化して、ブラックボックス化していた営業活動の内容を可視化することもできます。勝てる商談と勝てない商談の違いが分析できれば、勝てる型の商談にリソースを注力できます。また、分析のレポートは営業活動だけではなく、マーケティングのプランを策定するためにも活用できます。昨今ではAIが搭載され、より詳細で高度な分析が可能になってきています。分析と予測はこの先、さらに急速に高度化していくと考えられます。
SFA導入のメリットは理解できましたが、いいことばかりではなさそうです。SFA導入のデメリットも整理してみましょう。
SFAの導入には初期コストや運用コストがかかります。業務整理のためのコンサルティング、システムの購入や設定、カスタマイズ、トレーニング、データ移行などに関連するコストが発生します。また、SFAシステムは利用範囲や導入のやり方によっては複雑になることもあり、利用者が使いこなせるようになるまでに時間と労力を要することもあります。結果として高いコストがかかってしまうこともあるので、導入範囲と導入方法は精査が必要です。
SFAシステムでは個人情報を含む大量のデータが扱われるため、データ品質やセキュリティの問題が発生する可能性があります。データの正確性や整合性の維持、データの漏洩や不正アクセスからの保護が重要です。適切なデータ運用管理策やしっかりとしたセキュリティ対策を講じる必要があります。
SFAシステムの導入後、従業員に対するトレーニングや変更管理が必要です。システムの操作方法や利点についての適切なトレーニングを行わないと、従業員がシステムを活用することができず、徐々に使われなくなったり導入効果が低下したりする可能性があります。また、システムのバージョンアップ(SaaSでは利用者が時期を決められない)や変更に伴う事前準備や適切な対応も重要です。
SFAシステムは営業プロセスの重要な部分を担っています。そのため、システムの障害やダウンタイムが発生すると、営業活動に大きな影響を与える可能性があります。システムへの業務の依存度を把握し、バックアップ策や緊急時の対応策を備える必要があります。
以上が、SFA導入のメリットとデメリットの説明です。ただし、実際の導入においては企業の状況やニーズに応じて、より具体的な評価と検討が必要です。自社だけでは十分な検討が難しいケースにおいては、専門のコンサルティングを受けることもおすすめです。SFA導入の、さまざまな成功事例の情報はネット上でも探せると思いますので、それらを参考にしてみるのも役に立ちます。
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SFA導入のメリットとデメリットがわかったところで、SFA導入時の注意するべきポイントを整理してみます。導入計画をしっかりしないと、使ってもらえないSFAになってしまいます。
SFAを導入する前に、自社の現状とビジネスニーズを明確にすることが重要です。具体的な目標や課題を特定し、SFAがどのようにそれらの課題を解決し、目標達成に貢献するかを把握します。それにより、自社のニーズに合致した適切なSFAシステムを選択し、導入プロセスを効果的に進めることができます。
SFAの導入には、信頼性のあるベンダーの選定が重要です。ベンダーの実績や評判、提供するサービス、カスタマイズの柔軟性、セキュリティ対策などを慎重に評価しましょう。導入に失敗しないためには複数のベンダーを比較検討し、自社のニーズに最も適したベンダーを選ぶことが重要です。情報の収集には各社のwebサイトや無料で参加ができるセミナーなども活用すると良いでしょう。 SFAは日々変化する業務に合わせて常にアップデートさせていくことが求められます。一度導入して終わるのではなく、導入がスタートだと考えて、その効果を出し続けるために長い付き合いができるパートナーなのかも大事な視点です。
SFAの導入は、利用する営業チームや関連部門の従業員の参加とトレーニングが不可欠です。教育と同時に、ユーザーのニーズや意見を聞き入れ、業務がやりやすくなるようシステムの設計やカスタマイズに反映させることが重要です。 また、トレーニングプログラムや操作マニュアル、運用マニュアルを提供し、従業員がスキルを身に着けてSFAシステムを正しく活用できるようにサポートすることも重要です。マニュアル類はシステムのバージョンアップに合わせて改訂を行っていく必要も有ります。
SFAシステムは正確なデータに基づいて機能します。データの品質管理を徹底するために、項目ごとにデータ入力のルールやガイドラインを定め、従業員に正確かつ一貫性のあるデータ入力を促す必要があります。また、データの重複やエラーの修正、データのバックアップと復元の手順も確立しておく必要があります。 顧客名とその関連情報、製品やサービス名とその関連情報等は基幹系システムとのマスタデータの連携も重要です。
SFAシステムには重要な顧客情報や個人情報、販売データが含まれるため、セキュリティ対策が不可欠です。システムが提供するセキュリティ機能や暗号化技術を確認し、アクセス制御やデータの機密性を確保するための適切なポリシーや手順を策定しましょう。 SSO(シングルサインオン)など、自社の共通基盤として活用している認証システムが有るケースは、導入するSFAでその仕組みが利用可能かどうかも確認が必要です。
SFAシステムは、企業の成長や変化に追従できるように柔軟性と拡張性を備えていることが望ましいです。具体的にはCRM(Customer Relationship Management)やMA(Marketing Automation)、名刺管理のシステムとの連携は初期のスコープに入れておきたいところです。外部の別のシステムを使う場合はそれぞれの連携ができるかどうかを確認しておきましょう。さらに活用状況に合わせて、将来的な機能追加やモジュールの導入が容易であり、システムが変化するビジネス要件に対応していけることを確認しましょう。
SFAの導入は導入ベンダーに加え顧客側のシステム部門だけでなくユーザー部門の相当な工数が必要です。導入は現場に無理が無い計画を策定し行う必要があります。プロジェクトのスコープや期間、リソースの割り当て、社内の体制と関係者の役割・責任を明確化して、導入のスケジュールと展開の計画を立てましょう。始めはシンプルな使い方でスタートし、徐々に高度化していくことも可能です。段階的な導入やパイロットプログラムを実施することで、リスクを最小限に抑えながら効果的な導入を行うことができます。 サービスの運営会社にもよりますが、トライアルが可能な場合も多いので、導入前にPOCを実施して実際に動かしてみることもSFAを選ぶ方法の一つになります。
「営業支援ツール:SFA導入のメリットとデメリット、導入時の注意点」と題して、ご紹介してまいりました。SFAの導入においては、その導入メリットを見極め、デメリットや注意点を考慮することが成功のカギとなります。事前の十分な検討がなされないと、いつの間にか導入することが目的となり、現場に定着せず十分に活用されない仕組みになってしまいます。SFAは、オフライン(営業の顧客訪問、電話など)とオンライン(顧客の様々な情報や履歴、メールなど)の情報を融合させて活用することで力を発揮します。
自社のニーズと目標をしっかりと定義し、それに合わせた導入範囲と導入計画を立てましょう。ユーザー部門をうまく巻き込み、トレーニング、データ管理、セキュリティ対策などを適切に実施することで、SFAシステムを効率的に導入して最大限に活用できる環境を作れるでしょう。これらの情報を参考に改めてSFAを活用した最適な顧客接点づくりを考えるきっかけになれば幸いです。SFAの選び方や導入の仕方などでお困りの際は是非ご相談ください。
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