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顧客管理の顧客データ管理とは? 重要視される背景や顧客データ管理体制の作り方を含めて解説(Vol.112)

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顧客管理で取り扱う顧客データは自社の業務に重要な意味を持つ情報です。したがって、顧客データの管理には最善を尽くす必要があるといえるでしょう。

この記事では、ITツールを活用した顧客データ管理にスポットを当て、一元管理の重要性や顧客データ管理体制の作り方、メリットや注意点などを解説します。

顧客管理で重要となる顧客データの一元管理

元化のツリーが書かれた黒板

まずは、顧客管理においてデータを一元管理することの重要性や、その目的について解説します。

顧客管理とは顧客のデータを管理することでもある

基本的に顧客を抱える企業ではさまざまな顧客情報を利用しており、管理方法に違いはあっても顧客管理自体をしていないということはないでしょう。顧客管理とは、言い換えれば顧客のデータ管理です。データがなければ顧客を特定することも困難なため、まずは氏名や名称、住所や所在地など顧客を特定するデータが必要になります。次に、顧客との接点を深め、商談を進めるために必要となるさまざまなデータを収集し、活用が可能な状態で蓄積し分析するなど、顧客管理、顧客データ管理は自社の業務に欠かせません。

ただし、顧客管理と顧客データ管理は必ずしもイコールではないといえます。顧客管理に用いられる要素は客観的なデータだけでなく、加工や分析、主観が含まれた情報もあるためです。

顧客管理、顧客データ管理には、古くから行われている紙ベースの顧客台帳に手書きでデータや情報を記録・更新するやり方もあります。しかし、情報化社会が進んだ結果、顧客管理、顧客データ管理といえば、デジタル技術、ITツールを活用した管理を指す場合が多いといえるでしょう。また、後述するように法人顧客と個人顧客の差を反映して、BtoBかBtoCかで管理するデータに違いが生じます。

顧客データの一元管理の重要性

顧客データを一元管理することによって、無駄が解消されて業務効率のアップが期待できます。

顧客データはさまざまなルートで集まってくるものです。営業部隊が客先を訪問し、足で稼いでくるデータが多くなるのは必然といえますが、顧客からの問い合わせもあれば、顧客がオープンに発信、提供しているデータもあります。さらには、顧客の知り合いと接点のある人間が社内にいれば、間接的に顧客データが入ることもあるでしょう。

このように、データが集まる人や部署がまちまちの場合、各自・各部署で個別にデータを管理していると、他の部署ではデータの存在を知らないために横の利用ができない事態が起こり得ます。また、存在は知っていても必要なときに引き出せないといった属人化の弊害も懸念事項です。いちいち他のデータがないかを確認して回るとなれば、手間が増えるだけでなく確認漏れも起こり得ます。

しかし、顧客データを一元管理することで、いつでも必要なときに最新のデータを漏れなく確認し、役立てることが可能です。

顧客データ管理の目的

集めた顧客データは自社の事業推進、マーケティングに有効活用する目的で管理されます。顧客データの分析や検討を通じて顧客へのアプローチを最大限まで磨き上げ、顧客満足度の向上、自社や自社の商品・サービスのブランディング、そして売上利益を最大化させることが最終的な目的です。

管理する顧客データ

アンケート用紙とスマホ

顧客管理において管理する顧客データはさまざまですが、どの企業・団体であっても共通して必要な顧客データ、管理すべき顧客データがあります。

顧客データには定量データと定性データがある

顧客管理において管理する顧客データには、定量データと定性データの2種類があります。定量データはプロフィールや属性、数値化できる要素を示すデータです。そのため、客観的な分析や判断に適しており、BtoBとBtoCでは違いがあります。定性データはクレームや問い合わせ内容、口コミなど文章化されたデータが主で、数字には表れない内面的な部分を知ることが可能です。

BtoBの定量データ

企業や団体を顧客とする場合の定量データには主として以下のような項目があります。

  • 住所
  • 法人名、団体名
  • 代表者名
  • 設立年月日・代表電話番号・メールアドレスなどの基礎データ
  • 担当部署、担当者名と個別の連絡先
  • 公式URLやSNSアカウント
  • 取引履歴とその金額・詳細など

BtoCの定量データ

個人を顧客とする場合の定量データは、主に以下のような項目です。

  • 住所
  • 氏名
  • 性別
  • 誕生日
  • 電話番号・メールアドレス
  • 商品・サービスの購入日や利用歴・金額
  • 問い合わせやキャンペーン参加の履歴

