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eKYCとは?銀行・生保損保・証券・カード・ネット銀行での導入事例(Vol.100)

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eKYCとはelectronic Know Your Customerの略で、顧客の本人確認をオンラインで行う技術またはプロセスのことです。読み方は、アルファベットのまま、「イー・ケイ・ワイ・シー」と読みます。従来のKYC(Know Your Customer)プロセスは、対面での身元確認や書類の提出が必要でした。従来の対面での確認手続きに比べ、eKYCでは本人確認の手続きをスマートフォンやタブレット端末などを利用してオンラインで完結することができます。特に、金融機関において、eKYCは重要な役割を果たしています。この記事では、eKYCの各種方式や、銀行、生保損保、証券、カード、ネット銀行といった各業界での導入事例を紹介し、導入におけるメリットやデメリットについて解説します。

eKYCの方式・手法

警察庁が主管している犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)では、金融機関向けのマネーロンダリング対策として、「顧客等の本人特定事項の確認方法」が規定されています。eKYCの手法としては、犯収法に記載される手法の記号のいろは文字を冠した方式が一般的です。こちらでは、eKYCの主な方式をご紹介します。

  1.  ホ方式

    (出展:警察庁 平成30年改正犯罪収益移転防止法施行規則(平成30年11月30日公布)に関する資料
    ・特徴: 顔認証と本人確認書類の撮影を組み合わせた方式。ユーザーがスマートフォンで自分の顔と本人確認書類を撮影。システムが自動的に照合するが、最終的には目視での確認が行わる。
    ・利点: 高い精度で本人確認が可能。手続きが迅速に完了。
    ・課題: スマートフォンの操作に不慣れなユーザーには難しい場合がある。また、目視確認が前提となるため、完全な自動化は難しい。政府主導の犯収法の見直しにより廃止される可能性が高い。

  2.  自動ホ方式
    ・特徴: 自動化された本人確認方式。顔認証や指紋認証などの生体認証技術を使用。ユーザーが特定の動作(顔を左右に動かす、など)を行い、その動作をシステムが確認。
    ・利点: 高速かつ正確な本人確認が可能。手間がかからず、利用者の利便性が高い。なりすまし防止に効果的で、高いセキュリティを提供。
    ・課題: 生体情報の取り扱いに関するプライバシー問題や、技術的な誤認識のリスクがある。動作の指示がわかりにくい場合があり、ユーザーの負担が増える可能性がある。政府主導の犯収法の見直しにより廃止される可能性が高い。
  3.  ヘ方式

    (出展:警察庁 平成30年改正犯罪収益移転防止法施行規則(平成30年11月30日公布)に関する資料
    ・特徴: 本人確認書類のICチップを読み取る方式。マイナンバーカードや運転免許証のICチップをスマートフォンで読み取り、情報を確認。
    ・利点: 高いセキュリティと正確性。偽造が難しい。
    ・課題: ICチップ読み取り機能が必要。対応デバイスが限られる場合がある。
  4. ト方式

    (出展:警察庁 平成30年改正犯罪収益移転防止法施行規則(平成30年11月30日公布)に関する資料
    ・特徴: 動的な顔認証を利用する方式。ユーザーが特定の動作(例:顔を左右に動かす)を行い、その動作をシステムが確認。
    ・利点: なりすまし防止に効果的。高いセキュリティ。反収法の見直しにより政府推奨となる可能性が高い。
    ・課題: 動作の指示がわかりにくい場合がある。ユーザーの負担が増える可能性。政府主導の犯収法の見直しにより廃止される可能性が高い。ワ方式(公的個人認証)
    ・特徴: マイナンバーカードによる公的個人認証をする方式。
    ・利点: 操作が簡便(ICチップ読取+暗証番号入力のみ)。高いセキュリティ。効率的な運用(オペレータによる目検不要)。反収法の見直しにより政府推奨となる可能性が高い。
    ・課題: 対応書類がマイナンバーカードに限定されること。マイナンバーカードの暗証番号が必須となるため顧客側で失念した際に利用できない。

