生成AIの社会への浸透スピードは目覚ましいものがあり、個人利用を超えて、業務領域でも積極活用が期待されています。Copilot 副操縦士という概念も登場し、人に寄り添ってサポートするAIが注目されています。本記事ではMicrosoft Copilotの基本機能や使い方、活用事例をご紹介します。
目次
生成AIの登場前は、クラスタリングや分類(データのグループ分け)、回帰(連続値の予測)、推定、自然言語処理 (機械翻訳ほか)がAIの主要機能でした。これにChatGPTなどの生成AI機能を有する製品やサービスも登場して大きな話題になったことは、記憶に新しいです。生成AIの登場と合わせて、Copilotという概念、用語も生まれました。
AI分野でのCopilot(副操縦士)は、AI技術を用いて人間の作業を支援するツールやシステムを指します。将来は人とAIの役割や主従関係が逆転する可能性もありますが、現在は「メインの操縦士は人であり、AIは人をサポートする副操縦士として活用しよう」という考え方が主流です。
Copilotには、一例として以下の機能があります。
・自然言語での質問応答 ・文書作成支援 ・画像や音楽の作成支援 ・データ解析 ・プログラミングにおけるコード作成支援
CopilotとChatGPTはどちらもテキスト生成型AIですが、用途や機能に違いがあります。ChatGPTは、より広範な会話や情報提供に特化しており、質問応答、雑談、教育的な説明など、多岐にわたる用途で使用されます。一方、Copilotは特に生産性向上や業務支援に重点を置いている点が特徴です。
Microsoft Copilot (以下、Copilot)とは、GPT-4をベースにしたMicrosoftが提供するAIアシスタントで、人の生産性向上を支援するAIツール群です。また、Copilotは特定の用途に特化しており、プロンプトを最小限で済むようなチューニングもなされています。
すでにEdgeブラウザの右側に表示されるCopilotウィンドウや、Copilotのスマホアプリをお使いの方も多いと思います。それら以外にもMicrosoft 365アプリケーション(Word、Excel、PowerPointなど)やDynamics 365 CRMなどにも統合されており、人の業務タスクの遂行をサポートしてくれます。
主な機能は、自然言語での質問応答、文書生成、データ分析、プレゼンテーション資料の作成、メール整理、要約などです。多数の製品・サービスが用意されており、一例として下記があります。
1. Microsoft Copilot:Copilot製品群全体を指す場合と、https://copilot.cloud.microsoft/ で利用できるAIアシスタント機能を指す場合あり。 2. Microsoft 365 Copilot: Word、ExcelなどのOfficeアプリに統合されているAIアシスタント 3. Copilot for Teams: Teams内での会議やチャットの効率化を支援 4. Copilot for Power Platform: Power BIでのデータ分析やPower Apps等でのアプリ開発支援 5. Copilot for Dynamics 365: CRMやERPシステムでの業務プロセス支援 6. Copilot Studio: カスタムAIエージェントの作成と管理のプラットフォーム 7. Copilot in Edge: Edgeブラウザに統合されているアシスタント
あらゆることを知っていて、部分的に業務タスクを手伝ってくれる副操縦士のように機能してくれます。このようにMicrosoft Copilotは、人の生産性を高めるための強力なツールとして多くの企業や個人に利用されています。
Microsoft Copilot の使い方やできることの一例として、https://copilot.cloud.microsoft/ で利用できるAIアシスタント機能、またはEdgeブラウザに統合されているCopilot in Edge を取り上げます。