顧客データ管理が重要となる背景

人差し指を立てる女性ビジネスパーソン

近年、顧客データ管理の重要性は以前にも増して大きくなっています。その背景にはどのような状況があるか、見ていきましょう。

他社との競争

従来型の紙ベースで定量データを中心に扱っていた顧客管理では、他社との競争に勝てない時代になった点が大きな背景として考えられています。ITの進化で管理できるデータの量や範囲が広がり、分析や有効な情報としての蓄積など、データの活用法が変化したことで、さまざまなアプローチ、マーケティング手法が生みだされました。

紙ベースで集めた顧客の好みなどのデータをマーケティングに活かすため、手作業で集計や分類、分析を行っていたのでは、Webでリサーチし、デジタルデータとして処理する手法には追いつけません。他社がDX推進の流れに乗ってIT時代の顧客データ管理を行い、高度なマーケティングを実施するなかで、競争に乗り遅れるわけにはいかないため、ますますデータ管理が重要となっています。

レガシーシステムからの脱却

導入してから時間が経過したレガシーシステムを使い続けることで、最新の管理体制をとる他社との差が広がったり、タイムリーな決断に悪影響を及ぼしたりするおそれがあります。レガシーシステムからの脱却は、さまざまな企業・団体で検討されている課題です。経営効率のアップとも関連して、最新のITソリューションによる顧客データ管理への移行が求められています。

セキュリティ強化の要請

情報セキュリティが重視される社会にあって、紙ベースで机に顧客データを保管するといった顧客管理や、顧客台帳を金庫に入れて保管する手法、Microsoft Excel(エクセル)などのアプリケーションに入力したデータをPC内部に保存する顧客管理は安全面への不安が大きいといえます。レガシーシステムも同様です。

世界中のどこからでも不正なアクセスを企図できてしまう時代であることや、データが漏洩すると一瞬で拡散してしまうといったことが起こり得ることから、社会的責任という点も含めセキュリティ強化の要請は強まるばかりです。自社でセキュリティ対策を行うとなると、スキルをもった人材が必要になるなど、負担が大きくなりがちといえます。

ITツールを活用した顧客データ管理なら、セキュリティ面もお任せで安心です。ただし、自社の状況にマッチするセキュリティレベルが確保できるかどうかは、プロダクトによって異なります。

AI(人工知能)を用いた高度なデータ活用への対応

近年ではビジネスのさまざまなフェーズ・場面においてAIを当たり前のように活用することも増えてきています。

たとえばマーケティング部門においては、Webサイト上での行動データや購買履歴、自社システムに蓄積された顧客の問い合わせ履歴などさまざまな情報をAIに処理させて、顧客の嗜好やニーズを分析し最適な立案をする、といった活用方法があります。

このようなAI活用を臨機応変に、かつスムーズに行うためには、顧客情報をデータとして一元管理しておく必要があります。

ITツールによる顧客データ管理の体制の作り方

CRMと書かれたキューブ

最新のITツールを利用した顧客データ管理体制を作るために、おさえておきたい流れ、ポイントを紹介します。

目的を明確化する

まず、なぜITツールを導入して顧客データ管理を行うのか、その理由と目的を明確にする必要があります。データの一元管理を実現することで、「サイロ化で連携がとれていなかったデータの有効活用を目指す」「さまざまな角度からデータを分析し、ピンポイントのマーケティングに役立てたい」といったように、目的を明確にすることが、その後の選択を含む必要な準備や体制作りを進めるためのポイントです。

自社に必要なシステム・機能の検討

明確になったITツール導入の目的を達成するために、必要なシステムや機能は何かを検討します。その際、目的達成と同時に自社の現状にマッチするかどうかも考慮しなければならないでしょう。マッチする度合いが低いと、期待したほどの効果を得られないかもしれません。

顧客データを持ち寄る

社内に散在している顧客データを持ち寄って、一元化の準備をします。ここですべてのデータを漏れなく集めることが重要です。そのうえで、一元管理が必要なデータか、個別管理が必要なデータかの判断が必要になったり、異なる2つの同種データのどちらが正しいものかを確認したりといった作業が発生する可能性があります。データのまとめ方を調整する必要もあるでしょう。

ITツールを選ぶ

自社にマッチするITツールの選択は慎重に行う必要があります。また、顧客データ管理に使えるITツール自体、複数の種類があるため、それぞれの特徴を理解しておく必要があるでしょう。