  5. チ方式
    ・特徴: 本人確認書類の撮影(または本人確認書類に準ずる書類の写し1点、またはICチップ読み取り)+転送不要郵便で認証をする方式。
    ・利点: ICチップ情報の読み取りにより偽造やなりすましのリスクを低減。
    ・課題: 当方式のうち、書類画像+転送不要郵便の認証は、政府主導の犯収法の見直しにより廃止される可能性が高い。

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各業界におけるeKYCの導入事例

  • 銀行業界
    銀行の住宅ローンの申し込みの手続きや口座開設の手続きの本人確認方法として、eKYCツールを導入する事例が増えています。顧客は、マイナンバーカードの読み取りや本人確認書類の撮影を通じて、オンラインで迅速に口座開設手続きを完了できます。従来であれば、顧客が店舗に来店して、自分の順番が来るまで待ち、書類を記入して窓口で手続きを完了するまで、とても長い時間をかけていた手続きを、短時間かつオンラインだけで手続きを完結することが可能になり、顧客の利便性は大幅に向上しています。

  • 生保損保業界
    生保損保業界では、eKYCの導入により保険契約の手続きで導入される事例が増えています。オンライン契約での誤入力やなりすまし契約などの検知を目的とした保険契約の引受審査に関する課題を抱えていた生命保険企業では、eKYCの導入によって画像提出率や書類完備率の向上を達成し、引受審査の時間短縮もあわせて実現した事例が公表されています。

  • 証券業界
    証券業界では、銀行業界と同様、eKYCの導入による口座開設手続きに導入されるケースが多く公表されています。申込から口座開設までの期間を従来のKYC手続きから大幅に短縮して、利便性向上と業務効率化を実現した事例が多いです。

  • カード業界
    カード業界では、クレジットカードの発行手続きが迅速化された事例が増えています。あるカード会社では、eKYCを活用してオンラインでのカード発行手続きを実現し、新規カード会員獲得に取り組もうとする事例が公表されています。

  • ネット銀行
    ネット銀行では、eKYCの導入により口座開設手続きが迅速化され、顧客の利便性が向上しました。あるネット銀行では、eKYCを導入することで新規口座開設がスムーズに行われるようになり、かつ、オンライン上でのなりすまし不正を防止する取り組みを始めた事例が見受けられます。

eKYCのメリットやデメリット

eKYCには多くのメリットがあり、多くの企業や顧客にとって魅力的な選択肢となっています。しかし、導入にあたってはそのデメリットも考慮する必要があります。

メリット

  1. 来店不要: 顧客は店舗に来店せずにオンラインで本人確認ができるため、利便性が大幅に向上します。
  2. 迅速な手続き: オンラインでの手続きにより、従来の対面手続きに比べて迅速に完了します。
  3. コスト削減: 書類の郵送や対面での手続きが不要になるため、コスト削減が期待できます。
  4. セキュリティの向上: eKYCは高度なセキュリティ技術を使用しており、不正行為のリスクを低減します。

デメリット

  1.  オンライン操作の難しさ: オンライン操作に不慣れな人が離脱するリスクが高くなります。
  2. 技術的な障害: インターネット接続やシステムの不具合が発生した場合、手続きが遅延する可能性があります。
  3. プライバシーの懸念: オンラインでの個人情報の取り扱いに対する懸念があるため、適切なセキュリティ対策が必要です。

まとめ

「eKYCとは?銀行・生保損保・証券・カード・ネット銀行での導入事例」と題して、ご説明してまいりました。eKYCは、顧客の利便性を向上させるだけでなく、企業にとってもコスト削減やセキュリティ強化といった多くのメリットをもたらします。今後も技術の進化とともに、eKYCの重要性はますます高まり、さらなる効率化と安全性の向上も期待されます。これにより、企業は顧客満足度を高めるとともに、業務の効率化を図ることができます。一方で、eKYCの導入には課題も存在します。オンライン操作に不慣れなユーザーが手続き途中で離脱するリスクや、技術的な障害が発生する可能性もあります。また、個人情報の取り扱いに対するプライバシーの懸念も無視できません。これらの課題を克服するために、ユーザーエクスペリエンスの向上や、適切なセキュリティ対策が不可欠です。このような点に注意しながら、自社にあったeKYCの導入を検討されることをおすすめいたします。

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