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継続的顧客管理とは? 金融サービスにおける対策とソリューション戦略(Vol.110)

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継続的顧客管理とは、金融系企業が持つ顧客情報を継続的に管理することです。継続的顧客管理では、顧客リスクを定期的に評価していく必要がありますが、継続的顧客管理業務には多くの工数と人的リソースを必要とするため、課題を抱えている企業は少なくありません。そこで本記事では、継続的顧客管理の基本から金融系サービスを提供する企業向けの対策やソリューションサービスについて紹介します。

継続的顧客管理とは定期的に行う顧客管理のこと

ノートパソコンに移る個人データ

「継続的顧客管理」は、金融機関などが顧客に対して定期的に行う本人確認や取引内容の精査のことです。口座開設時に行った確認だけでは、巧妙化し続けている口座の不正利用を防ぎきることは困難となっています。そのため、政府主導のもと、不正利用や取引を早期に発見することを目的に、口座開設後も最新の顧客情報を特定・評価できるよう、継続的顧客管理を推進しています。金融庁は、「マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を策定し、金融機関に対し、2024年3月までに顧客管理態勢を整えるように要請しました。また、法律により新規口座の開設時に本人確認を行うよう義務化されたこともあり、継続的顧客管理は、現在はほとんどの金融機関で実施されています。

継続的顧客管理の必要性

パソコンを操作してお金をだまし取る犯罪者

継続的顧客管理は、アンチ・マネー・ローンダリング対策(以降、AML)の一環として不可欠となっています。AMLは、出所のわからない資金をカモフラージュするための「マネーロンダリング(資金洗浄)」に対抗するための取り組みです。口座開設後も顧客管理を行うことで、お金の流れを監視でき、結果的に以下のような犯罪組織の資金管理や移動の防止・抑制が期待できます。

  • 犯罪によって得られた不正資金
  • 不正な手口で入手された不正資金
  • テロ資金供与

世界規模の犯罪を防止する意味でも重要な役割を担っており、継続的顧客管理の必要性が増しています。

継続的顧客管理の実施方法

ファイルでとじられたマニュアル書

継続的顧客管理の必要性が強まる中、各企業は以下のような流れで継続的に顧客の管理を行っています。

手順1|質問票を顧客へ送付する

まず行う手順が、質問票を顧客へ送付することです。お客様情報の相違点を確認する質問票を作成して、対象者へ郵送し、返送してもらいます。例えば、電子マネーへの高額チャージや、頻繁に多額の譲渡を行っているなど、高リスクと評価した顧客に対しては年1回以上が目安とされています。中リスクであれば2年に1回、低リスクなら3年に1回というように、顧客スコアや評価にあわせて頻度を設定して送付します。

手順2|回答済みの質問票を回収する

対象者へ送付した後は、回答済みの質問票を回収します。中には、質問票を受け取っても自己判断で回答しないケースや、質問票自体を対象者へ届けることができないケースがあります。対象者に質問票が届かなかった場合は、電話連絡、訪問などの別の方法で確認しましょう。

手順3|既存情報と突合して審査・評価する

質問票の回収が完了したら、既存の顧客データや情報と突合し、改めて審査・評価を行います。回収した情報は、データ化をしてデータベース上で管理をするのが一般的です。

  • 取引先が国内の法人において、海外送金が頻繁に行われている
  • 属性が学生なのに、多額の入出金を行っている

このような属性や特徴に注目し、審査・評価をしましょう。

継続的顧客管理を行う上で生じる課題

ホワイトボードを見ながら相談する人々

一般的な継続的顧客管理の手順を紹介しましたが、やり取りの手間や業務工数等に課題が生じる可能性があります。

顧客とのやり取りに手間がかかる

1つ目の課題が、顧客コミュニケーションに手間がかかることです。顧客が「回答方法が面倒」と感じて離脱してしまうこともあり、顧客の状況に合わせた対応も求められます。また、「なぜ質問票が送られてきたのか?」「対応しないといけないのか?」といった問い合わせが寄せられることもあります。その場合は、納得してもらった上で質問票に回答してもらうために顧客対応が発生します。電話や訪問など、顧客状況に合わせて臨機応変に手段を変える必要があり、顧客とのコミュニケーション負荷により、企業によっては社内リソースを圧迫してしまう可能性があります。

業務負荷が大きくリソースの確保が難しい

2つ目の課題は、データ整理や突合に対しての業務負荷がかかりやすいことです。既存データも質問票も、顧客から預かった個人情報であるため、簡単に外部委託がしづらく、継続的顧客管理を推進する上で人手不足やリソース確保の難しさに直面する企業は少なくありません。

スムーズな継続的顧客管理を実現するソリューション

 

チャットツールのイメージイラスト

従来は郵送やメールによる顧客との接触が主流でしたが、住所やメールアドレスの変更があると、リーチしきれないという課題がありました。そのため、近年はオンラインで完結できる手法がメインとなっています。

例えば、以下のような機能やシステムなどを提供するサービスが登場しています。

  • お客様による回答の入力・更新用Webサイトツール
  • お客様による確認や更新がされた情報をダウンロードする機能
  • お客様対応のコールセンタ機能
  • データのパンチング、成型作業の事務機能

これらの機能やサービスを利用することで、継続的顧客管理を行う上で生じる顧客コミュニケーションやリソースなどの課題を解決しやすくなります。

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継続的顧客管理システムを利用すべき理由

 

アイソメトリック風の歯車マークとデータイメージ

継続的顧客管理が義務化されたとはいえ、先述の通り、すべてを自社で請け負うとなると手間も時間もかかります。そのため、課題や状況に合った継続的顧客管理システムやサービスをうまく活用するのがおすすめです。

高品質なサービスを導入できる

継続的顧客管理システムやサービスを導入することで、これまでの経験や実績を活かした機能やサポートを受けることができます。金融機関の継続的顧客管理における業務だけでなく、それに必要な機能・過去事例を保有しているので、課題に合った機能の提案や困りごとのスムーズな解決が期待できます。過去事例の共有により、リスク低減のための行動も取ることができるでしょう。

手間がかかる業務をサポートしてもらえる

手間がかかる業務をワンストップで委託できる点も、継続的顧客管理システムやサービスを利用すべき理由です。

  • お客様情報をもとにしたダイレクトメールの印刷、送付サービス
  • 回答のためのWebサイトの開発
  • お客様からの問い合わせ業務を請け負うコールセンター

上記のようなシステムやサービスを利用すれば、人的リソースの課題を解決でき、結果的に不正利用等の早期発見といったリスク低減も期待できます。

▼継続的顧客管理システムの活用や導入を検討されている方はこちらをご覧ください。
https://crm.dentsusoken.com/dx-solution/finance/

便利なサービスを利用して継続的顧客管理をしよう

ここまで解説した通り、犯罪組織に悪用されないようにするためにも、継続的顧客管理を継続的に実施し、お金の流れを監視することが重要です。一方で、質問票の送付・回収や顧客対応、データの突合など、すべてを自社で賄うとなると時間もリソースもかかります。継続的顧客管理システムやサービスをうまく活用し、業務課題を解決しながら、適切な顧客管理を行いましょう。

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