  • CRM(顧客関係管理=顧客管理システム)

顧客管理、顧客データ管理といえば、そのためのITツールとして知られているのがCRM(Customer Relationship Management)です。集めた顧客データをCRMでデータベース化して一元管理し、それぞれの顧客に適したアプローチに役立てることで顧客満足度を高め、顧客との良好な関係性を構築できます。

  • SFA(営業支援システム)

SFA(Sales Force Automation)は営業活動の効率化を主眼に置いた顧客データの管理を行います。営業マンの行動や商談の進捗といった営業活動全般におけるデータの分析や共有など、属人化しやすい営業活動の透明化にも役立つのがSFAです。

  • MA(マーケティングオートメーション)

文字通りマーケティングを自動化するツールがMA(Marketing Automation)です。細分化され複雑化するマーケティングにおいて、膨大な顧客データを処理、分析し、効率のよいリード獲得やナーチャリングを支援します。

  • 名刺管理

名刺管理は集めた紙の名刺を読み込んでデジタルデータ化したうえで管理するためのツールです。検索やリスト化、名寄せに役立ち、大量の名刺が集まる職場では特に威力を発揮します。ただし、名刺のデザインや内容はさまざまで、正確に読み取れないことがある点に注意が必要です。

  • その他の選択肢

その他の選択肢として、たとえばITツールの自社開発があります。既存のツールを使うよりもマッチ度は高くなるでしょう。しかし、社内に専門的なスキルをもった人材がいることが前提となります。いない場合は新規採用や育成を考えるか、外注が解決策となりますが、コスト面や時間的な面を考えるとハードルは低くありません。また、ノーコードやローコードでの作成は比較的簡単ですが、カスタマイズの限界や大規模開発に向かないなどの制約があります。

▼ITツールの導入には、メーカーやベンダーによるサポートが欠かせません。電通総研は顧客管理システムの開発、運用等の業務ノウハウが豊富です。顧客管理のデジタル化や運用に課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。

・電通総研の営業支援ソリューション

https://crm.dentsusoken.com/sales-support/

顧客データ管理を実施するメリット

MERITと書かれたキューブ

ここで顧客データ管理を実施するメリットを確認しておきましょう。

業務効率のアップ

CRMなどのITツールは、データの入力や活用が簡単で操作性・視認性も優れていることが一般的です。手作業でのデータ処理とは比較にならないほど業務効率がアップします。また、クラウドのITツールはインターネット環境があれば誰でもどこからでも使えるため、オンプレミスのシステムよりも機動力を発揮した活用が可能です。

マーケティングに活かせる

MAはもちろんのこと、CRMやSFAでも顧客動向を確認してアプローチをかけるなど、さまざまな業種で顧客データをマーケティングに活かすことが可能です。

顧客対応に活かせる

一元管理しているデータを問い合わせ対応時などに参照することで、顧客ごとの状況を正確に把握したうえでの受け答えや提案が可能になります。顧客にとっても品質の高い顧客対応は話が早く、満足度が高くなるでしょう。

データのアップデートが容易

ITツールを使って一元化された顧客データ管理では、誰かがアップデートした内容が全員に共有されます。しかも入力が簡単であることから、データ更新のハードルが低く、最新の情報を活かすことが可能です。

セキュリティが強化される

前述のとおり、手動やレガシーシステムによる顧客データ管理にはセキュリティ面への不安があることから、ITツールを利用した顧客データ管理のメリットは大きいといえます。セキュリティ強化のメリットは、直接的な被害の予防だけではありません。情報漏洩が起こったときなどに懸念される信用失墜の回避もメリットのひとつだといえます。

ただし、お任せで最新のセキュリティ対策を期待できるのはクラウドサービスの場合です。オンプレミスでは自社にセキュリティ対策の負担がかかります。

一から作る必要がない

製品化されたITツールで顧客データ管理を行う場合、システムを一から作る必要がありません。あらかじめ用意された機能を使うだけの簡単操作で、データエントリーから分析まで、誰でも同じように結果を得られます。