(1) 自然言語での質問の仕方 Copilotを含む生成AIでは、一連の会話の中で “文脈” を踏まえて回答します。例えば、「経理業務を効率化、高度化するためのアイデアや改革手法を3つ挙げてください」と訊くと、Copilotは「アイデアを3つ挙げます。 1つ目は、~」などと答えます。さらに「他にも3つ挙げてください」とするだけで、”経理業務を効率化、高度化” の文脈を踏まえた他の回答を挙げてくれます。人間と会話している感覚で会話を進められながら、膨大な学習データに基づいたより深い情報も効率よく得られます。質問回答後に追加の質問候補が自動で出てくる機能もあり、会話スピードも加速でき、会話を通じた洞察を(メインパイロットとしての)人間が得て、現実社会で活用していくことになります。また、Copilot Studioで独自ボットを作成してRAG(検索拡張生成)環境を作ることで、自社の固有情報や特定分野の専門知識を踏まえた回答を生成させることも可能です。
(2) 文書翻訳や要約の仕方 対象文書を貼り付けて指示すると、要約してくれます。単純な機械翻訳のツールやWebサービスはこれまでも多数ありましたが、Copilotでは生成AIの他の機能と組み合わせた使い方もできます。例えば英語文書を貼り付けた上で、「この文書を、400字以内の日本語で要約してください」と指示すると、日本語で要約されます。
(3) OfficeアプリやDynamics 365に付属したCopilotの使い方 各アプリに付属したCopilotについても、サポートしてほしい内容を自然言語でやり取りしていくことで目的の成果を早く得られます。一連の作業に関連して「メール作成しますか?」「要約しますか?」といった提案も受けられ作業効率や結果品質を高められます。
Microsoft Copilotの活用事例として、2点挙げます。
(1) Power Point スライド作成での活用事例 経理部のAさんは、連結会計システム導入の審議会向けプレゼン資料を作っています。 このとき下記のようなシーンでCopilotを活用できます。
①デザイン、レイアウトの選定 プロンプトに次のように入力すると、最適なデザイン・レイアウトのテンプレートを提案してくれます。「システム導入の審議会向けプレゼン資料を作っています。デザイン、レイアウトを提案してください」ここで返された結果から、最適なテンプレートを選んで資料を作成します。
②コンテンツの生成 Copilotはコンテンツの生成もサポートしてくれます。「以下にプレゼンテーマの情報を挙げるので、要点をまとめてください(企画資料内の文書やメモ書きなど貼付け)」と指示します。
③資料のレビューと改善案の提示 さらに作成資料をアップロードしたレビュー依頼や、改善案を求めることもできます。「プレゼンの流れを改善するためのアドバイスをください。資料構成の修正案を挙げてください」と指示します。このようにCopilotを活用して、洗練されたプレゼン資料に仕上げ、プレゼンにも自信を持って臨むことができます。
(2) Dynamics 365 Salesでの活用事例 営業担当のBさんは、見込客とメールでやり取りしています。
① 返信メールのドラフト作成 Copilotに次のように依頼すると返信メールを用意してくれます。「(見込客から受け取った)このメールを元に、返信メールのドラフトを作成してください」得られた文面を微修正、またはそのままメールできました。
② 営業活動の優先順位付け 営業活動の優先順位付けも支援されます。次のように依頼すると対応リストを作成してくれます。「重要な商談やフォローアップが必要な顧客をリストアップしてください。優先度が高い順に並べてください」その結果、事務作業が時間短縮され、Bさんはより多くの顧客を訪問できました。
Microsoft Copilotは、Microsoftが提供するAIアシスタントで、人の生産性向上を支援するAIツール群です。人を支援する副操縦士として、自然言語での質問応答、文書作成支援、データ解析、プログラミング支援など多岐にわたる機能を提供しています。
本記事では、具体的な活用例としてPowerPointでのスライド作成支援や、Dynamics 365 Salesでの営業活動支援を取り上げました。Copilotは業務効率向上の強力な武器となりますが、社内導入や、Dynamics 365 CRMなどと組み合わせた環境構築と業務活用につまずくお客様も散見されます。
電通総研では、Microsoft Copilotの導入、活用支援のコンサルメニューを用意しています。Copilot活用をご検討時は気軽にお声かけください。
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