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Microsoft Copilotができること アプリケーション群もご紹介(Vol.96)

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生成AIの技術は急速に発展しており、さまざまな企業で業務への活用が浸透してきました。Microsoft Copilot(マイクロソフト コパイロット)も生成AI製品の1つであり、GPT-4をベースにしたAIアシスタントで、人のCopilot(副操縦士)として生産性向上を支援します。しかし、一口にMicrosoft Copilotと言っても多くのアプリケーションが存在し、自社に最適なアプリケーションを選定することが非常に難しいという声も多く上がっているのが現状です。本記事では、生成AIの種類とMicrosoft Copilotの位置づけに加え、Microsoft Copilotアプリケーションごとの違いと活用方法について解説します。

生成AIの大きな区分とMicrosoft Copilotの位置づけ

以前、下記の記事で、そもそも生成AIとは何か、Microsoft Copilotとはどういった製品なのかを紹介しました。詳しくは下記記事をご覧ください。

・生成AIとMicrosoft Copilotの基本機能と活用事例(Vol.91)

今回はもう少し踏み込んで、数あるMicrosoft Copilotアプリケーションを具体的にどう使い分けていくのかについて解説します。

まず、生成AIには大きく分けて汎用的な製品と個別の業務シーンに特化した製品があります。例えば、Azure Open AIのような汎用的な生成AI基盤は、さまざまな業務シーンに対応できる柔軟性を持っています。そして、柔軟さを活かした活用をしていくためには事前の開発や準備に多くの工数をかけていくことになります。

一方、Microsoft Copilotは個別の業務シーンに特化したアプリケーションが多く用意されており、比較的短い開発や準備期間で各業務プロセスに最適化された支援を提供することができます。

 

Copilotができること アプリケーションを紹介

Microsoft Copilotは、Microsoft 365やDynamics 365など、さまざまなアプリケーションにバンドルされています。それぞれのCopilotが持っている目的や機能の違いを理解することが最適なアプリケーションを導入する上で非常に重要です。例えば、Microsoft Copilotは次のようなことができて、以下のようなアプリケーションがあります。

  •  Copilot in Dynamics 365: Dynamics 365にバンドルされているCopilotで、営業や顧客サービスのプロセスを効率化します。顧客データや営業データを一元管理し、自然言語でデータ検索や顧客対応のプロセスを一部自動化することが可能です。これにより、営業チームは迅速に必要な情報をCRMやERPから収集して業務に活用していくことができます。
  • Microsoft 365 Copilot(旧:Copilot for Microsoft 365): Word、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリにバンドルされており、アプリケーションごとに以下のような機能を提供します。迅速に情報を収集して資料のたたき台まで作成することができるため、大幅に業務時間を短縮できます。
    ・Word:文書の作成、要約や翻訳
    ・Excel:データの集計表作成やグラフ化
    ・Power Point:Wordなどのインプットをもとにしたプレゼンテーション資料の作成
    ・Teams:会議の議事録作成やチャットの要約
    ・Outlook:メールスレッドの要約、返信の下書き作成
  •  Copilot for Sales/Service: Officeアプリにバンドルされており、営業活動や顧客サービスの効率化を支援します。CRMと接続してOutlookから見込み顧客のデータ管理を行ったり、フォローアップのタイミングを提案して営業活動の優先順位付けや営業レポートの自動生成を行ったりすることが可能です。
    顧客サービスでも、CRMと連携して顧客からの問い合わせを管理したり、社内エスカレーションに必要な情報収集や資料作成をサポートしたりすることで、顧客満足度の向上とサービスの効率化を図ります。
  •  Copilot in Windows: Windows 10(バージョン22H2以降)およびWindows 11(バージョン23H2以降)にバンドルされ、誰でも利用することが可能です。チャットベースでシステム設定やアプリケーション操作を支援します。
  •  Copilot for Power Platform: Power BI、Power Apps、Power Automateなどのツールにバンドルされ、データ分析やアプリ開発の自動化を支援します。Copilotを利用することで担当者はより迅速にBIやアプリを開発することができるようになります。
    また、Copilot Studio(旧:Power Virtual Agents)を利用することでカスタムのAIアシスタントの作成と管理を行うこともできます。企業のニーズに合わせたAIアシスタントを構築し、業務プロセスを自動化します。

Microsoft Copilotの活用例 営業担当者の1日の業務

以下は、営業担当者が1日の中でMicrosoft Copilotをどのように活用できるかの具体例です。

1日の準備:8:00 AM – 9:00 AM

•メールチェックとスケジュール確認
未読メールのチェックと返信、および当日のスケジュールを確認します。Microsoft 365 Copilotが表示しているメールスレッドを要約し、返信の下書きを作成してくれるため、営業担当者は長いメールスレッドであっても、Copilotが作成した要約と下書きをもとに素早く返信できます。また、Copilotはカレンダーから今日の予定を要約して表示してくれるので、営業担当者はカレンダーをすべて確認しなくても当日の予定を把握できます。

• 日報作成
前日の営業活動を日報にまとめて上司へ提出します。Microsoft 365 Copilotが昨日のメールスレッド等から営業活動をまとめた日報の下書きをWord文書として作成します。営業担当者は下書きをもとに細かい言葉遣いの修正、顧客との会話内容や雰囲気などシステム外で得た情報を補足するだけで日報を完成させることができます。

 

午前の営業活動:9:00 AM – 12:00 PM:

• 顧客打ち合わせ準備
午後からの顧客打ち合わせに向けて、過去の経緯や顧客のニーズを確認して打ち合わせに向けた準備をします。Copilot in Dynamics 365がCRMシステムに入力されている顧客の過去の取引履歴や電話、会議等のやり取り、現在のニーズなどの情報を取得して要約します。営業担当者は要約から素早く過去の経緯と顧客のニーズを確認して、訪問前に提案に向けた準備をします。

午後の営業活動:1:00 PM – 5:00 PM

• オンライン会議
Teamsでのオンライン会議に参加します。Microsoft 365 Copilot、Copilot for Salesがリアルタイムで会話した内容を記録して、会議の議事録を自動生成するため、営業担当者は会議後に議事録を作成する必要はありません。

また、議事録には会議内容の要約や次回アクションも記録されるため、営業担当者は会議後の顧客に対するフォローアップや、会議に参加できなかった人に対する会議内容の共有をスムーズに行うことができます。

夕方のまとめ:5:00 PM – 6:00 PM

• 担当案件の確認と翌日の準備
最後に担当している案件を棚卸して、翌日以降に行うべきタスクと優先度を決定します。Copilot in Dynamics 365がCRMシステムから受注予定日が迫っている案件やフォローアップの連絡が取れていない案件などを抽出して表示します。営業担当者は表示された案件一覧をもとに明日以降に優先して対応するべき案件を素早く確認できます。

このように、Microsoft Copilotを活用することで日常業務を効率化し、生産性を向上させることができます。Microsoft Copilotはアプリケーションにバンドルする形で提供され、アプリケーション固有の機能に特化した能力を発揮するようチューニングされているため、様々なシーンで業務をサポートしてくれます。

まとめ

Microsoft Copilotは、さまざまな業務プロセスを支援するために設計された強力なAIアシスタントです。汎用的な生成AI基盤とは異なり、個別の業務シーンに特化したアプリケーションが多く用意されているため、より少ない準備期間で効率的に生産性を上げることができる反面、1つのアプリケーションに多くを求めてしまうと返って効率が落ちてしまいます。各アプリケーションの特徴をよく理解して、業務シーンごとに適切なアプリケーションを利用することで、大きな効果が期待できます。

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