AIへの活用など、新しいニーズにも対応しやすい

自社が蓄積している情報を適切なデータ形式・構造で一元管理しておければ、前述のAI活用をはじめ、時代に応じて出てくる新たなニーズにも対応しやすくなります。

顧客データの収集と分析

分析結果のグラフ

顧客データの収集手段にはどのようなものがあるのか、また分析はどのような手法で行うのかについて解説します。

顧客データの収集手段

顧客データはとくに意識していなくても、日常の業務のなかで必然的に集まるものです。とはいえ、意図せずに入手したデータのなかには不要なものや役に立たないものも含まれています。有用なデータを収集するためには、会社として戦略的に集めることも重要です。
集める手段としては受注履歴やアンケートへの回答、セミナー申し込み、会員登録、オウンドメディアへのアクセスログなどがあります。これらは定量データです。定性データとしては、問い合わせ履歴、SNSのコメントやレビューなどがあります。

集めたデータの分析

集めたデータの分析方法には、RFM分析、セグメント分析、バスケット分析などがあります。

  • RFM分析

Recency(最終購入日・利用日)、Frequency(購入・利用頻度)、Monetary(購入・利用金額)の3つの指標を用いて分析する手法です。最終購入日が最近であり、購入頻度が高く、金額が大きい顧客ほど優良と判断できます。逆にしばらく購入していない、頻度も高くなく、金額的にも小さい顧客はよい顧客とはいえないでしょう。とはいえ、それぞれの顧客がいつまでも同じ状況にあるとは限りません。この結果をもとに、どの層の顧客にどういった施策を打つかを検討するなど、RFM分析はマーケティングに欠かせない分析方法です。

  • セグメント分析

顧客を一定の条件で区分(セグメント)して分析する手法です。たとえばBtoCの場合、区分する条件には年齢層や居住エリア、趣味や職業などがあります。セグメントによる購買行動の特徴などを分析することで、最適な施策の立案、実施につなげることが可能です。

  • バスケット分析

顧客が商品やサービスを購入する際、同じカート(バスケット)にどのような商品・サービスが入っているかをチェックし、分析する手法です。その組み合わせを分析することで、併売しやすい商品の把握、アップセルやクロスセルの促進などにつなげます。

顧客データ管理の注意点

注意点と書かれたキューブ

顧客データ管理を行ううえでの主な注意点を紹介します。

担当部署または担当者を決める

クラウドITツールによる顧客データ管理は、いつでも誰でもどこからでもアクセスできる点が便利ですが、適切な利用をしないと責任の所在が曖昧になりかねません。また、時間の経過とともに統一的な運用に乱れが生じることもあるため、担当部署や担当者を決めて適切な運用を維持する必要があります。

顧客データの管理はしっかりと

ITツール自体のセキュリティ性能が高いからといって油断していれば、収集した元データが流出してしまうといった事態が起きかねません。元データをどのように扱うかを決めておく必要があるでしょう。また、IDやパスワードの設定と管理強化、セキュリティソフトの導入など、対策の検討と実施が重要です。

元データの品質に留意する

データの管理体制がしっかりしていても、元の顧客データがいい加減なものであれば、一元管理の効果を期待できません。分析結果が見当外れで逆効果になってしまうことも考えられます。収集し利用するデータの正確性には注意が必要です。

ITツール選びは慎重に

ITツール選びで失敗しないためには、少なくとも下記5点をしっかりと検討する必要があります。

  • ユーザーインターフェース、ユーザビリティの良否

実際に使う場面を想定して、画面が見やすいか、操作が面倒ではないかといった確認を行います。デモやお試し利用が可能なベンダーなら確認しやすくおすすめです。

  • 機能の過不足

ニーズに対して必要な機能が足りていないと、使用時に手間がかかったり、そもそも使えなくなってしまったりします。逆に使わない機能が多すぎると無駄になってしまいます。

  • コスト感

予算に限りがある場合はコスト感も無視できません。機能面との関連でいえば、無駄に高機能で割高といったツール選びは避けるべきでしょう。

  • セキュリティ性能

セキュリティ性能が高いことはITツールの基本です。巧妙化しているサイバー攻撃などに備えるためには、より高度で徹底したセキュリティが求められます。

  • サポート体制

ITツールは導入して終わりではありません。導入時のサポートはもちろんのこと、継続して効率よく運用するためのサポートが必須です。また、ITツールのカスタマイズは経験豊富で事例の多いベンダーが得意としています。

 

ツール選択も含めて自社に合った顧客管理・顧客データ管理体制を作ろう

顧客管理・顧客データ管理は企業の業績アップに欠かせないものであり、ITツールの利用によって一元管理が楽にできるようになれば、業務の効率化につながります。そのためには、導入目的を明確にし自社にマッチするツールを選ぶ必要があります。メリットや注意点をおさえたうえでツール選択を行うと同時に、信頼できるベンダーを探すことも重要です。

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